Home > 歴史 Archive

歴史 Archive

Musée des arts et métiers(パリ工芸博物館)-1-

  • Posted by: Kotomicreations
  • 2010-10-26 Tue 10:30:01
  • 歴史
この前STEAMPUNKや科学史博物館の標本箱を書いていたら、そういえばパリでも、似たような博物館に入ったな・・・と思い出した。
Musée des arts et métiersパリ工芸博物館)は10年近く大改装で閉められていて、2000年より再オープンしたミュージアム。ここの最寄のメトロ駅が、まさしくSTEAMPUNKしていてかっこいい。昔メトロで何度か通ったものの、ミュージアム自体はずーっと閉まっていたので、いったい何のミュージアムなのだろうかと不思議に思っていた場所。
実は、昔の交通機関や産業機械といったテクノロジーの歴史とともに、工芸素材、技術の分野もカヴァーしているミュージアム。
久しぶりに今年またパリに、それもマレに滞在していたので、このミュージアムは徒歩圏。半分暇つぶし気分で入ったのだが、なかなかフォトジェニックなモノたち満載で、結局カメラ片手に丸一日ここで遊んでいた。

Staircase ceiling
正面入り口の階段ホールの天井からぶら下がるクレマン・アデールの最初の飛行機。

Display in St.Martin des Champs
他にも初期の交通機関が保存展示されているのだが・・・、
この建物はサン・マルタン・デ・シャン修道院を改装して使われている。

Display in St. Martin des Champs
教会堂内陣に向かって飛ぶ!! かなり圧巻のディスプレイ。

Abbey of Saint-Martin-des-Champs
外観はこんな感じで・・・ロマネスクな建築。

Machinery.
教会の壁と機械のコントラストが不思議と美しい。

Reflection
これは最初の入り口階段ホールの機械の展示。
クラッシックな階段手すりの映りこみが、ここでも不思議エフェクト。

Display cabinets,
19世紀に開発された機械の展示。この展示キャビネットも・・・明らかに19世紀もの。

Display cabinets
機械それぞれがどのようなものかは知らないが、この展示室自体がフォトジェニック。

Geometrical model cabinet
こちらは同じく古いディスプレイキャビネットに、幾何学モデル。

Geometrical model
幾何学モデルは、まるでアート・オブジェ、

Geometrical models
何をどう証明しているものなのだかは一切解らなくても・・・。

Device for analyzing the products of oil combustion, by Fortin
これはオイルの何やらを分析するためのフラスコ達・・・らしい。

Detector amplifier, 1917
初期の真空管・・・・かな?

Bulbs
初期の電球。


次回は(あさって)、引き続きパリ工芸博物館から「美しき機械達」のイメージ。
やっぱりジュエリー仕事が圧しているので、隔日更新のペースで行く予定。今後ともヨロシクー。





Tudor (チューダー)ジュエリー

  • Posted by: Kotomicreations
  • 2010-07-29 Thu 12:34:35
  • 歴史
イギリス、チューダー・コスチューム・イベントに関連して・・・、この頃のジュエリーの話。

この前のイベントから、ご婦人方のジュエリーをクローズアップしてコラージュしてみた。(フォーカスが甘いのはご容赦)

Tudor jewellery
これらは、当時の肖像画に基づいたかなり忠実なリプロ(複製)

Tudor ladies-in -waiting
Part of The Family of Henry VIII- by an unknown artist c 1545 英国王室所蔵
これはヘンリー8世の家族ポートレートの一部。右はエリザベス王女で、左は姉のメアリー王女。
エリザベス王女ははAの頭文字のペンダントを付けている。
(母親のアン・ブーリンにちなんだもの? これは全くの想像。)
頭文字ペンダントは当時はやっていたようで、
ブーリン家出身のアン・ブーリンのB頭文字のペンダントは有名。
この標本箱の最後に彼女の肖像画イメージを載せた。

Henry VIII and wives exhibition
Henry VIII and six wives exhibition @ Warwick Castle 2009
これは去年のウォーリック城の展示。
昨年はヘンリー8世即位500年記念だったため、どこもかしこもヘンリー8世関連のイベントやディスプレイを企画。
ここのものは、マダムタッソーとの提携の蝋人形展示なのだが・・・
ヘンリー君、6人の妻達に詰め寄られているようで形勢不利の模様。
ジュエリーのリプロはどれもお見事。


