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博物館・美術館 Archive

Museum of Brands, London(ブランド博物館、ロンドン)-1-

ロンドンのLadbroke Grove近くにある、Museum of Brands(ブランド博物館)の続編を。


Museum of Brands
ドイツ軍の爆撃で、ロンドンも
重篤な被害を受けた
第二次世界大戦が終結して、
V-Dayを祝うコメモラ・グッズの数々。


Museum of Brands
そして、戦後最初の華やかなイヴェントが、
1947年のエリザベス王女(当時)の結婚式。

Museum of Brands
1951年には、ロンドンのテムズ川のほとり、
Waterloo 橋の一角で、Festival of Britain
(英国フェスティヴァル)と呼ばれる、
全国展が開かれた。
これは1851年のクリスタルパレス万博
から、100年記念という設定。
ウォータ-ルー駅近くの、
フェスティヴァル・ホールは、
この時に建てられたものが、
現在でもコンサートホールとして活躍している。
このイラストの桟橋の前に、
現在はロンドン・アイが建っている。
今でもこの一角は、ジュビリー・パークという
公園になっていて、シーズンの
イヴェントに使われたりもしている。

Museum of Brands
パンフレットや地図のデザイン。
このシンボルマークとか、
かなりカッコよかったりする。
で、今では、このコメモラ・グッズは、
ヴィンテージのお値打ち高し。

Museum of Brands
その2年後の1953年は、
エリザベス2世女王の戴冠セレモニー。
これでまた、コメモラ・グッズがぎっしり。
このイヴェント続きで、UKの景気が
回復したのでは・・・などと考えてしまうほどの
お祭り騒ぎ(笑)。

Museum of Brands
トンネル・ディスプレイの様子。

Museum of Brands
途中にある、50’sのバー的な
ディスプレイ。
日本で言うなら「昭和な感じ」というやつ。

Museum of Brands
このあたりはもう、アンティークではなくて、
ヴィンテージ。

Museum of Brands
見覚えあるある(笑)。

Museum of Brands
現在でもあまり変わっていない
パッケージデザインもある。
60年代の後半かな。

Museum of Brands
展示品の最後はこれ。
1971年の通貨変更(Decimal Day)の対応表。
この年以前には、1ポンド=20シリング=240ペンス
という、めちゃくちゃ計算のややこしい
通貨制度だった。
長さをインチ・フィートで
いまだに認識している人も多いし、
(30-40歳以下の人でないと、
メーター単位を理解してないんじゃないかな)、
体重はストーンで表記するし、
古い国は何かとややこしい・・・。

Museum of Brands - Courtyard Garden
このミュージアムには、
中庭があって、なごめるところ。

Museum of Brands - Courtyard Garden
ここも建物に囲まれた日陰の庭なので、
どんな植物が植えられているのか、
興味津々で観察。

Museum of Brands - Courtyard Garden
これはどうやら、Plectranthusという
植物のよう・・・メモメモ・・・。

Museum of Brands - Courtyard Garden


Museum of Brands - Courtyard Garden


Museum of Brands - Courtyard Garden


Museum of Brands - Courtyard Garden





Museum of Brands
(ブランド博物館)


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Museum of Brands, London(ブランド博物館、ロンドン)-1-

もう10年前になるけれども、ここの前進のブランド、パッケージ、広告博物館を標本箱に詰め込んだことがある<このページ>。
このときはまだ、路地の奥に入ったような、わかりにくいロケーションの博物館だった。その後、入場者数の増加と、コレクションの増大で、このロケーションでの展示が窮屈になってきて、2015年に地下鉄Ladbroke Grove駅近くの、現在の位置に新しく大きくなって再オープンした。

以前は「撮影禁止」マークがあちこちに張り出されていたのだけれど、今回(2020年11月)は全く見かけなかったので、色々撮ってきました。


Museum of Brands
以前の路地の中の入り口からは、
桁違いに大きくなって、
わかりやすい入り口。

Museum of Brands
一番の興味はこの「タイム・トンネル」と
呼ばれる、くねくね続くディスプレイ。
ここの展示は、ほぼ以前のまま。

Museum of Brands
こんな風にトンネル的にディスプレイが
びっしりと詰め込まれている。

Museum of Brands
19世紀ヴィクトリアン期の
玩具やらゲーム。

Museum of Brands
香水、コロン等のボトルがエレガント。

Museum of Brands


Museum of Brands
ナイフポリッシュ(磨き)剤のパッケージ。

Museum of Brands
ビール、石鹸、桃の缶詰などなど。
当時はゴミなんだけれど、
今となってはコレクターズ・アイテム。
現在のリサイクルゴミのパッケージも
100年経ったら、アンティークとして、
価値が出るのかなぁ(笑)。

Museum of Brands
桃缶の横には、ソースや
ココア・エッセンス。

Museum of Brands
「全緯度での勝利」という、
世界に広がる大英帝国・・・
ならではな広告。

Museum of Brands
これはタバコのパッケージ。

Museum of Brands
鳥たちがたむろっているのは、
タバコのブランドの広告で、
その右上はマッチのパッケージ。

Museum of Brands
ヴィクトリア女王のジュビリー(在位50年)
記念の、コメモラ・グッズ。
ことしはなにやら、エリザベス2世女王の
プラチナ・ジュビリー(在位70年)記念だそうで、
6月2日(木)~5日(日)まで4連休になるとか。
比較的祭日の少ないUKでは、
イースター並みに長い(笑)。

Museum of Brands
お茶やら、スパイスやら。
一番下のペリエのボトルは、
現在もあまり変わりがない。

Museum of Brands
ココアやらスパイス。
右の家事週刊誌には、
食品保存用のレーベルがおまけで
ついてくる、そして、
5分で解けるクイズに応募したら、
£15(現在なら2500円程度)の
賞金が当たるかも・・・だそうです。

Museum of Brands
Liver Salt, Health Salt(健康塩)と呼ばれる、
重炭酸ナトリウムや硫酸マグネシウムの
消化剤・便秘薬。
19世紀ヴィクトリアンの市販薬って、
なんだか逆に不健康そうで、
怪しげなんだけれど、
現代の健康グッズ・サプリメントも、
100年経ったら怪しげなことに、
なるのだろうか・・・と、
健康オタクは自らを顧みて思う(笑)。

Museum of Brands
ネコ好きには外せない、
猫モチーフのゲーム。
作画は、Louis Wain(ルイス・ウェイン

Museum of Brands
これもネコのジグソーパズル。

Museum of Brands
ネコつながりで、Felix the Cat
フィリックス・ザ・キャット)なんだけれど、
初期の頃はネコというよりは狼?
このあたりはもう20世紀、1920年頃かな。

Museum of Brands
黒猫君のぬいぐるみ。

Museum of Brands
1930年代かな?の
薬局のウインドウのイメージ

Museum of Brands


Museum of Brands
1930年代のアールデコの頃から、
パッケージのロゴもシンプルになって、
なんだか見覚えのあるようなデザインになってくる。

Museum of Brands
1935年のジュビリーは
ジョージ5世の在位25周年記念。

Museum of Brands
私ら、おばちゃんらには、
見覚えあるある。
1980年代でも、あんまり変わりない
デザインだったような・・・・。

Museum of Brands


Museum of Brands
最後は30年代初期の園芸雑誌。
ルーピン羨ましいー。
(うちの庭ではナメクジにやられて
全滅した・・・泣)


次回は第二次大戦後と、
ここのこじんまりとした落ち着く中庭を。


Museum of Brands
(ブランド博物館)


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Museum of the Home, London (家の博物館) -4-

Museum of the Home(家の博物館) からの最終回は、庭のイメージを。


Museum of the Home - Garden
オーヴァーグラウンド線、Hoxton(ホクストン)駅の、
ちょうど向かいにあたる、
新しい入口を入ると、
その右側に庭が連なっている。

Museum of the Home - Garden
大改装以前から、ここの
(当時は)裏庭が静かで和めるところだった。
このエントランスに近い部分は
以前のまま保たれていて、
その奥に時代別に分かれた
庭のデザインで、時代別のインテリアに
呼応するように再編成された。

Museum of the Home - Garden
最初はその、
エントランスに近い部分の様子を。

Museum of the Home - Garden
訪れたのは、昨年(2021年)の7月中頃で、
バラも藤もシーズンが終わったころ。
ラヴェンダーとか夏の花がトップシーズン。

Museum of the Home - Garden
藤棚の下の日陰のエリアには、
アルケミラモリスと、ベルゲニア。
ただいま白花のベルゲニアを、
ウチの日陰庭の
ショッピングリストに検討中。

Museum of the Home - Garden
アームスハウスの建物を、
裏から見たところ。

Museum of the Home - Garden


Museum of the Home - Garden
建物に沿って、まず一番奥まで行って、
16世紀の庭から、
21世紀までさかのぼってくることに。

Museum of the Home - Garden
途中の、シェルフのディスプレイ。
こんなシェルフ、ウチも欲しいなぁ。

Museum of the Home - Garden
最初は16世紀チューダー期の、
ノットガーデン(knot garden)。

Museum of the Home - Garden
庭の方も造園されて初年度なので、
サントリナ達がノットになるまで、
成長していないので、
まだ「なんのことやら」状態。
形になるまで、後2-3年はかかるかなー。
ウチもだけど、
「お互い頑張りましょう」(笑)。

Museum of the Home - Garden
ヘーゼル編みのフェンスが素敵。
このフェンスを隔てた隣は・・・、

Museum of the Home - Garden
17世紀の庭。
実用になるハーブや、
食用になる野菜が植えられていた。

Museum of the Home - Garden
実用第一、木のフレームで、
嵩上げしたベッドが使われていた・・・
そうだけれど、この方式、
フラワーベッドを掘り返し差なくていいし、
巨大プランターのようなもので、
その場所の土質に左右されないし
(土質を最適にコントロールできるし)、
また、見た目もナチュラルで好もしいので、
現在の庭でも大流行中。

Museum of the Home - Garden
ここで、通りかかった、
アームスハウスの建物の、
チャペル部分の裏側を。

Museum of the Home - Garden
で、その次が18世紀の庭で、
実用第一の庭から、
インテリアの延長として、
くつろいで散策する、また、
地位や富を誇示するための庭
に変換していった・・・ということ。
しかし、サンプルの庭自体は、
ヘッジやトピアリーを生かした
デザインにしたいのはわかるんだけど、
ここもまだ全然未完成。
この真中の部分、
グラヴェル(砂利敷き)より、
芝生の方がよかったんでないかな・・・
と勝手に思う。

Museum of the Home - Garden
で、その次は、いきなり21世紀(?)の、
ルーフガーデン。

Museum of the Home - Garden
まぁ、トレンディな感じの庭になっている。

Museum of the Home - Garden
多分デコラティヴでレア植物を珍重した、
19世紀の庭を入れると、
予算的に難しかったんじゃないかな、と、
勘ぐってしまいそうな・・・
全体的に「空き空間」の多い庭のデザイン。
ともあれ、2-3年たたないと意図した
デザインに庭が育ってこないのも確か。
また、育った頃に見に来ようと思う。

Museum of the Home - Garden
以前からある温室や、

Museum of the Home - Garden
建物側のボーダーがきれい。

Museum of the Home - Garden


Museum of the Home - Garden
最後にもう一度、
エントランス側の一角を。





Museum of the Home(家の博物館)
Ex - Geffrye Museum(旧ジェフリー博物館)


Map:








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Museum of the Home, London (家の博物館) -3-

ロンドンでは、コロナ感染防止の制約も(イングランドで)ほぼなくなって、立て続け3つの嵐を乗り越えて、落ちついたかと思えば、ロシアのウクライナ侵略の衝撃波が走っています。
まがりなりにも、いわゆる先進国といわれるヨーロッパのはしっこで、21世紀に入ってこんな戦争ふっかけるとは・・・呆れはてる。人間て歴史に学習しないもんですねぇ(苦笑)。 そして、黒海のあたりが魂的な故郷の自分なので、一段と心が痛みますね。
まぁ、心痛めても、ここで今できるのは、祈ることと赤十字に寄付する程度なので、あまりセンチメントにとらわれず、淡々と・・・、Museum of the Home(家の博物館) の続編標本箱、いきます。


Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
1870年のパーラー(応接室)。
ヴィクトリアンらしい、重厚なというか、
コテコテのインテリアになってきている。
シーンとしては、子供たちを寝かしつけて、
当時流行っていたSeance(セアンス=
交霊会)のためにテーブルを、
夫妻がセッティングしているという設定。
親しい友人と、プロの交霊師を招いて、
いろいろな家庭で「エンターティメント」として
催されていたそう。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
窓辺にあるテラリウムも
当時はやっていたもので、
ここはトレンディなもの好きの
ご夫婦と見て取れる。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
1840-80年頃に制作された、
シェルのオーナメント。
プロの工芸家が制作したものではなくて、
当時のご家庭の有閑奥様が、
趣味で時間をかけて作り上げたもの。
ところで、こういう「貝細工」、
日本(関西)で言えば白浜みたいな、
海辺リゾート地の土産物の典型で、
「ダッサぁ~(汗)」と思われていたものが、
6~7年前頃から、またまたトレンド前線に
復帰で、ヴィンテージやアンティークの
海ネタが押しの前面に。
時代の感覚って不思議。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
1860-70年頃に、これも奥様ハンドメイドの、
ファイヤー・スクリーン・パネル。
ちょうど暖炉の火の熱が、
顔に当たるあたりでスタンドに立てて、
顔がのぼせるのを防ぐために使われた。

このヴィクトリアンの展示の後に、
私の好きだったインテリアが
あったのだけれど、今回の大改装で、
後に出てくる、
移民家庭の暮らしぶりインテリアを
挿入するために、削除されてしまった。
悔しいので、2011年の写真を載せておくことに。

Drawing room, 1890
今は無き1890年「世紀末唯美主義」インテリア。

Detail - Drawing room, 1890
オスカー・ワイルド、ビアズレー、
ホイッスラーな時代・スタイルのインテリア。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
次のインテリアは、1915年の、
アーツアンドクラフト・スタイル。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
夕食後の家族団欒の時間という設定。
その中に第1次世界大戦が影を落として、
長男は戦線に向かい、
母と娘は前線兵士に送るための
ソックスや衣類を編んでいる。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
次のインテリアは、1937年のアールデコのフラット。
独身ミドルクラス男性に人気の
このフラット(アパート)は、
メイド・サーヴィス付。
食事もオーダーできて、ちょうど
ホテルのようなシステム。
なので、朝食を食べ散らかして、
出勤しても全部片付けてもらえる。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
いまでもこんなサーヴィスの、
ホテル・マンションって、
ロンドンのどこかにきっとあるはず。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
1976年のカリビアン移民家庭のインテリア。
もともとは西アフリカから、ジャマイカなどの
カリビア海の島々の英植民地に
入植させられた黒人奴隷の子孫が、
第二次世界大戦後の大英帝国の崩壊とともに、
1950-60年代に大挙して、
イギリスに移民として到着した。
1973年以前に入国した移民は、
無条件に永住許可がおりて、
ロンドンなどの都会文化の一端を担っている。
(とはいえ、近年でも、
ウィンドラッシュ事件などの、
差別的な出来事も起きているのだけれど。)

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
というような、政治的な意図も含まされた
インテリアの展示・・・のために、
「お耽美」なインテリアは
現代に意味無しということで、
削除されたのかと・・・sigh。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
時代は1998年に飛んで(私が英人になった年・・・笑)、
ウェアハウス・コンバーション
(旧倉庫を改造したアパート)のインテリア。
そうですね、流行りましたね(あ、今も人気)。
で、そのトレンディな住人は、
LGBT活動家でもあるゲイのカップル。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
この設定も完全に政治的背景のある、
ストーリー付・・・(苦笑)。
インテリア的にいえば、イケア・スタイルとでも(笑)。
というところで、インテリア/暮らしの展示は終了。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
ちょうど新館の上階で終わる。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
ここから階段を降りて、裏のガーデンへ・・・
なのだけれど、
区切りの都合で、ガーデンは全部次回にまとめて、
最後に少し、元正面にあたる、
アームスハウス側の眺めを。

Museum of the Home - Garden
アームスハウス真正面。
前に芝生が広がる。
ちょうど真ん中の部分が、
前(前)回ぼやいていたチャペル。

Museum of the Home - Garden


Museum of the Home - Garden
チャペルのエントランスの上に立つのが、
問題のジェフリー卿。
コミュニティー内では、
像を撤去する意見が強かったそうだけれど、
彼の財を成した背景等の歴史的事実を、
ミュージアム内で明確に表記するということで、
この像の存続が認められたそう。
なので、いろいろな解説で、
「奴隷取引会社に投資して財を築いた・・・」
と、枕詞みたいに、
名前に添えられている(苦笑)。

Museum of the Home - Garden
このドアの中に、居住者は一部屋ずつ与えられて、
キッチン・ダイニングは共同だったそう。
トイレは、多分全体で1-2ヶ所。
住人はそれぞれチェンバーポット
(大きなポット型のおまる)を使って、
寝室で用を足して捨てに行く。
バスも、洗面器にお湯と石鹸を入れて、
手ぬぐいのようなタオルを浸して、
体を拭くだけなので、寝室で済まされる。

Museum of the Home - Garden
蔦の絡まる、
フォトジェニックなアームスハウス。

Museum of the Home - Garden


Museum of the Home - Garden


Museum of the Home - Garden
18世紀の馬用の水タンク。

Museum of the Home - Garden
建物の端の・・・、

Museum of the Home - Garden
アルコーヴの中にも、
元々は何か像があったはず。
いつどんな理由で
取り除かれたんだろうか(笑)。


次回は、和める裏側ガーデンのイメージを。





Museum of the Home(家の博物館)
Ex - Geffrye Museum(旧ジェフリー博物館)


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Museum of the Home, London (家の博物館) -2-

Museum of the Home(家の博物館) のイメージの続編を。



Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
一連のアームスハウスの建物の中心に、
チャペルが置かれている。
そのちょうど裏側に、
庭に面した通路(廊下)部分がある。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
以前も公開されていたのかどうか
記憶に定かでないけれど、
きれいに改装されて、心地よい空間に。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
で、そのチャペルの方は・・・、
その昔は祭壇が置かれた中央部分に、
(下の写真、2011年に撮ったもの)
巨大なスクリーンが置かれて、
コミュニティに暮らす人のインタヴュー
みたいなものが映し出されていて、
ゲンナリ・・・。
歴史的なものを、そのまま置いといて
修復だけしてくれって思う。
超うざいので、もちろん写真も撮りません。
撮ったのは、きれいに修復された、
Pew(板で仕切られたベンチ席)のエリア。

Chapel
本来は、こんなでした。
この裏に天井の低い廊下部分がある。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
チャペルを抜けると、大きな窓のある
ホールのような部屋。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
きれいに修復されたパネル。
その昔は集会所的に使用されていたのかと思う。
ここに階段ができていて、
上階の資料室が公開されるようになった。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
18世紀のアームスハウス。
ジェフリー卿は後継者を持たずに没したので、
所属していた鍛冶屋組合に、
寄贈された資産で建造された。
もともとは引退した組合員のための、
養老院的施設だったのだそう。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
この御仁が、頑張って成り上がって、
爵位を得て、市長職を務めたジェフリー卿。
現在は社会的価値判断の激変で、
存在を抹殺されようとしている(苦笑)。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
もちろんその横には、
「奴隷取引会社で財を成した」
としっかり表記されている。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
17世紀、18世紀、リージェンシー(19世紀初頭)、
19世紀、20世紀の建築と家具を
お勉強するブロック。欲しい・・・(笑)。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
1920年頃のロンドン交通局のポスター。
裏の現在のオーヴァーグラウンド線は、
鉄道で、現在はバスが走っている
前の道にはトラムが走っていた。

この資料室を出て、もう一度ルートに戻り、
次の展示室へ。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
途中に展示されていた、18世紀後半の
ポーセリン飾りの燭台。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
1790年のパーラー。
壁が板張りから壁紙へ、
床にはカーペットが敷き詰められる。
どちらも、さきがけの産業革命のおかげ。
中産階級の家庭でも手に入る、
工場生産品が普及してきたということ。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
親しい友人や親族を招いて、
5時にデイナーをすませ、
カードゲームに興じてくつろいでいる
というシーン。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)


Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
1819年に描かれた、ご家庭の様子。
冬の朝ごはん・・・かな。
室内もコテコテしてきて、ご衣装も重厚に。
18世紀の薄いドレスは、
当時、気候が温暖化していたため・・・
と考えられている。
19世紀には、再び寒冷化したので、
インテリアもドレスも重厚になっていったそう。
地球温暖化も、
一方向で進行しているわけではない
という、歴史的証拠。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
1830年のドローイングルーム。

ここで少し余談解説。
前の展示室までパーラー(Parlor)と呼ばれていた部屋が、ここではドローイングルーム(Drawing room)になっているけれど、この違いは何か?実のところ、あまり私もはっきりとは体感認識できていないのです。
パーラーの方が公式の客間(応接室)、ドローイングルームの方が、ややプライベートな感じかな・・・という程度で。それにもう一つシティングルーム(Sitting Room)という言い方もあって、その違いはまったく不明。
いずれにしても、現代ではリヴィングルーム(Living Room)に置き換えられていて、歴史的建造物でしか使われることもない用語です。


Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
インテリアの設定の解説には、
中流のご家庭の午後、
お母さんはファッション雑誌を眺めて、
娘たちは、水彩画を描いたり、
手紙を書いたり(郵便が普及してきた)・・・、

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
学校から帰ってくるお兄ちゃんに、
チェスの続きを挑む準備をしている、
という・・・、
明らかに、子どもたち中心の、
大人の社交の部屋ではない設定。


ここでまた、思いつきの余談。
19世紀のイギリスといえば、中流以上の家庭の子供達はたいていボーディング・スクール(寄宿舎)に送られて、ホリデー以外はほとんど家に戻ってこない、という印象があったのだけれど、ちょっと調べてみたら、このトレンドは19世紀中頃に、インドを支配下に置いて帝国主義が確立して、そのために海外駐在する軍人・官僚の家庭が増大して以降のことのよう。
その習慣も1950年代末の(私が読んでいた)「くまのパディントン」の頃までで、60年代以降には大英帝国の終焉とともに、かなり上流の家庭に限られたものになっていくようだ。
なので、このシーンの「お兄ちゃんが学校から帰ってくるのを待っている妹」というのも、1830年代の時代背景に一致しているのだった。


Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
その「お兄ちゃん」に与えられたような、
1960年代の「ティーチング・ボックス(教育箱)」。
キャビネット・オヴ・キュリオシティーの簡易版とでもいうか、
「科学と学習」の付録キット的というか・・・。
(さて、一体どれぐらいの人が、この死語をご存知か?)
こんなの今なら、コレクターズアイテム!!

というところで、また次回に続きます。







Museum of the Home(家の博物館)
Ex - Geffrye Museum(旧ジェフリー博物館)


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Museum of the Home, London (家の博物館) -1-

今回からは、Museum of the Home(家の博物館) のイメージを。

この博物館は、2021年6月に(途中、ロックダウンにもあって)3年に渡るリニューアルの後に再オープンした。
以前は、歴史的ファニチャー/インテリアを展示する、Geffrye Museum (ジェフリー博物館)だったのだけれど(標本箱では2011年の<このページ>から2回のエントリー)、Home(家・・・というか家庭という概念も含まれている)にフォーカスして、器と同時に(それ以上に)その中の「人」と「暮らし」に重点を移行させた博物館として生まれ変わった。

これにはちょっとした背景があって、この博物館が入っているのは、ロンドン市長も努めた17世紀の有力者、Robert Geffrye(ロバート・ジェフリー卿)の設立したアームスハウス(身寄りのない老人のための慈善住宅)で、そこからジェフリー博物館という名前も採られていた。
彼は鍛冶屋から豪商に立身した人物なのだけれど、財を築いた手段が、17世紀の奴隷取引会社への投資の成功。
21世紀に入って、一段と植民地・奴隷制度の加害者として、猛反省を強いられている(自主反省でもあるのだけれど)英国では、「植民地・奴隷制度」に関与して財を築いた、旧財閥・歴史的有力者に対する風当たりが異常に厳しい。
極端から極端もいいところで、パラノイア的な感じ。関連人物の像なども、各都市から撤去される方向にある。
(それも歴史的な事実なんだから、ニュートラルに受け入れろよ・・・と、第三者の私などは思うのだが、ま、いつでも人心、社会的・政治的な軸はブレブレなもの。)
そんな時代背景があって、この博物館もおおっぴらにジェフリーを名乗ることは肩身が狭くなってきたというのが一因。
そしてこの地域は、それでなくとも旧植民地からの移民人口の高い地域なので、一段と肩身は狭いということに。
そんなわけで、歴史的なこのアームハウスの器よりも、切り口を家庭・家族・コミュニティに生きる「人」に切り口を持っていくことで、存在意義をつなごうとしている・・・というわけ。
その、現在がどんなものか「人嫌い・モノ好き」の私が、オープンして間もない2021年7月に偵察に行ってきた(笑)。


Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
館名も一新、新たな看板。
現在はオーヴァーグラウンド線Hoxton(ホクストン)駅
出口の向かい側が入口になっている。
以前の歴史的アームスハウスの建物から、
そんなに乖離したいのか(笑)。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
新しい入口のコンテンポラリーな建物。
(いや単に、駅から便利というだけで、
入口の位置を変えたのだとは思うけど。)

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
エントランスから見える庭。
この庭が、まだまだ育成過程だったけれど、
和めるすぐれもの。
それはまた後ほどフィーチャーすることに。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
17世紀のエボニーと象嵌のキャビネット。
展示の最初は歴史的な
家具の紹介から始まる。
目に留まった、自分好みのものを
拾い集めて撮っています。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
話は飛んで、19世紀アーツアンドクラフトの
家具調度品。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
ウチにも欲しいかも、な、アームチェア。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
ロセッティがデザインした・・・と考えられている、
ロセッティ・チェア。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
19世紀の家具のカタログ。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
19世紀のインテリアのイメージ。


Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
これは、18世紀のご家庭の様子。
Polite(上品)ということが、
お約束だった時代で、
質のいいシンプルなインテリアに、
読書や縫い物が上品な趣味と見なされた。