その、昨年のヘンリー君祭りを見越して、不詳私もチューダー風のペンダントを作ったことがある。

Tudor Series
Kotomiジュエリー 2007秋冬コレクション -チューダー・シリーズ。
右から時計回りに、キャサリン・パー(Catherine Parr ヘンリー8世最後の王妃)のペンダント。
プリンス・アーサー(Prince Arthur 夭逝したヘンリー8世の長兄)のペンダント。
エリザベス1世(Elizabeth I ヘンリー8世の娘 )のペンダント。
アン・オブ・クリーヴス(Anne of Cleves ヘンリー8世4番目の王妃)のペンダント
ヘンリー7世 (Henry VII ヘンリー8世の父王)のブローチ

これはその当時出展していた、トレード・ショウ用の話題づくりとして企画したもの。
私の場合ポリマー・クレイでベースを作るので、忠実なリプロというよりは「In-the-style-of」、チューダー「風」のし上がり。
イメージ・ソースは以下に。

Catherine ParrPortrrait of Arthur Prince of Wales(1486-1502)
キャサリン・パー と プリンス・アーサー :Hever Castle 所蔵

Queen Elizabeth 1st
エリザベス1世
これはまだ女王に即位するずいぶん前の「若き日」。

Ann of ClevesHenry VII
アン・オブ・クリーヴス と ヘンリー7世:Hever Castle所蔵

上のイメージでは、エリザベス1世は、複雑で危険な政治的状況の中で生き残るために、おとなしく地味に装っている。
女王に即位した後の華美な姿はご存知のことと思う・・・。

Portrait of Elizabeth I (1533 - 1603) The Armada Portrait 1600c.
Portrait of Elizabeth I - The Armada Portrait 1600c 撮影:lisby1@Flickr

しかし、ここで女王が手にしているペンダント・ヘッドは、昔の隠棲を余儀なくされていた時代のものと、同一のもの?のように見える。彼女を栄光に導いたタリスマン(お守り)的ペンダントなのかもしれない・・・。
















中世ヨーロッパ・私的幻視 - ジュエリー -

  • Posted by: Kotomicreations
  • 2010-07-22 Thu 10:09:11
  • 歴史
「中世・ビザンティン風のジュエリー」と自分の製作内容を伝えている。
イギリス人にはなんとなく「あんな感じね」と、おぼろげに想像はついているようだが、日本人には「はぁー」と、まずその中80%は疑問符で出来た反応が返ってくる。
日本に置き換えるなら、さしずめ「平安末期から鎌倉期の装束から発想を得た・・・」などというような、かなり限定した話をしていることになるのだろう。
実は、欧米人とて、そのイメージは一定してはいない。ディズニーの「白雪姫」などは一般アメリカ人の抱く「中世」イメージの典型。さすがに、ヨーロッパ人は日常生活の周りに、いまだに城あり、廃墟あり、中世展示物収蔵の博物館ありのため、もう少し歴史的リアリティーを持ったヴィジョンが浮かんでいるようだが、それとて、本人の興味の範囲次第ということになる。
つまり言葉で伝達するイメージというものは、所詮各人の「幻視」をもたらしているに過ぎない・・・と、言いたかったのだ。

前置きが長くなってしまった。今日は、私の中の「中世」のイメージの展覧の第一回目。
すべては出し切れないし、今後も増殖していくジャンルなので、まずはジュエリーを中心に。
(ビザンティン?これは、もーっと長い話なので・・・また後日・・・笑)

私の中で「中世」というと、おおよそ11-14世紀の北フランスからイングランド(この頃はイギリスとフランスの区分は曖昧)が「守備範囲」。ウイリィアム征服王からプランタジネット朝にかけて。 ご心配なく、ここでは世界史の講義は、なし(笑)。ヴィジュアルに入ろう。

Votive cross and inscription- Spain, 12c
Votive cross and inscription- Spain, 12c パリ・クリュニー中世博物館所蔵
中世ヨーロッパのジュエリーのイメージの典型。
出だしから私のジェリーのイメージ・ソースが、あからさまに知れわたってしまう・・・。
これは身に付けるものというより、実際は聖像の上を飾る天蓋の装飾物の一部。

The Sion Gospels
The Sion Gospels V&A 中世・ルネッサンス室 所蔵
リモージュ・エナメル製の飾り板と中の写本は11世紀初頭のもの。
この豪華な装丁に仕上げられたのが12世紀末期。
神聖ローマ帝国シャルルマーニュ大帝から教会への贈呈品と伝承されていたが、実際にはもっと後年のものだった。