ここからは、博物館では書いていない、私の解説。
同じ18世紀でもコンチネント(特にフランス)は、ロココ文化熟爛期だったので、もっと退廃してゴージャスなテイスト。当時のイギリスは、ヂミでダサい田舎文化と見なされていた。
その後、大陸は革命の動乱に巻き込まれて、文化どころではなくなってしまのだけれど、イギリスでは対岸の火事。逆に産業革命をさきがけて、経済的に世界の中心を奪い取ってしまう。
そして、19世紀はイギリスが、経済的・文化的に最高潮に達した時代で、おのずと美意識にも自信の程が現れる。
18世紀のPoliteをくつがえす美意識として生まれたのが、19世紀後半のアーツアンド・クラフト運動や耽美主義だったのだ。


Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
話をもどして・・・、
上の絵画でお父さんが座っているような、
18世紀の椅子。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
18世紀のイージーチェア。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
19世紀のアームチェア。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
17世紀後半のターキーワーク・チェア。
というのは、当時輸入され始めた、
トルコのカーペットのような
生地が使われていたため。


こんな風に、新しく設立された展示室では、その時代のスタイルの家具を展示して、その社会的背景などをボードで解説する方法が採られているのだけれど、なんだか順番や流れがチグハグで、よほど興味を持ってボードを読み込まないことには、何がいいたいのか意図があまり読み取れない。
最たるものが・・・、


Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
この展示室。
最新のアレクサに持っていきたいようだけど、
デジタル(メカニック)が切り口のテーマなのか、
そこになぜ暖炉の飾板と壁紙?
適当に収蔵品ブチ込んだとしか思えない。
展示方法、テーマともにかなりお粗末。

気を取り直して、
上階の以前からの展示室をざっと見て回ることに。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
ここからは、以前のジェフリー博物館だった頃の
展示と同じ。
少し小綺麗に大掃除された感じではある。
最初は1630年の大広間。
商人の店の2階という設定。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
主人の家族も使用人も皆が、
一緒に食事をして、
子どもたちはここで教育を受ける。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
1695年のパーラー。
家族が客を招いて食事をしたあと、
食卓を片付けて、ゲームを始める。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
フルートが演奏される、という設定。
ロンドン大火後に再建されたタウンハウスの
内装が参考にされているそう。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
1745年のパーラー。
上のパーラーと板張りの内装は似ているものの、
椅子がシンプルな18世紀のスタイルに。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
朝、家族が起き出してくるまでに、
女中たちが、暖炉を掃除して
火を入れるのに忙しい。

というところで、次回に続きます。






Museum of the Home(家の博物館)
Ex - Geffrye Museum(旧ジェフリー博物館)


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Sir John Soane Museum (サー・ジョン・ソーンズ博物館) 再び -4-

Sir John Soane Museum (サー・ジョン・ソーンズ博物館)から、やっと今回で最終回。


Sir John Soane's Museum, London
地階から上階まで繋ぐメインの階段、
大きいものではないけれど、
これがなかなかフォトジェニック。

Sir John Soane's Museum, London
壁がテクスチャーのあるイエローオーカーで、
強力にグロス(艶あり)。
光を取り込む工夫の一環かと。
壁のグロスペイントは19世紀前半に
流行っていたみたいだけれど、
その後悪趣味ということになって、
つい近年までマット(艶なし)ペイントが上品
ということになっていた。
ここ、2-3年でまたテカテカのグロスペイント
トレンドが復活してきているような・・・。
自分的には、カンベンしてくれ・・・ですが(笑)。

Sir John Soane's Museum, London
上の写真で、ちらっと覗いていたのは、
シェイクスピア先生。

Sir John Soane's Museum, London
ここの階段がフォトジェニックなのは、
ひとえにこの手摺の描く
オーガニックなカーヴのたまもの。

Sir John Soane's Museum, London
階段の窓に使われているガラスも、
黄色いティントのかかったもの。
マーキュリー君が跳び上がっている。

Sir John Soane's Museum, London
ここから上は公開されていない3階部分。

Sir John Soane's Museum, London
やっと階段から、公開されている2階部分へ。

Sir John Soane's Museum, London
この部屋は絵画と、建築パース資料の展示。
真ん中にあるのも、建築パースを収めたキャビネット。

Sir John Soane's Museum, London
正面にキャビネットに立て掛けて展示されているのは、
18世紀末のジョン・ソ―ン建築事務所の手掛けた、
国会議事堂上院部の改修の建築パース。
20年後に完成し、完全なネオクラシカル様式が、
その他のゴシック様式と混在することになっていた。
ところが、10年後の1834年の大火で焼け落ちて、
再度ゴシック・リヴァイヴァル様式に戻って
現在に至る。

Sir John Soane's Museum, London
隣の応接室に繋がっている。

Sir John Soane's Museum, London
応接室側から、振り返ったヴュー。

Sir John Soane's Museum, London
応接室も・・・黄色い。
当時はポンペイ遺跡の発掘の影響で、
ネオクラシカル様式で、
壁を黄色や赤で彩色するのがトレンド最先端。
なぜだか知らないけれど、
近年またグロス・ペイントとともに、
黄色いインテリアがトレンドになってきている。
ちょっと不思議・・・。

Sir John Soane's Museum, London


Sir John Soane's Museum, London
この部屋は(も)、
建築家ならではのディティールがいろいろ。
窓辺の出窓になった部分に組み込まれた本棚。

Sir John Soane's Museum, London
そのまた先にも、装飾と展示部分が作られている。

Sir John Soane's Museum, London
凸面鏡に写り込んだ応接室。

Sir John Soane's Museum, London
そのまた隣の部屋は、
コンテンポラリーの企画展に使われていた。

Sir John Soane's Museum, London
オリジナルの暖炉は見逃さない^^。

Sir John Soane's Museum, London
一方通行になっているので、
当時は使用人スタッフが使う階段だった方から、
下階へ降りる。
こちらはシンプルで、実務的な構造。

Sir John Soane's Museum, London
最後はショップを少し覗いてみる。

Sir John Soane's Museum, London


ここのサイトで、3Dテクノロジーを駆使して、
館内の2つのセクションが閲覧できるようになっている。
普段は公開されない
(「ここから上は公開されてない」、最上階部分に。)
建築モデル室もみることができる。
よくできているので、ぜひクリックしてみて。
このページ




Sir John Soane Museum 
(サー・ジョン・ソーンズ博物館)


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Sir John Soane Museum (サー・ジョン・ソーンズ博物館) 再び -3-

Sir John Soane Museum (サー・ジョン・ソーンズ博物館)から、引き続き。


Sir John Soane's Museum, London
順路は絵画コレクションの展示室から。

Sir John Soane's Museum, London
正面にはヴェニスを描いたカナレット作品が。

Sir John Soane's Museum, London
ここにも天窓がとられているけれど、
その脇の天井は、ゴシック風。

Sir John Soane's Museum, London
側面にはピラネージ。
この展示室の壁面は扉式になっていて、
その扉の内面には、Hogarth(ホガース)の
コレクションが収められている。
その昔は、この展示室に何人か
ヴィジターが集まると、
アテンダントの人が扉を開けて、
その仕組を見せてくれたのだけれど、
入場制限がかかっている現在は、それはなかった。

Sir John Soane's Museum, London
絵画コレクション室の後は、階段を降りて地下へ。
地下クリプトということで、
墳墓関連の資料が集められている。
正面のガラスキャビネットの中は、
エジプトのファラオ・セティ1世の石棺。
ミイラは入っていなくて、器だけだけれど、
家の地下に置いておきたいものではないかも・・・(笑)。

Sir John Soane's Museum, London
冥界の王Pluto(プルートー)
ソーン氏はゼウスの頭像として、
エントリーしていたけれど、
後年プルートーと判別されて、
この地下展示室に収められているそう。

Sir John Soane's Museum, London
ここに展示されている箱のような器は、
cinerarium(シネラリウム)と呼ばれる、
ローマ時代の「骨壷」。
ローマ人は火葬だったんですね。

Sir John Soane's Museum, London
いやまぁ、装飾資料かもしれないけれど、
これまた家においておくのは気持ちよくない(笑)。

Sir John Soane's Museum, London
地下から見上げたアポロ。
黄色いガラスで色づけられた光を受けて、
とても太陽神にふさわしい眺め。

Sir John Soane's Museum, London
反対側の、石棺ケースから見上げたソーン氏。

Sir John Soane's Museum, London


Sir John Soane's Museum, London
その次の展示室には頭像がいろいろと。
とにかく暗くて、あまりよくは見えない。

Sir John Soane's Museum, London
この一角はゴシックのレリーフがいくつか。

Sir John Soane's Museum, London
これだけ暗いと何でもゴスに見えるのかも(笑)。

Sir John Soane's Museum, London
地階の窓から見える中庭部分。

Sir John Soane's Museum, London
順路、次はキッチン。

Sir John Soane's Museum, London
昔訪れたときは、キッチンが公開されていた
記憶がないので、比較的近年に、
修復公開されるようになったのだと思う。

Sir John Soane's Museum, London


Sir John Soane's Museum, London
手前位に写ってしまった、真っ白な椅子の背は、
また現代デザインとのコラボ展示なので、
見なかったことに・・・(笑)。
この右側に開いた扉の内側は、

Sir John Soane's Museum, London
食器を収めたキャビネット。
上の写真左側の扉は、
食品保存庫になっていると思う。

Sir John Soane's Museum, London
ここで階段を上がって上階へ。

Sir John Soane's Museum, London
とにかく地下が陰気なので、
やっと冥界から抜け出すペルセポネーな気分で・・・
次回・最終回に続きます(笑)。





Sir John Soane Museum 
(サー・ジョン・ソーンズ博物館)


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Sir John Soane Museum (サー・ジョン・ソーンズ博物館) 再び -2-

前回に引き続き、Sir John Soane Museum (サー・ジョン・ソーンズ博物館)からの続編を。


Sir John Soane's Museum, London
今回は、メインの展示ホールへ。

Sir John Soane's Museum, London
順路から行くと、ここのトレードマークともいえる
アポロ像の後ろからのアプローチ。

Sir John Soane's Museum, London
股の間から、ジョン・ソーンズおぢさんを
撮ってみたりしながら、
順路が空くのを待っている。

Sir John Soane's Museum, London
おぢさんをまともに撮ると、こんな感じ。
建築装飾物にみっちり囲まれている。

Sir John Soane's Museum, London
アポロを側面からクローズアップで。

Sir John Soane's Museum, London
ホールの真ん中は、明かり取りの吹き抜けになっていて、
その周りを、それでなくても狭い廊下が取り囲む。

Sir John Soane's Museum, London
その壁面をびっしりレリーフが覆っているわけで、
ここで以前のように入場者制限無しの状態で
撮影を許可したら、不注意で展示物にぶち当たりそうで、
撮影禁止ポリシーも納得できた。

Sir John Soane's Museum, London
密なオーナメント達。
ここでの展示は、大英博物館などのように、
時代や地域で区分したものではなくて、
純粋にそのものの「見た目」で、
装飾としてのバランスを取って配置されている。
なので、博物館展示というよりは、
ホール自体が一つのインスタレーション・アート
という捉え方。

Sir John Soane's Museum, London
その廊下(通路)部分の天井の明り取り。

Sir John Soane's Museum, London
ホールの中心、吹き抜け部分の天井も、
ドーム式の明り取りになっている。

Sir John Soane's Museum, London
で、その床面もカットされていて、
地下の墳墓のセクションの唯一の光源となっている。
スポットライトのない時代に、
光を取り入れる工夫の数々。

Sir John Soane's Museum, London
密なディティールを色々と。

Sir John Soane's Museum, London


Sir John Soane's Museum, London


Sir John Soane's Museum, London

Sir John Soane's Museum, London
これは地母神像かな。
テーマはメソポタミア的だけれど、
表現はギリシャ的。

Sir John Soane's Museum, London

Sir John Soane's Museum, London
ジョン・ソーンズおぢさんの後ろに回り込んで
順路を次に進む。

Sir John Soane's Museum, London
その途中にも、なにやらいろいろと・・・。

Sir John Soane's Museum, London


Sir John Soane's Museum, London
絵画コレクションの展示室に向かうところで、
次回に続きますよ。






Sir John Soane Museum 
(サー・ジョン・ソーンズ博物館)


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Sir John Soane Museum (サー・ジョン・ソーンズ博物館) 再び -1-

無事、夏日に突入したロンドン。
ロンドンに四季というのはなくて、あるとしたら二季、冬か夏か。ただそれがきっぱりと分かれてなくて、夏と冬が入り乱れている・・・そんな印象。 ともあれ、おそらく・・・暖房器具はもういらないであろうというので、屋根裏にしまっている扇風機や空気清浄機(花粉症対策)と入れ替え作業をしておりました。

今回は、ロンドンでも屈指の奇妙な博物館、Sir John Soane Museum (サー・ジョン・ソーンズ博物館)のイメージを。
以前標本箱にも詰め込んだことがあるのだけれど<このページ>、当時館内撮影禁止のポリシーだったため、借り物写真で構成したら、大半の写真が非公開になってしまって、もう何が何だか分からない事に。
2020年の第一回ロックダウン後の秋に再オープンした時から、狭い館内なので大幅に入場制限して、部屋の移動もその前の人(達)が、部屋から出てから呼び入れてもらえる・・・というようなシステムになってたのだけれど、展示品だらけの館内で、混み合った状態で撮影して、間違って展示品に障害を与える・・・ようなことが無いと判断されたためか、写真撮影がOKになった。
ただし、念の為に問い合わせてみたら、ミラーレスカメラまでで、大型フルフレームのズーム・ガンレフとかはNGだそう。
そんなわけで、ミラーレスで2020年10月末の撮影です。


Sir John Soane's Museum, London
訪れた時は、やはりここも改装中。
外観は足場で覆われていた。

Sir John Soane's Museum, London
なので、この外観は今年の3月に、
近くを通りかかった時に撮ったもの。

Sir John Soane's Museum, London
エントランスを入って最初の展示室は、
ライブラリー兼ダイニングルーム。

Sir John Soane's Museum, London
時代的にも前回の大英博物館
エンライトメント・ギャラリーズと同じ頃。
なので、どことなくエンライトメント・ギャラリーズ
の小型版というか、家庭版というか・・・の感あり。

Sir John Soane's Museum, London
18世紀末から19世紀にかけて、
教養人たるもの・・・
本とギリシャの壺は、必須アイテム。

Sir John Soane's Museum, London
向かいの本棚側には、
コンテンポラリーの椅子の展示があったりで、
個人的にはこういう「コラボ」は、
迷惑以外の何物でもない(笑)。

Sir John Soane's Museum, London
この一角が、ダイニング。

Sir John Soane's Museum, London
窓辺のステンドグラス。
色大理石インレイのプレートは、
多分イタリア製。

Sir John Soane's Museum, London
別のアングルで。

Sir John Soane's Museum, London
窓の外側には小さな中庭がある。
ここも、イタリア的なるレリーフ彫刻が
溢れ出している。

Sir John Soane's Museum, London
時計の下のキャビネットの鏡張りが独特。
これ以外にも、室内のいろいろなコーナーに
鏡が使われていて、
自然光を回し込んで使う工夫が色々と。

Sir John Soane's Museum, London
ダイニングルームから、
別の展示室を覗き見る。

Sir John Soane's Museum, London
次の展示室はブレイクファスト・ルーム(朝食室)。
手前にまた、コラボのコンテンポラリーものが
写っているけれど、無視してください(笑)。

Sir John Soane's Museum, London
先のダイニングルームとの接続部分
(元々は廊下として造られていたと思う)
の天窓。
ブレックファストルームのテーマカラーに合わせて、
黄色みを帯びたガラスがはめられていて、
一段と黄色い。

Sir John Soane's Museum, London
この部屋のテーマはイエロー。
そして、ゆるいドーム型になった天井の角に、
凸面鏡がいくつも使われている。
光を拡散反射するためのもの。

Sir John Soane's Museum, London
天井には天窓が採られている。

Sir John Soane's Museum, London
天窓のディティール。
使われているのは、
17世紀(かな?)のステンドグラス。

Sir John Soane's Museum, London
ブレイクファスト・ルームの暖炉。

Sir John Soane's Museum, London
メインの展示ホールに入る手前に、
小さな特別展用に改装された一室がある。
その天窓付きのドーム天井。
装飾はネオクラシカル様式の典型。

Sir John Soane's Museum, London
少し引きで撮ったところ。

Sir John Soane's Museum, London
その部屋の横の窓から、
裏に隣り合わせた部分に当たる、
現在のショップの部屋の窓を見たところ。
ガラス自体がカーブしている、
当時の最高級のカーヴ・ウィンドウ。

と、いうところで、次回は、
メインの展示ホールのイメージから。







Sir John Soane Museum 
(サー・ジョン・ソーンズ博物館)


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Pantheon sculptures, British Museum(パンテオン彫刻、大英博物館)

コロナ・ロックダウンも徐々に緩まってきて、今日から屋内のカフェ・レストランや、博物館等、屋内のエクササイズ・クラスも再オープンのロンドンです。
ワクチン無しで感染しても全く問題なし、ほぼ無症状だったことを自覚している自分としては、逆に自前の優秀な(?)免疫力を乱す可能性のある、ワクチンを打つ気は無いので、そうすると海外旅行が不便になる(もしかすると、国内のレストラン・博物館などにも、ワクチンパスポート必要とかいって、もっと締め上げて来るかもしれないけど・・・)。
まぁ、ここ数年、もっぱらペーターおじさんのアテンドで、慌ただしくコンチネントに出かけ続けていたので、あと何年かこのコロナ騒動が収まるまで(収まるとしたら・・・笑)、ロンドンの撮影に集中することにしている。(と、いう話を今朝もおじさんと電話で話していた。今年は南オランダの博物館で、個展がある、かもしれないので― もちろんそれも、予定で未定 ―、行けないのは残念なのだけれどね。)
これは、去年から思っていたことで、秋に一時期ロックダウンが緩まって、博物館が再オープンした時も、そのチャンスを最大限活用できる場所、通常なら混み合っていてとても撮影する気になれない博物館を、狙い撃ちで撮影して回っていた。
大英博物館もその中の一つ。
ロンドンNo1博物館なので、平日・週末、時間帯、シーズン関係無し、たいてい観光客や校外授業で満員。いくつか博物館の「器」としてフォトジェニックな部屋があるにも関わらず、人混みの撮影にしかならない。
なので、展示物のフォーカスして撮影して回ったことはあるけれども(<このページ>、<このページ>や<このページ>)、展示室全体のイメージは、後にも先にも、この機会のみ・・・かもしれない。
目をつけていたのは2ヶ所、その1つ、Pantheon sculptures Room(パンテオン彫刻展示室)を今回は標本箱に詰め込んでみる。

この部屋は、紀元前5世紀ギリシャのパンテオン遺跡からの発掘物が展示されている。
これらは19世紀初頭に、当時アテネを支配していたオスマン帝国の承認のもと、イギリス大使が研究目的でイギリスに持ち帰り、そのまま大英博物館に寄贈されたもの。ギリシャがオスマン帝国から独立した後150年近く経た、1983年にギリシャから正式に返還要求が出たものの、その後はギリシャ側からの返還交渉が継続されないまま、現在に至っている(と、大英博物館側は解説している)。
なので、国際的には「大英帝国の国際遺産の略奪」と捉える人々も多いので、かなり立場的には微妙なもの。
ギリシャが経済的に復興して、もし正式に返還交渉が再開された場合、原則的に英国政府・大英博物館は返還あるいは無期限ローンに応じることになるので、それまでに(そんな事があるかどうかは別として・・・)記録に残して置きたいというのもある。
(かなり弁解がましい解説が英文で<このページに>そして、このページのバックグラウンドに、通常なら初詣並みのこの人混み・・・というのがご覧いただけますよ。 また、Wiki JPで日本語の経緯の解説は<このページ>に。)
政治的背景の前置きはこれぐらいで、イメージいきます。 撮影は2020年10月のもの。



British Museum, London
あぁ、ミニマリスティック(溜息)。
この空間の中に漂う彫刻達を撮影したかった。

British Museum, London
このコンテンポラリーとも感じる空間は、
しかし、1939年に彫刻群を収蔵するために設計された。
ルームナンバーでいうと、18にあたる。

British Museum, London
pediment(ペディメント=破風)を飾っていた彫刻群。
左部分なので、左に向かって下がっていく
三角の中に収められている。
中央の男性像がディオニソスだそう。

British Museum, London
襞の表現がなんとも繊細。
下の部分に色が残っているような。
(元々は着彩されていた。)
20世紀初期当時の判断による「洗い」で、
全部真っ白にされて、
ダメージを受けたと思っていたけれど、
これはそうじゃなかったのかな。

British Museum, London
右の部分。

British Museum, London
斜めから。

British Museum, London
レリーフでありながら、かなり立体的で、
サモトラケのニケを連想させる。

British Museum, London
第一代ミルバンク男爵、ジョセフ・デュヴィーンが、
1939年にパンテオン彫刻を収蔵するために、
このギャラリーを寄贈した、と記されている。

British Museum, London
反対の南側のヴュー。
こんな、閉館後に特別許可で入って撮影したような写真が撮れるなんて・・・、
コロナ騒動に感謝(笑)。

British Museum, London

British Museum, London
当時の古代ギリシャには、
シルクは普及してなかっただろうけど、
一体どのような生地がこの襞を生み出したのだろうか・・・
と、考えてしまう。

British Museum, London
これらの比較的浅彫りのレリーフは、
パンテオンのフリーズを取り巻いていたもの。

British Museum, London


British Museum, London


British Museum, London
これは、パナテナイア祭(アテナイ女神の誕生日)のパレードを描いたものだそう。

British Museum, London


British Museum, London


British Museum, London
これらはラピテス族とケンタウロスとの戦いを描いたもの。

British Museum, London
別室(Room 17) のNereid Monument(ネレイド・モニュメント)。
ネレイドというのは船乗りを嵐から守る、
海のニンフたちのこと。
トルコ南西部クサントスで発見されたこのモニュメントは、
Lycia(リュキア)の支配者、Arbinas(アルビナ)の
墳墓として建てられたもの。

British Museum, London
ギリシアのコリント様式をとっているけれど、
下の台座の部分がとても高く造られている。
(のは、この写真の方が解りやすいかな。)

Illustrerad Verldshistoria band I Ill 102.jpg
By Ernst Wallis et al - own scan, Public Domain, Link


こんな風になっていたと考えられている。
これはその地域の重要人物の
墳墓の伝統に準じている。
15世紀頃までは建っていたらしいけれど、
石や装飾品の盗掘目的で、破壊されていったらしい。
発見されたのは、完全に崩壊した状態で、
これも同様にイギリスの考古学者に発見されて、
イギリスに持ち帰られ、再構築されたもの。
盗掘どころか、全部持ってってしまったのだから、
きっとまた「返せ」と言われるだろうな、
トルコ人に(笑)。

British Museum, London
普通なら人で溢れかえっている
グレートコートもすっきり。

IMG_4989 copy


IMG_4987 copy
最後に、外観・・・なんだけれど、
入場者の少ないロックダウン中に
軒並み改装工事をしているミュージアムの
ご多分に漏れず、ここも大改装中。





British Museum
(大英博物館)


Map:





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Leighton House Museum, London(レイトン・ハウス博物館、ロンドン)

今回も前回に引き続き・・・、濃厚にデコラティヴだけれど、チャペルや教会ではなくて、19世紀の画家の邸宅。
Frederic Leighton(フレデリック・レイトン)の屋敷が、Leighton House Museum(レイトン・ハウス博物館)として公開されている。

裕福な中流家庭で育って、ヴェニスのアカデミアを始めとする、コンチネント(ヨーロッパ大陸)で美術教育を受け、ロンドンに戻ってからもトレンディなラファエル前派と、美術の殿堂ロイヤル・アカデミーの双方から評価を受けて、ロイヤル・アカデミーの会長職も務めるという、19世紀イギリスで、最も評価され成功した画家といえる。
お屋敷の方は、トルコのイズニック・タイルのコレクションに合わせて設計されたそうで 、中近東風耽美主義の極み、とてもエキゾティクなもの。
以前はインテリアの撮影禁止だったのだけれど、2019年の秋から撮影可にポリシーが変更になった。
そのことは、日本からの友人と一緒に訪れた時にその場で知って、ガンレフを持ってくればよかったと後悔しきり・・・。
それでも、とても興奮して、モバイルで撮りまくっていた。
その後、プロセスが後回しになって、ほぼ忘れかけていたものが、PCから発掘されて、遅ればせながら標本箱に詰め込んでおくことに。
2019年10月末の撮影です。



Leighton House Museum, London
エントランスのホール部分。
奥の壁に使われているのが、イズニックタイル。

Leighton House Museum, London
階段から、もう少し引きで見たところ。
奥の部屋は「アラブ・ホール」と呼ばれている。

Leighton House Museum, London
その部屋の中へ・・・。

Leighton House Museum, London
このセラミックのコレクションも、イズニック焼き

Leighton House Museum, London
中央には噴水のある、
四角い水盤が作られている。

Leighton House Museum, London
これもまた中近東風にデザインされた
ラティス(格子)装飾の付いた窓。

Leighton House Museum, London
金のドーム天井。

Leighton House Museum, London
そのイズニックタイルのディティール。

Leighton House Museum, London
エントランスホール側の壁にも、このタイル。

Leighton House Museum, London
階段側から見ると、
孔雀の剥製が佇んでいるキャビネットの裏は、
シーティング・エリアになっている。
階段の上階部分に、
ロード・レイトンの肖像画が2枚見える。

1880 Frederic Leighton - Self portrait.jpg
By <a href="https://en.wikipedia.org/wiki/en:Frederic_Leighton" class="extiw" title="w:en:Frederic Leighton"><span title="English painter and sculptor, and for one day a peer">Frederic Leighton, 1st Baron Leighton</span></a> - Unknown source, Public Domain, Link


一枚はこの自画像。
ロード・レイトンと呼び習わされるのは、
画家にして最初の爵位を授けられたからで、
それまでは勲爵士のサー・フレデリック・レイトンだった。
しかし、男爵位を授けられた翌日に、
狭心症の発作で急死したため、
そして継承者がいなかったため、
貴族であった最短期間記録でもあるそうだ。

Leighton House Museum, London
階段を上がった上階のランディング部分に、
ちょうどアラブ・ホールに突き出す形で、
これまたエキゾティックな、
シーティング・エリアが設けられている。

Leighton House Museum, London


Leighton House Museum, London
絵画作品の展示された上階の一室。
アルマ=タデマと共通するような、
古典様式と耽美主義を併せ持った絵画作品。

Leighton House Museum, London
Rustic Music(素朴な曲)と題された一枚。

Leighton House Museum, London
部屋の一角に置かれた椅子。
イタリアの枢機卿の屋敷に置かれていた椅子
・・・なんじゃないかと、想像する。
ヴェニスっぽい^^。