ゴールドのベイゼル・セッティングで、カボションの貴石を留めつけているのが中世のジュエリーの典型。(まだ、石をカットする技術は発達していなかった。)


Cross- reliquary - detail collage, Limousin, 13c
Cross- reliquary - detail collage, Limousin, 13c パリ・クリュニー中世博物館所蔵
聖遺物を納めるための十字架。デティールのコラージュ。

Bruges - St. Saviour's Cathedral, detail of the casket
Bruges - St. Saviour's Cathedral, detail of the casket 
ブリュージュ、聖救済者聖堂(と、訳してしまっていいものか?)所蔵のカスケット。
詳細を記録していないのだが、見た目から、19世紀中期のゴシック・リヴァイヴァルだろうか?
中世風をよく再現しているが、中世期に作られたものにしては、技術が発達しすぎているようだ。
後期中世ということはあり得る・・・。

中世ヨーロッパは、教会が皇帝や王侯にもまして、権勢を誇っていた時代。すべての美はまず神と教会を讃えるがために発達した。貴金属工芸の技術とて同様「まず神ありき」。そして、宗教戦争等で破壊されない限り、教会内の「お宝」は保蔵状態がよいため、より多く現代まで残っている。
これら教会関連の工芸品は、王侯貴族個人が着けていたであろうジュエリーを類推する上で、重要な資料なのだ。

Clasp-reliquary Eagle - Bohemian, mid 14c
Clasp-reliquary Eagle - Bohemian, mid 14c パリ・クリュニー中世博物館所蔵
現存する中世ジュエリーの最高傑作の一つ。ボヘミア製、14世紀中ごろなので、中世といっても末期の頃。
聖職者の重いガウンを正面で留める、クラスプとかモース(Morse)と呼ばれる、大型のブローチのようなもの。
中世絵画の大天使たちも必ずステキなものを着けている。

Clasp, 14c
Clasp, 14c パリ・クリュニー中世博物館所蔵
14世紀製の同じくクラスプ。

Portable reliquary - about 1220-30
Portable reliquary - about 1220-30 パリ・クリュニー中世博物館所蔵
携帯用聖遺物容器ということだが、形状からやはり聖職者のクラスプとして使われたのではないか?
と、根拠はないが思う。

Lovers' brooch
Lovers' brooch England about 1200-1300 大英博物館所蔵
恋人たちのブローチと呼ばれている。

Reliquary pendant
Reliquary pendant Probably Scotland about 1200 大英博物館所蔵
聖遺物を収めたペンダント。
レンズ状に水晶が磨きだされている。

The Glenlyon Brooch
The Glenlyon Brooch about 1500-30 Scotland 大英博物館所蔵
時代的には16世紀に入ってから作られているが、中世的技法の伝統に則った構成。

The Lady and the Unicorn - detail collage
The Lady and the Unicorn - detail collage パリ・クリュニー中世博物館所蔵
「貴婦人と一角獣」と題されたタペストリーのシリーズより、貴婦人たちの着けるジュエリーにフォーカスしてみた。

The Annunciation
The Annunciation about 1500 ロンドン博物館所蔵
中世絵画「受胎告知」の大天使ガブリエル。
彼はさぞかし素晴らしいクラスプ・コレクションを誇っているに違いない・・・。



ざっと、わかりやすい例を博物館写真の中から引き出してみた。
そこで・・・こういった中世ジュエリーの影響を一番受けていた頃の、私の作品を展覧してみよう。

With Medieval image

With Medieval image

With Medieval image

With Medieval image

N-1138
この最後のネックレスはごく最近のもの。
中途半端にいろいろ余った石を並べてみたら、中世風の色あわせだったので・・・。


最後に私の好きな中世音楽を一つ。 Stella splendens "Llibre Vermell de Montserrat"
-モンセラートの「朱写本」(14世紀スペイン、モンセラート修道院巡礼者の歌と舞踏)より「星よ、陽の光のように輝いて」




*少し今日ははりきりすぎたので・・・明日は休業。Have a nice day!!
















Index of all entries

Home > 歴史 Archive

タグクラウド
月別アーカイブ
リンク
現在使用のカメラ・レンズ
カテゴリー
Contact / お問い合わせ

Return to page top

Related Posts with Thumbnails