Leighton House Museum, London
ランディングを挟んで反対側は、アトリエ。

Leighton House Museum, London
現在は研究室のある隣の建物と、
繋がれている。

Leighton House Museum, London
片隅に本の展示。

Leighton House Museum, London
上階にある寝室の展示。
社交室のゴージャスな作りに比べると、
プライベートな部屋は、なんともシンプルな、
修道僧のような部屋だなと、
最初に見たときから思った。
家具が作り付けでなかったために、
彼の死後コレクションがオークションに掛けられた際に、
四散してしまったからかもしれない。

Leighton House Museum, London
もう一度下階に降りて、
庭に面したダイニングルーム。

Leighton House Museum, London
ここもイズニック焼きの展示がいくつも。

Leighton House Museum, London

Leighton House Museum, London
出窓のエリアには、
ロード・レイトンの彫刻の代表作
「An Athlete Wrestling with a Python
(パイソンと格闘するアスリート)」

Leighton House Museum, London
クローズアップ
テート・ブリテンにも収められている。

Leighton House Museum, London
このシャンデリアはムラノですね^^。

Leighton House Museum, London
これも下階にある書斎。

Leighton House Museum, London
机の前の絵画は、ヴェネチア・ルネッサンスのものかと。
Doge(提督)が描かれているので。

Leighton House Museum, London
部屋に展示されていた素描の一枚。

Leighton House Museum, London
机の上に展示されていた、
これは当時のパスポート。

Lord LEIGHTON - Leighton House 12 Holland Park Road Holland Park London W14 8LZ - 1.jpg
By <a href="//commons.wikimedia.org/wiki/User:Spudgun67" title="User:Spudgun67">Spudgun67</a> - <span class="int-own-work" lang="en">Own work</span>, CC BY-SA 4.0, Link


訪れた時は外装工事で足場が組まれて、
カヴァーで覆われていたので、
外観は借り物写真で。

閑静な住宅街に秘められた
エキゾティックなお屋敷でした。





Leighton House Museum
(レイトン・ハウス博物館)


Map:










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William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London(ウィリアム・ブレイク展、2019年、テート・ブリテン)-3-

2019年の11月に訪れたテート・ブリテン美術館でのWilliam Blakeウィリアム・ブレイク)展より、最終回。


Elohim Creating Adam, 1795-c.1805, William Blake
Elohim Creating Adam, 1795–c.1805
「アダムを創るエロヒム」
Book of Genesis(創世記)より。
ブレイクの観点では、
旧約聖書の神(エロヒム)は偽物であり、
人間の堕落はその創作の段階で、
堕落への印を刻まれている・・・
という見解を、すでに絡みつく蛇で象徴している。

Pity, c.1795, William Blake
Pity「哀れみ」 c.1795
エッチングプリントに、インクと水彩で着彩されている。
厳密にいえば挿絵ではなくて、
マクベスの一節からインスピレーションを得て描かれたもの。
「哀れみ、裸の赤子のように純真に、
疾風に乗り、あるいは、
目に見えぬ空気の流れに乗る、
ケルビム天使の馬のように
(恐るべき行為は吹聴されることになろう)。」
と、マクベスがダンカン暗殺を躊躇する一節。
これも昔から知っている絵画だけれど、
これまた、子供を失った女性の悲哀・・・的に
構図から、勝手に解釈していた。

The Night of Enitharmon's Joy (formarly called 'Hecate'), c.1795, William Blake
The Night of Enitharmon’s Joy
(formerly called ‘Hecate’)
エッチングプリントに、インク・水彩・テンペラで着彩。
死と夜の女神「ヘカテ」を描いたものと、
ずっと考えられてきた(私もそう認識していた)けれど、
実際にはブレイクの作り上げた神話の、
Enitharmon(エニサーモン)だそうで、
精神性の美と詩的インスピレーションの象徴なのだそう。

Newton, 1795-c.1805, William Blake
Newton 「ニュートン」, 1795-c.1805は、
アイザック・ニュートンを描いたもの。
ブレイクは根本的に啓蒙時代に反発している。
科学や啓蒙主義は
神秘・スピリチュアリティの対極にあるものとして。
おのずとこのニュートンの表現も、
肯定的なものではなくて、岩(物質)に同化し
精神性を失っていくものとして描かれているとのこと。

Satan Exulting over Eve, c.1795, William Blake
Satan Exulting over Eve, c.1795
「イヴに歓喜するサタン」
最初の「アダムを創るエロヒム」とまるで
対をなすかのような構図で、
イヴの陥落を歓喜するサタンを描いている。

Christ Blessing the Little Children, 1799, William Blake
Christ Blessing the Little Children, 1799
「幼子達に祝福を与えるキリスト」
これはキャンバスに描かれたテンペラ画。
ブレイクのパトロンだったThomas Butts
(トマス・バッツ)の発注で描かれた、
聖書の50枚の挿絵の一部。
マルコ福音書10章の、
「幼な子らをわたしの所に来るままにしておきなさい。
止めてはならない。
神の国はこのような者の国である。
だれでも幼な子のように
神の国を受けいれる者でなければ、
そこにはいることは決してできない。」の一節を描いたもの。
画面の左に、説話中に祝福を受けに来た
子供と女性をたしなめる弟子が描かれている。

The Body of Christ Borne to the Tomb, c.1799-1800, William Blake
The Body of Christ Borne to the Tomb, c.1799-1800
これも同じシリーズのテンペラ画、
「墓に運ばれるキリストの死体」。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
これもそのシリーズで、「エジプトの聖母子」。
ブレイクの表現だと、仏像的でもある・・・(笑)。

An Allegory of the Spiritual Condition of Man, c.1811, William Blake
An Allegory of the Spiritual Condition of Man, c.1811
テンペラ画の作品「人間の精神状態の寓話」
Fitzwilliamミュージアムの所蔵ということ以外に
作品の詳細は不明なのだけれど、
上記の聖母子ととてもタッチが似ている。

Detail - An Allegory of the Spiritual Condition of Man, c.1811, William Blake
ディティール。
最初聖痕から血を流すキリスト像だと思っていたけれど、
よく見ると女性像ですよね、これ(笑)。

Detail- An Allegory of the Spiritual Condition of Man, c.1811, William Blake
もう一つディティール。

The Horse, c.1805, William Blake
The Horse, c.1805
「馬」とだけ題されたテンペラ画。
資料を調べてみたけれども、
全く背景が出てこなくて不明。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
The Resurrection-
The Angels rolling away the Stone from the Sepulchre
これはプリントに着彩の作品で、
「復活 -天使が墓から石を動かす」。
トーンも構図もとても好きな一枚。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
Mary Magdalen at the Sepulcher
これも美しい作品。上の復活に続く、
マグダラのマリアが復活したキリストと出会うシーン。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
The Assumption(「聖母被昇天」)。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
The Angels appearing to the Shepherds
聖書のイラストレーションのシリーズで、
「羊飼いたちに天使が現れる」
そして、メシアの誕生を告げるシーン。
小さな馬小屋が中央に描かれている。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
On the Morning of Christ's Nativity
よくにた構図のNativity(キリスト降誕)の作品が
いくつかあるようだけれど、
これは、ミルトンのThe Hymn(賛美歌)という
詩作品の挿絵として描かれたもの。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
David Delivered out of Many Waters
「ダビデが水から救い出される」
これは旧約聖書からのイラストレーションで、
サウル王から逃れて水の中で、
神に助けを求めて救われるシーン。
ブレイクの解釈では、神の存在を
キリストの姿として描いている。

Satan in his Original Glory, 'Thou wast Perfect till Inquity was Found in Thee', c.1805, William Blake
Satan in his Original Glory
‘Thou wast Perfect till Iniquity was Found in Thee’
これも旧約聖書から、
「元あった栄光の姿のサタン-
汝が中に不法が見いだされるまでは、
汝は完璧な存在であった。」
神に反逆して地獄に落とされる以前は、
12枚の翼を持つ大天使長ルシファーだった。
華麗な作品。

The Great Red Dragon and the Beast from the Sea, c.1805, William Blake
対象的に禍々しいイメージの、
The Great Red Dragon and the Beast from the Sea
「おおいなる赤き竜と海からの怪物」。
Book of Revelation(ヨハネの黙示録)の一節を描いている。
どちらも7つの頭と10の角を持つという。

044-Satan Spying on Adam and Eve and Raphael's Descent into Paradise, William Blake
Satan Spying on Adam and Eve and Raphael's Descent into Paradise
「アダムとイヴを偵察するサタンと、ラファエルの楽園への降臨」
聖書の題材だけれど、直接的には、
ミルトンの「失楽園」の挿絵として描かれている。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
同じく「失楽園」の挿絵より、
Raphael Warns Adam and Eve
「アダムとイヴに警告する大天使ラファエル」
サタンの存在を警告しているところ。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
The Judgment of Adam and Eve
「アダムとイヴの裁き」
「罪」と「死」から守られた
楽園からの追放を通告される。
左に運命の矢をかざした「死」が、
右に注がれる「罪」が描かれている。

The Expulsion from Eden
The Expulsion from Eden
「エデンからの追放」
兜をかぶって、二人を連行するのは、大天使ミカエル。
4体の楽園の守護ケルビムを騎乗の姿で描いているのは、
黙示録の四騎手からの連想ともいわれている。
ミルトンの失楽園は、楽園追放された人間が、
現世に立ち向かっていく積極性を描いているので、
ここでのアダムとイヴの表現も、
それ以前の聖書図版の、ただ絶望した姿ではなく、
力強く歩を進めるものとなっている。

Epitome of James Hervey's 'Meditations among the Tombs', c.1820-5, William Blake
Epitome of James Hervey’s ‘Meditations among the Tombs’
「ジェームス・ハーヴェイの”墓場での瞑想”の概要」
英18世紀の神学者ジェームス・ハーヴェイの著書を
ヴィジュアルで表現した、物語的な大作。
死の悲哀に生きる者が、
やがて天界で別れたものと再会する・・・
というような内容らしい。
死と再会ってなんだか仏教だと、
自然な感覚なんだけれどな。

Detail - Epitome of James Hervey's 'Meditations among the Tombs', c.1820-5, William Blake
ディティール。

Detail -Epitome of James Hervey's 'Meditations among the Tombs', c.1820-5, William Blake
最後に、もう一つディティールを。


標本箱 3エントリー引っ張ったけれど、これでも展示作品のほんの一部。
じっくり見て解説を読んでいたら、一体何時間かかるやら、というような内容の濃いエキジビションでした。
ウィリアム・ブレイク、19世紀末のビジュアル性を持って、18世紀末に生きてしまったのか。
いやしかし19世紀末だと、世の中の物質主義化がもっと進んでいたわけで、それこそ彼にはもっと耐えられなかっただろうな。
なんだか、時代と世の動向のニッチに生きた画家という印象です。





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William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London(ウィリアム・ブレイク展、2019年、テート・ブリテン)-2-

課税年度が変るやいなや、早々にオンラインで確定申告を済ませてしまって、すっきり。
コロナ蔓延防止ロックダウンの援助金で、ゴキゲンに生きていたこの一年を改めて思い知るのでした。
いやもうロックダウンのまま、余生を暮らしてもいいかもな・・・とか言っていたら、夏に向けてまた少しずつ規制がゆるんで来ているロンドンです。

今回も、2019年の11月に訪れたテート・ブリテン美術館でのWilliam Blakeウィリアム・ブレイク)展のイメージの続編を。


William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
レリーフ・エッチングの詩+挿絵の展示から引き続き・・・、
ブレイクの預言書の方のJerusalem(エルサレム)の扉絵。
正式には「エルサレム 巨人アルビオンの流出」というタイトル。
(曲がつけられてUKの準国歌扱いの
エルサレムはまた別物で、
あちらは預言詩『ミルトン』(Milton)の中の一節。)

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
最初のイラストレーション、
Los(ロス←インスピレーションを擬人化したこの詩篇の主人公)死の扉を開く。


・・・というところで、ブレイク最長の預言書を、内容をWikiから咀嚼して要約する・・・気力すらなくなってしまった(笑)。
ブレイクの中心にある普遍的テーマは、"かつてキリストが訪れて(都市伝説ですよ)、エルサレム(に匹敵する崇高な都)が栄えたアルビオン(イギリス)を、近代の産業革命・帝国主義といった「物質」の支配から解き放って、精神の栄えあるエルサレムを再びここに築きあげよう。"というように要約されるので、そのラインで詩篇が構築されているものかと。


William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
展示されている図版から、ヴィジュアル的に目に留まったものを、
かいつまんで撮影している。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London


William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
とてもアール・ヌーヴォー的な構成。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
この同じエルサレムのシリーズだったかどうか、
わからなくなってしまったけれど、
上のイラストレーションとタッチがにているので、
ここに入れてしまう。

Christian in the Arbour, William Blake
Christian in the Arbour(東屋のクリスチャン)。
これはまた別シリーズのイラストレーションで、
John Bunyan(ジョン・バニヤン)の「The Pilgrim's Progress」
(「巡礼者の行程」→「天路歴程」として知られている)
のために描かれた挿絵。

Christian Passes the Lions, William Blake
Christian Passes the Lions
(ライオンを通り過ぎるクリスチャン)。
ライオンがまるで、シーサー。

Christian before the Cross, William Blake
Christian before the Cross
(十字架を前にしたクリスチャン)。

Christian and Hopeful at the Gates of Heaven, William Blake
Christian and Hopeful at the Gates of Heaven
(天国の門のクリスチャンと希望)。
大団円なのだろうね。

Ilustrations of the Book of Job, 1823-5, William Blake
これは「ヨブ記」のイラストレーション。
海陸の怪物、Behemoth(ベヒモス) と
Leviathan(レヴィアタン)が描かれている。

Satan Smiting Job with Sore Boils, c.1826, William Blake
これもヨブ記の「ヨブに皮膚病を打つサタン」。
この絵画はインクテンペラ画だけれど、
同じ構図の上記のシリーズ、
イラストレーション版もある。

The Inscription over the Gate, 1824-7, William Blake
ブレイクの晩年の大作シリーズ、ダンテの「神曲」。
ウェルギリウスに伴われて、地獄の門をくぐる。
Abandon Hope All Ye Who Enter Here
「この門をくぐるものはすべての望みを捨てよ。」
という、件の名文が書かれた門をくぐった先は、
何層もの地獄が炎と氷に包まれている・・・
というシーン。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
地獄の第八層は汚職の罪人が落とされている。
ダンテは同時代の法王Nicholaus III(ニコラウス3世)を、
ここに落とし込んで、逆さに穴に挟まり、
足を火で焼かれるという刑に落とし込んでいる。
この絵を昔から知っているのだけれど、
上に描かれているのは、罪人(ここでは法王)が、
穴に投げ込まれるシーンだとばっかり思っていたら、
(ダンテと議論して)怒りでうごめく、
ニコラウス3世のあさましい姿に恐れをなして、
倒れかけたダンテを、
ウェリギリウスが支えるというシーンだそう。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
地獄の第七層は神を冒涜した罪人達。
ギリシャ神話で、ゼウスを冒涜して、
ゼウスの雷に打たれて死んだ、Capaneus(カパネウス)。
どこの神様でも、冒涜してはいかんのですね。

Dante and Vergil Approaching the Angel Who Gurds the Entrance of Pergatory, 1824-7, William Blake
「煉獄の入口を守る天使に近づく、
ダンテとウェリギリウス」。
この神曲の挿絵は、ブレイクの晩年の作品で、
完成を見ずに亡くなっている。
なので、後半の煉獄や天国編には、
未完成で残されている部分が多い。

Dante and Statius sleeping, Virgil watching (illustration to the 'Divine Comedy', Purgatorio XXVII), 1824-7, William Blake
無事、煉獄(Purgatory)に入って、
「眠るダンテとスタティウスを見守るウェリギリウス」。
煉獄は、地獄に落ちるほどの罪ではない罪を犯した者が、
ここで悔い改めて、罪を贖うと
天国に昇ることができるようになるとされている。
ここはもうかなりのどかな風景。
スタティウスはローマ帝政期の詩人。
キリスト教に改宗したことを(身の安全のために)
隠していたことによる「怠惰」の罪を贖うために、
煉獄の第四テラスに封じられていたのだそう。

Matilda and Dante on the Banks of the Lethe with Beatrice on the Triumphal Chariot, 1824-7, William Blake
「レス川の辺りのマティルダとダンテと、凱旋車に乗ったベアトリーチェ」
煉獄は山の形をしていて、その頂上、
天国に一番近い部分に
「地上の楽園=エデンの園」が位置している。
そこを歩いていて、対岸の案内者マティルダが、
ダンテと永遠の淑女ベアトリーチェを再会させる。
この段階で、もう罪を贖ったスタティウスも、
ウェリギリウスとともに、ダンテに同行している。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
「凱旋車からダンテに話しかけるベアトリーチェ」
凱旋車は4使徒に囲まれた形になっている。
地上の楽園では何もかもが虹色の表現。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
再開を果たしたダンテとベアトリーチェ。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
クローズアップ。尊い・・・。
この後、ベアトリーチェを案内として、天国へと向かう。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
最後に、天獄篇の中から、
ダンテとベアトリーチェ、聖ペテロと聖ヤコブに、
聖ヨハネが降臨してくる。
三位一体を象徴するような構図。



次回も、ブレイクのテンペラ画を中心に続きますよ。



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William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London(ウィリアム・ブレイク展、2019年、テート・ブリテン)-1-

以前よりはのんびりしているものの、ガーデニングで庭にいることが多くて、PC作業滞り中、そんなわけで、ブログ更新遅れ気味です。


今回から、2019年の11月に訪れたテート・ブリテン美術館でのWilliam Blakeウィリアム・ブレイク)展のイメージを。
2-3年前から、美術館でも写真撮影がOKになってきている。それでも、モバイルで撮影するのを前提に許可していることが多いので、ガンレフは不可・・・などという場合も無きにしもあらず、なのでこの時は、小型のミラーレス持参で。

ブレイクに関してはあまりにも有名で、いまさら解説するのもおこがましい・・・かと思うので、上記リンクに丸投げ。
どちらかといえば、詩人の方で評価されている感があるように思うけれど、絵画の方も幻視・象徴的。
18世紀的フォルムの人物像で描かれているのだけれど、どこか19世紀末アール・ヌーヴォーや、ベルギー象徴派を思わせる、その先駆けとなったような流動的な描線、僅かな彩りが施されたモノクロームな画面等で、彼自身の時代とは完全に一線を画した、というか、およそ現世そのものと一線を画した、独自の次元・世界観がくりひろげられている。


William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
エキジビション・ポスター。原画は、
'Europe' Plate I, Frontispiece,
'The Ancient of Days', 1827

'Europe' Plate I, Frontispiece,'The Ancient of Days', 1827, William Blake
現世を設計・創造している創造主・・・
に見えるけれども、実際には
ブレイク自身の生み出した神話体系の中の、
「ユリゼン」
この原画は、エキジビションの最後に飾られている。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
ウィリアム・ブレイクはロンドンのど真ん中、
ソーホーで生まれ育っている。
現在は取り壊されて、商業ビルになってしまった
角に建つ生家の写真は、20世紀中頃のもの。
ブレイクの生まれ育った、18世紀後半は
このソーホーも中流家庭・商家のエリアだったのだけれど、
19世紀中頃から荒廃してスラム化する。
そのため、後年ブレイクの出自が、
貧しい商家と誤解されていた。
実際には、そこそこに裕福な靴下商人の家庭だった。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
唯一(と思われる)彼の自画像は、
鉛筆のドローイング。
本国のイギリスでは、この展覧会が初公開だった。
なんだか目が透視しているような・・・(笑)。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
コロナ騒動が持ち上がる以前の、
何もかもが普通だった時代の展覧会風景。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
エッチング版画やペン画の作品が多くて、
間近で鑑賞できるようになっている。

ここからは、展示作品の羅列で。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
Albion Rose 1793年頃。
たこの作品は、テートの所蔵ではなくて、
アメリカの Huntington Libraryから
貸し出しを受けたもの。
「Albion(イギリス/ブリテンの意)の興隆」
物質主義の束縛から逃れた
精神性を託して描かれている。
展覧会の筆頭を飾るにふさわしい作品。

Oberon, Titania and Puck with Fairies Dancing, c.1786, William Blake
Oberon, Titania and Puck with Fairies Dancing, 1786年頃。
水彩着彩鉛筆画。
シェイクスピアの「夏の夜の夢」のフィナーレのシーン。
現在「フェアリー」というと連想するフォルムに、
強く影響を与えていると考えられている。

Joseph of Arimathea among the Rocks of Albion, c.1810, William Blake
Joseph of Arimathea among the Rocks of Albion, 1810年頃。
「アルビオンの岩に囲まれたアリマテヤのヨセフ」
アリマテヤのヨセフが、キリストの葬儀を果たして、
聖杯をブリテンにもたらしたという伝説に触発されて、
16歳の銅版職人見習いの時代に描かれた銅版画。
それを再び、50代の頃に手直ししたものが、
この現在の作品。
ヨセフをあたかもドルイド僧のようなコスチュームで
描いていて、宗教の根源にある
普遍性を象徴するとも考えられている。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
Plate 4 of ‘Visions of the Daughters of Albion’
「アルビオンの娘(英国女性)の幻視」
と題された詩に添えられた挿絵。
「隷属させられて絶望に涙する」に対応する部分。
英国フェミニズムの先駆者の
メアリ・ウルストンクラフト著
女性の権利の擁護」との
関連性も考えられている。

Gowned Male (probably Urizen), Sitting Examining a Book, 1794, William Blake
Gowned Male (probably Urizen), Sitting Examining a Book, 1794年頃。
「ユリゼン」と考えられている。
神話体系の登場神ユリゼンが、
書物をひもとく。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
Plate 2 of ‘Urizen’: ‘Teach these Souls to Fly’1796年頃。
同じく神話詩「ユリゼン」の挿絵。
「魂に飛翔(自由)を教える」
これらの挿絵はrelief etching
(レリーフ・エッチング)という独自の手法
(具体的にどのような技法だったのかは
はっきりしていない。)のプリントに、
インクと水彩で着彩されている。
バラ色の美しい作品。

The Book of Thel, Plate 6, 1796, c1818, William Blake
The Book of Thel, Plate 6, 1796, c1818
これはまた別の詩篇「The book of Thel」より。
これも同じくレリーフ・エッチングの手法で刷られて、
着彩されている。
この詩篇では、移ろいゆく生命の存在意義・・・というような、
哲学的な内容が、「星の王子さま」のように、
探求してさまようThel(セラフィム天使の娘達の一人)
を主人公に展開されている。

Book of Thel (Copy I), 1789, William Blake
Book of Thel (Copy I), 1789, William Blake
で、これが実際の「The book of Thel」第一刷の1ページ。
レリーフ・エッチングの手法で、
テキストと挿絵を同一紙面にプリントする、
それも小ロットのハンドプリントができるようになり、
出版社を通じなくても出版が可能になった。
いわゆる、自主制作誌のハシリだったというわけです。
生涯に10冊以上の本をこの手法で出版している。

The Tyger, Songs of Innocence and of Experience, c.1795, William Blake
"The Tyger, Songs of Innocence and of Experience, c.1795"
ブレイクの詩の中でも、著名なものの一つ、「虎」。
「無垢と経験の歌」の中の一編で、無垢を象徴する羊、
力強く残忍な経験を象徴する虎、
全編を通して、この相反する存在を生み出した
神の意図を模索するテーマになっている。
善悪2元論ではなくて、
人間に人生に存在する両義性の認識と、
その融合(すり合わせ)へと昇華させている。
・・・って、ヴィジュアル系(?)なのに、
思想的な背景を書きすぎて脳がつかれた。
以下、さらっと流します(笑)。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
The Voice of the Ancient Bard,
Songs of Innocence and of Experience, c.1794
同じく「無垢と経験の歌」の中の一編。
「古代吟遊詩人の歌声」。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
The Divine Image,
Songs of Innocence and of Experience, c.1794
「無垢と経験の歌」の結章の部分で、
四善(慈悲、哀れみ、平和と愛)に形作られた
理想像で全編の結びとしている。
ということよりは・・・、この
アールヌーヴォー的な画面構成に
意識が行くんですけど・・・(笑)。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
America a Prophecy, 1793
「アメリカの予言」の扉。
「ヨーロッパの予言」と対になる詩篇。
革命の一つだったアメリカ独立戦争、
フランス革命の歴史的大革命を経た両大陸で、
結果的にワシントン、ナポレオン支配体制が確立して、
奴隷制や身分制は解決されないまま、
その後の引き続く革命・動乱を予言する内容になっている。
(って、まだごちゃごちゃ書いてるし・・・。)

Plate 3, 'Preludium, The Shadowy Daughter...', William Blake
America. A Prophecy, Plate 3,
'Preludium, The Shadowy Daughter...'
同じく「アメリカの予言」より。
「前奏曲」と題されたページ。

Plate 9, 'In Thunders Ends the Voice...', William Blake
America. A Prophecy, Plate 9,
"In Thunders Ends the Voice...."
同じく「アメリカの予言」より。
これも、水彩で描かれたあけぼのが目に留まる。

Plate 10, 'The Terror Answered...', William Blake
America. A Prophecy, Plate 10,
"The Terror Answered..."
このようにして、18版のページで構成されている。



・・・・というところで、今回はここまで。
また次回に続きます。
気力と調査能力の続く限り、解説を添えて(笑)。



















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The Wallace Collection(ウォレス・コレクション) -5-

The Wallace Collection(ウォレス・コレクション)より最終回は、West Galleryより。


The Wallace Collection, London
West Gallery(西ギャラリー)は、
この部屋から始まって、

The Wallace Collection, London
まだこの先に繋がっているのだけれど、
このとき公開されていたのは、
この展示室の半分まで。
コロナ騒動の影響で、
キャビネットを覗き込む形式の展示が
難しかったのかもしれないけれど。

The Wallace Collection, London
この展示室で最も目を引く、
フランス画家、Ary Scheffer(アリ・シェフェール)の、
19世紀中頃の作品Paolo and Francesca
パオロとフランチェスカ
ダンテの神曲の中の挿話を描いたもので、
何枚も同じテーマで描かれている中の、
最初のヴァージョンが、
ここに収蔵されているのだそう。
ほぼ同じものがルーヴルにも収蔵されている。

そういえば、チャイコフスキーの
Francesca da Riminiという
小篇のなのにエピック的に
仰々しい曲があったのを思い出した(笑)。

The Wallace Collection, London
その絵画の前には、ダンテの胸像
19世紀中頃のイタリア、フローレンス製。

ここから、階段を降りてグランド・フロアへ。

The Wallace Collection, London
インテリアが描かれていると、
つい覗き込んでしまう。
Hendrik Leys(ヘンドリク・レイス
Frans Floris going to a Saint Luke's Day Feast 1540
(聖ルーク祝祭に向かうフランス・フローリス)」
レイスは19世紀のベルギーの画家で、ここでは同じく現ベルギー、
アントワープの16世紀の画家、フローリスを描いている。
聖ルークというのは、
ヨーロッパ各地で画家組合の名称でもあり、
ここに登録された記録によって、
歴史的に画家の活動が裏付けられている。
ちなみに、男性のコスチュームや、
インテリアの雰囲気が、
イギリス・テューダー期のものによく似ているので、
てっきりイギリスの絵画だと思っていた(笑)。

The Wallace Collection, London
階段を降りると、下の階は武具の展示。

The Wallace Collection, London
テューダー期のフルメタルの鎧。


ここで少し、余談・・・。
ここのウォレス・コレクションに、その業界(歴史業界・・・笑)では有名なキュレーター、Tobias Capwell(トビアス・キャプウェル)博士がいる。
アメリカ人ながら、中世~テューダー期(12~16世紀)の武具の専門家で、研究者でありながら、実際にジャウスト(Wiki.jpではフランス語発音のジョストになっている)競技者でもあるという、世界でも唯一の博士。
ハンプトンコート・パレスのトーナメント・イベントも博士の監修で、スケジュールが合えば、博士自身で参加することもある(私も一度だけ拝見したことがある^^。)


Champion, George Boleyn
右がキャプウェル博士。


ここの武具室を見ていて、まず思い出したのが、他でもない、この博士のことだった・・・という次第。




博士の勇姿をYoutubeで。

The Wallace Collection, London
ヨーロッパの武具の展示室。

The Wallace Collection, London
アンティークなキャビネットが並ぶ。

The Wallace Collection, London


The Wallace Collection, London
16世紀初頭のドレッサー
19世紀の修復が一部入っているが、
ゴシックな透かし彫りのパネルは
オリジナルのもの。

The Wallace Collection, London
そのパネルのクローズアップ。

The Wallace Collection, London
ドレッサーの上に展示されたクラウン。
これは教会の聖母像を飾るためのものだった。

The Wallace Collection, London
その隣の展示室は、
インド~中近東の武具のコレクション。

The Wallace Collection, London
トルコの物が多かった。

The Wallace Collection, London
窓に嵌められた装飾的なグリルの影。

The Wallace Collection, London
通常なら、この中庭部分に
アフタヌーンティーもできるティールームがあって、
とても落ち着けるいい雰囲気のところだった。
このコロナ騒動で、それもクローズ。

The Wallace Collection, London
地下のトイレに行く途中にある、
オーヴァル(楕円)型の部屋。
ここの展示も全て撤去されている。

The Wallace Collection, London
最後に、もう一度エントランスに戻ってきた。
その暖炉。
手前の胸像は、チャールズ1世かと。

The Wallace Collection, London
正面の胸像は、ここのコレクションのコアを築いた、
4th Marquess of Hertford(4代目ハートフォード侯)。

The Wallace Collection, London

最後にもう一度外観を。





The Wallace Collection
(ウォレス・コレクション)


Map:





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The Wallace Collection(ウォレス・コレクション) -4-

引き続き今回も、The Wallace Collection(ウォレス・コレクション)より、East Gallaries(イーストギャラリーズ)に展示されているオランダ絵画から、目に留まったものをとりとめなく。


The Wallace Collection, London
パンを運ぶ少年」Pieter de Hooch(ピーテル・デ・ホーホ
蘭語発音だとホーホなんだけれど、
自分的には英語発音のフーチの方が親しめるかな。
17世紀のオランダの生活を描いた画家。
建築とインテリアの描写が多くて、
大いに様式や佇まいの参考になる。

The Wallace Collection, London
このステンドグラスに、カーテンのあしらいが魅力的。

The Wallace Collection, London
これも同じくホーホの「りんごの皮を剥く女」。
デルフトタイルの暖炉を見てしまう。
どちらも、身なりのいい
中流階級のお宅の日常生活を描いている。

The Wallace Collection, London
仕事中の主婦」Nicolaes Maes(ニコラース・マース
これまたかなり裕福なお宅のようで、
下方の壁にギルトレザー(革製の壁紙)
貼ってあるよね、と、目を凝らせてしまう。
奥方はレースか刺繍の
糸をさばいているのかな。

The Wallace Collection, London
レースを編む女」Casper Netscher(カスパル・ネッチェル)
ボビンレース製作中。
女性職人のもっと質素なインテリア。

The Wallace Collection, London
アムステルダム西教会の眺め
Jan van der Heyden(ヤン・ファン・デル・ヘイデン)。
アムステルダムに現在も同じ姿で建つ西教会(Westerkerk)。
アムス中心部は
今も街並みが変わらないところが多いので、
グーグルストリートを見ている気分になる。

The Wallace Collection, London
女性の肖像画Michiel Jansz. van Mierevelt
(ミヒール・ヤンス・ファン・ミーレヴェルト)
これまでの17世紀絵画に比べると、
50-100年ぐらいさかのぼった時代。
正式な肖像画ということもあって、
ご衣装が大仰(笑)。

The Wallace Collection, London
黒い帽子を被った自画像」Rembrandt (レンブラント
いくつも自画像を残しているのだけれど、
1637年の作品なので、31歳の自画像。
個人的にはじっくり描かれた感のある
レンブラントより、華やかな筆勢のある
ハルスの方が断然好きなのだけれど、
一応撮ってみた(笑)。
ハルスも最後に出てきます。

The Wallace Collection, London
画家の息子、ティトゥス」レンブラント
レンブラントの4人の子供の中で
唯一成人に達した息子。(他は幼逝している)
15歳とは思えない大人びた風貌は、
義母とともに、破産したレンブラントの管財人として、
絵画や所蔵品を売り捌くという、
経験を踏んできたから・・・
あるいは、そうさせてしまったレンブラント自身の、
息子への想いが反映されていると考えられている。

The Wallace Collection, London
青果商Willem van Mieris(ウィレム・ファン・ミーレス)
レンブラントからいうと50年ぐらい下った、
どちらかといえば18世紀に主に活動していた画家。
ロココ風マニエリスムな、装飾画要素が強いけれど、
インテリアが描かれていると、
じっと覗き込んでしまう(笑)。

The Wallace Collection, London
ミーダフォートの並木道」Aelbert Cuyp (アルベルト・カイプ
Dordrecht(ドルトレヒト)を中心に活動した、風景画家。
暖かな黄色っぽくて低い朝日/夕日を浴びた
風景画は、イタリア絵画の影響だそう。

The Wallace Collection, London
同じくカイプが描いた、「マース河の船行」。
彼が活動したドルドレヒトは、
マーズ河に面している。
河口に近いマーズ河は海のように広々としている。
ちなみに2017年の3月に
水の街ドルドレヒトを訪れたことがある。
とのときのイメージの標本箱は
このページ>から3エントリーに。

The Wallace Collection, London
そよ風の船Willem van de Velde the Younger
(ウィレム・ファン・デ・フェルデ・ヤンガー)
親子2代の海洋画家の息子の方。
手前の青と白の旗の小型船は、
オランダ国内用の船で、
外洋に出る船(左と後ろの大型船)は、
オランダ旗を掲げている。

The Wallace Collection, London
同じ画家の「凪:錨を下ろした漁船
その後ろ描かれているのは、
砲を積んだ大型の軍用船。

The Wallace Collection, London
さて、この次はGreat Gallery(大ギャラリー)へ。

The Wallace Collection, London
このギャラリーには、オランダ、イタリア、
フランス、スペインからの絵画が展示されている。

The Wallace Collection, London
真正面の中央は、ジョージ4世のポートレート
このミュージアムの核になっている
コレクションを築いた、
ハートフォード侯爵とも親しく、
コレクションのアドヴァイスを交換したり
という間柄だったそう。

The Wallace Collection, London
ここにもレンブラント。
「ジョン・ペリコーナとその息子キャスパー」
レンブラントらしく、肖像画にしては動きのある、
シーンの一部を捉えたような表現になっている。
「父さん、これ」って、
遊んでいるように見えるけれど、
ボクが手渡しているのは金貨の詰まった袋。
富裕商人の家督を次ぐ者としての象徴なのだそう。

The Wallace Collection, London
上のポートレートの、奥さんと娘の方。
ジョン・ペリコーナの妻、
スザンナ・ファン・コレンと、娘のアンナ

お嬢ちゃんの方は、将来持参金を受け取って
結婚する、そして後ろに描かれたぶどうは、
結婚して子孫繁栄という役割を象徴しているとか。
なんだか、どちらも「現金」な象徴だなぁ(笑)。

The Wallace Collection, London
Philippe Le Roy(フィリップ・ル・ロイ)の肖像画
Anthony van Dyck(アンソニー・ヴァン・ダイク
アントワープ時代の肖像画。
フィリップ・ル・ロイの婚約に際して、
ペアで描かれたものだそう。
(婚約者の方の肖像画は<このページ>)
このような全身像の肖像画は、
胸像の肖像画よりも随分高価なものだった。

The Wallace Collection, London
お気に入りのハルスの代表作が、
ここにも一枚だけ入っている。
微笑む騎士」。
ダブレット(ジャケット)の刺繍が
愛を象徴するモチーフで埋められているため、
婚約記念の肖像画ではないかとも考えれれている。
(対になる女性肖像画は見つかっていないけれど・・・。)

The Wallace Collection, London
そのディティール。
このきっぱりとした早描きのタッチが心地よい。
刺繍のモチーフは、炎をあげるコルヌコピア
愛の矢、ラヴァーズ・ノットなど。

The Wallace Collection, London
そして、Canaletto(カナレット)。
ヴェニス:ジュデッカ運河からのサンマルコ流域
ヴェニスこそ、カナレットの描いた時代から、
現在まで変化が少ないので、
絵を見ては今は行くことができない
ヴェニスを夢見ている。

The Wallace Collection, London
最後にもう一枚、カナレットのヴェニスを。
ヴェニス:サン・ジョルジョ・マッジョーレから
眺めるサンマルコ流域


次回で、最終回・・・に収まるかな?





The Wallace Collection
(ウォレス・コレクション)


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The Wallace Collection(ウォレス・コレクション) -3-

今回もまた、The Wallace Collection(ウォレス・コレクション)より、続編を。


The Wallace Collection, London
順路の次は、Small Drawing Room
(小ドローイング・ルーム)と呼ばれる部屋。

The Wallace Collection, London
絵画はフランス18世紀のロココ、
Watteau(ヴァトー)や、
その弟子にあたるJean-Baptiste Pater
ジャン=バティスト・パテル)等の、
Fête galante(雅宴画)のコレクションが中心。

The Wallace Collection, London


The Wallace Collection, London


The Wallace Collection, London


The Wallace Collection, London


The Wallace Collection, London
部屋の片隅にあった、エナメル製のAlmanac(暦)。
絵画より、こういう工芸的なものに
ついつい目が行ってしまう。
3ヶ月が1枚のパネルに収められていて、
年ごとに曜日を変えることができる。
ここで一番中心をなしているのが聖人さん達。
毎日誰か聖人さんがその日を担当している。
自分の聖人さんは、聖ドミニクだったんだ
もちろん知らなかった・・・(笑)。

The Wallace Collection, London
大理石彫りの暖炉。

The Wallace Collection, London
次の部屋は、17世紀オランダ絵画のコレクション。
ロココのフェミニンな雰囲気が苦手なので、
オランダ絵画の固くて冷たい感じに、
心が和む(笑)。

The Wallace Collection, London


The Wallace Collection, London


The Wallace Collection, London
ここから一続きのEast Gallaries
(イーストギャラリーズ)展示室へ。
ここは、17世紀のオランダ絵画の
コレクションがびっしり。


実のところ、このギャラリーズを見に、このウォレス・コレクションに来たのだった。
その昔訪れた時は、確か撮影禁止ポリシーだったと思う。
SNSのイキオイに押されて、ナショナルギャラリーでさえ、撮影可になって、このコレクションもそれに準じた。
そして、例年Pおじさんのアートフェアのアテンドで、ローカントリーズ(オランダとベルギー)の街に滞在して、空き時間に、その地方のミュージアム巡りをしていたのが、コロナ騒動でまったく身動きが取れなくなって、悔し紛れに、どこかオランダの美術館を訪れている・・・という気分で、ここにやってきたわけだった。


The Wallace Collection, London
Michiel Jansz. van Mierevelt(ミーレフェルト)の
女性の肖像画が右手前に。

The Wallace Collection, London
Nicolaes Maes(ニコラース・マース)の作品を中心に、
その右に、Jan van Noordt(ヤン・ファン・ノーズ)の、
鷹を持つ少年」。

The Wallace Collection, London
レンブラントもいくつか入っている。
(この写真では「自画像」)。

The Wallace Collection, London
オランダ絵画の海のテーマが好き。

The Wallace Collection, London


The Wallace Collection, London


次回はこのギャラリーズから、
目に留まった絵画作品をいくつか。




The Wallace Collection
(ウォレス・コレクション)


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The Wallace Collection(ウォレス・コレクション) -2-

The Wallace Collection(ウォレス・コレクション)から、引き続き。


The Wallace Collection, London
順路に沿って、次の華やかな部屋へ。

The Wallace Collection, London
マントルピースの中央にある、
球体状のものも時計
それを挟んだ彫像は、ルイ16世に
助言を授けるミネルヴァを描いたもの。

The Wallace Collection, London


The Wallace Collection, London
部屋の奥のキャビネットには、
ロココ様式のPorcelaines des Sèvres
セーヴル焼)ポーセリンがディスプレイされている。

The Wallace Collection, London
重厚なシャンデリアが天井に接する、
ローズには・・・、

The Wallace Collection, London
太陽神アポロがレリーフで描かれている。

The Wallace Collection, London
その次の部屋は、Oval Room(オーヴァル・ルーム)、
18世紀ネオ・クラシカル様式で見られる、楕円型の部屋。

The Wallace Collection, London


The Wallace Collection, London
この中庭に面しているサッシュ窓もカーヴしている。
Bowed (Curved) Sash Windowsと呼ばれて、
板ガラスも、加熱して窓枠にフィットするように
作られている。
ガタピシするサッシュ窓を、
家で使っている者としては、
どうやってメンテ、微調整するのか、
考えるのも恐ろしい(笑)。

The Wallace Collection, London
この部屋のFrançois Boucherのコレクション。
ほとんど春画ですね(笑)。
左から、
Mars and Venus surprised by Vulcan
Jupiter and Callisto
Venus and Vulcan

The Wallace Collection, London
これまたスカート覗きなエロい、
FragonardのThe Swing(ブランコ)
もこの部屋にコレクションされている。

The Wallace Collection, London
次の部屋はLarge Drawing Room
(大ドローイング・ルーム)と呼ばれる部屋。

The Wallace Collection, London
この部屋はがらっと変わって、
オランダ絵画のコレクション。
左から、
White Cockatoo and other Birds
A Family Group in a Landscape
Red Macaw with other Birds

The Wallace Collection, London
正面から。

The Wallace Collection, London
暖炉側の壁の絵画も、典型的な
17世紀オランダ静物画の、
Still life with Lobster
(ロブスターのある静物画)。
ガラスや磨き上げられたピューター食器の
映り込みを描き切るところが職人芸。

The Wallace Collection, London


The Wallace Collection, London
窓を飾るペルメットの装飾性もさることながら・・・、

The Wallace Collection, London
17-18世紀のフランス最高級のキャビネットメーカー、
André-Charles Boulle の家具が、
いくつもコレクションされている。

The Wallace Collection, London
その一つのワードローブのディティール。
ギリシャ神話のApollo and Daphne
(アポロとダフネ)のモチーフ。
Boulle の家具は、真鍮や鼈甲を使った
高度なインレイ(象嵌)が特徴的。


今回はここまでで、次回も続きますよ。




The Wallace Collection
(ウォレス・コレクション)


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The Wallace Collection(ウォレス・コレクション) -1-

今回からは、ロンドンの中心部にあるミュージアムThe Wallace Collection(ウォレス・コレクション)のイメージを。
19世紀のフランス系貴族ハートフォード侯爵リチャード・シーモア=コンウェイのコレクションを中心に、1900年より一般公開されているミュージアム。詳細は上記リンク先の日本語Wikiで。

訪れたのは2020年10月初旬で、コロナ騒動からの予約入場制で公開していた時期。
現在はロックダウン再閉館で、予定では5月17日から再オープン・・・だとか。しかし、全てが流動的なので、なにも信じてはいないし、もうロックダウンに順応しきってしまったので、そんなにウィルスが怖いのなら、このままずっとロックダウンにすればいいのにとすら思ってしまう(笑)。
ロックダウンでロンドンにひと気のないうちに、街並み撮影をもう少し進めたいのだけれど(4月12日からショップが再オープンする可能性高し)、とにかく天気が悪くて、次の10日以上ずっと雨がち。春で庭仕事も増えてきてるので、ちょっと焦り気味の今日このごろ。


The Wallace Collection, London
まずは外観。
今回は外観も忘れずにちゃんと撮った。
しかし、どこもかしこもひとけが少ないのを利用して、
建設・改装工事ラッシュ。
ここでもやっぱり、足場とカヴァーが。

The Wallace Collection, London
基本的にお屋敷ミュージアムなので、
エントランスを入ると、まずはメインの大階段が。

The Wallace Collection, London
階段のメザニン・レベルから、
エントランスをふりかえったところ。

The Wallace Collection, London
メザニン・レベルから、上階のランディングへ。

The Wallace Collection, London
フランス18世紀François Boucher
フランソワ・ブーシェ)の、
対の作品The Setting of the Sun(日没)と、
The Rising of the Sun(日の出)。
太陽神アポロを描いたもの。

The Wallace Collection, London
階段上のランディング。
この絵画もフランソワ・ブーシェの、
Pastoral with a Bagpipe Player
(バグパイプ奏者のいる田園風景)。
典型的な18世紀ロココスタイルは、
19世紀初頭には激しく評価が下がっていたとか、
18世紀末のフランス革命時に、
競売に出されたフランス貴族の屋敷からの、
美術調度品がイギリスに大量に流入したとか、
言われているけれど、
ここのコレクションの核になっているのは、
その18世紀の美術調度品なのだった。

The Wallace Collection, London
同じくブーシェの、
Pastoral with a Couple near a Fountain
(泉の辺りにカップルのいる田園風景)
このホールはブーシェのコレクションで
まとめられている。

The Wallace Collection, London
その下の18世紀後半のブックケース
装飾部分は鼈甲に真鍮で、エボニー材に、
マーケトリー象嵌されているもののよう。

The Wallace Collection, London
ランディングの豪華な柱は、
コリントス式(Corinthian order )。

The Wallace Collection, London
リヴァイヴァルらしく、
色々余分についているけれど(笑)。

The Wallace Collection, London
ランディングの奥にはconservatory
(コンサーヴァトリー)。

The Wallace Collection, London
コロナ騒動以前は、ここにベンチが並んでいて、
明るい日差しの中、まったりできたのだけれど、
シートは全て取り除かれている。
上の写真の、ランディングの丸い椅子にも、
2m間隔を示す真っ黄色のステッカーが、
デカデカと貼られているので、
フォトショで消したわ・・・(笑)。

The Wallace Collection, London
植物と彫刻が重なるのがいい感じに
フォトジェニック。

The Wallace Collection, London
ランディングを振り返りながら、
最初の展示室へ。

The Wallace Collection, London
装飾的な比較的小ぶりの家具が並ぶ。
右端のキャビネットとライティングテーブルのセットは、
緑の漆風に仕上げられている。

The Wallace Collection, London
このあたりは家具ばかり見ていて、
絵画に注目していなかったけれど、
ジョシュア・レノルズがいくつが含まれている。

The Wallace Collection, London
これは再びブーシェ。
暖炉とシャンデラブラなどは、ネオクラシカル。

The Wallace Collection, London
次の小さな展示室は壁一面が、
ミニチュア絵画のディスプレイになっている。

The Wallace Collection, London
色味とプローファイルの優美さで目をひいたのは、
Jean-Urbain Guérinの作品

The Wallace Collection, London
その下にある、このミニアチュアも典雅。

The Wallace Collection, London
これは、イギリスのミニチュアのコレクションかな。
ちょっと硬い感じと、コスチュームからそう思う。
上から2番め真ん中に、
クロムウェルなんかいるし。

The Wallace Collection, London
同じ展示室にある、Snuff Box
(嗅ぎタバコ入れ)のコレクション。

The Wallace Collection, London
その次の展示室。

The Wallace Collection, London
絵画はジョシュア・レノルズが、
コレクションの中心に。


次回も(まだまだ)続きますよ。





The Wallace Collection
(ウォレス・コレクション)


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V&A Wandering(V&Aを彷徨う)

今回は、しばらく続いたV&Aシリーズのしめくくり、ということで、展示室やテーマでひとくくりにできなかった、断片的なイメージを色々と並べて、巨大なV&Aを足の赴くまま、さまよい歩いている・・・というイメージで。
昨年9月に訪れたときのイメージと、そのまた以前に撮ったもの、いろいろまぜこぜです。


V&A
最初は、V&Aのメインエントランス。
といっても昨年の9月の段階では、
コロナ拡散防止の一方通行制で、
ここは出口専用。
Exhibition Roadにあるエントランスで、
ネットで時間ブッキングして、
また列に並んでやっと入館。

V&A entrance
Dale Chihuly(デイル・チフーリ)のシャンデリアの下がる、
Rotunda(ロータンダ=ドーム屋根のあるホール)は、
このエントランスの奥。
閉館・入場制限になる以前は、
木曜日に、主にグランドフロアの
展示室だけなのだけれど、
夜の10時までオープンしていた。
夜の博物館というのもなかなかポエティック。

V&A late opening night
その夜のミュージアムの中庭。

V&A
これは昨年の9月、中庭への出口。

V&A
コロナ騒動の2020年9月は、
この中庭カフェだけがオープンしていて、
通常よりは限られたメニューで、
それでもランチやお茶が、
かろうじてできるようになっていた。

Rainy day at V&A
これは昔の写真で、
開館当時からのカフェ・エリア
(Gamble room, Morris room, Poynter room)
の一角にあるトイレ。
これも同時代に作られた、オリジナルだと見ている。
残念ながら、このカフェ・エリアは
現在はすべて(トイレも)クローズされている。

V&A
シルヴァーの展示室。
「開館当時からのカフェエリア」の上階に当たる。
天井の装飾から、ここも
開館当時オリジナルの装飾だとわかる。

V&A
シルバー展示室の一角の階段で出会ったミューズ。

V&A
オリジナル19世紀、コテコテ装飾の階段。

V&A
別のアングルで。
古代ギリシャの伝説的彫刻家
ペイディアスをトップに、
ラファエル、ティツィアーノ、レンブラントと、
当時の神格化されたアーティストが続き、
最後にターナーが入っている。
ということは、死後50年で
(現在の建物がオープンしたのが1909年)
神格化殿堂入りしていたわけだ。

V and A, London
階段上の通路部分に展示されている
モザイクのポートレートは、
元々は展示室の吹き抜け壁の上部を飾っていたもので、
Kensington Valhalla
「ケンジントン(博物館のある場所)ヴァルハラ」
と呼ばれる・・・つまり「芸術の殿堂」入した
歴史的文化人達が、19世紀的ヴィジョンで描かれている。
左から、イタリア・ルネッサンス画家Bernardino Luini
ベルナルディーノ・ルイーニ),
建築家Sir Christopher Wren(サー・クリストファー・レン),
神学者・教育家 Willaim of Wykeham(ウィカムのウィリアム),
彫刻家Grinling Gibbons(グリンリング・ギボンズ),
イギリスで活動したルネッサンス画家
Hans Holbein(ハンス・ホルバイン),
イタリア・ルネッサンス画家Giorgione (ジョルジョーネ)、
画家Sir Joshua Reynolds(サー・ジョシュア・レノルズ
イギリスの文化人に混じって、
イタリアルネッサンス画家が頻繁に登場するのが、
19世紀イギリスのイタリアルネッサンス礼賛が
見て取れて面白い。

V&A late opening night
別の一角に展示されていた
「ケンジントン・ヴァルハラ」の一人。
リフレクションで遊んで撮っていたので、
誰だか不明 (笑)。

V&A
東側のウィングで、
ジュエリー室への入口の奥にある、
Leighton Room(レイトン・ルーム)
フレデリック・レイトンの描いた壁画が展示されている。
元々は、上記の「ケンジントン・ヴァルハラ」モザイク達とともに、
壁面を飾っていた。

V&A South Court 19th century
こんな風に。

V&A
宗教関連のメタルワークと、
ステンドグラスの展示室。

V&A
ビアズレーとともにお気に入りの、
Harry Clarke(ハリー・クラーク)の
ステンドグラスを見つけて喜ぶ^^。

V&A
コロナ騒動でなくとも、ほとんど人気のないタペストリー室。

V&A
運命を司る3人のモイラ達。
右から、命を紡ぎ出すクロートー、
それを測るラケシス、
そしてちょん切ってしまうのが役目のアトロポス。

V&A
タペストリー室の隣りにある、
シアターコスチュームの展示室。
目を引くのが太陽王ルイ14世のコスチューム。
ダンスの好きな王様がBallet de la nuit(夜のバレエ)
で自ら太陽神アポロに扮したコスチューム・・・
を1969年のプロダクションのために復刻したもの。
<資料はこのページ
2000年のフランス映画「Le roi danse」ども、
このシーンが復刻されている。
このページ

Set Model for Martine, 1985
シアター・パフォーマンスの展示室には、
ステージセットのミニチュアも
いくつか展示されている。

V&A
ペーターおじさんを思い出しますねぇ(笑)。

V&A


V&A
最後にCromwell Road側の外観を。











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V&A British Galleries (V&A ブリティッシュ・ギャラリーズ)

2週間の寒波の話はまるでウソ。 5日ぐらい氷点下前後が続いただけで、今日からは5℃前後の気温で、明日には13℃になるのだそう。相変わらずまったりいい加減な、ロンドンの冬。
今年はアムスのカナルも凍って、スケートできたそうだし、ドイツのバンドの兄ちゃんのインスタでは「-14℃」とか言ってるし、コンチ(コンチネンタル=大陸ヨーロッパ)はマジで寒かったようだけれど。

昨年の9月に訪れたV&Aから、今回はBritish Galleries(ブリティッシュ・ギャラリーズ)のイメージを。
前回までの中世に引き続く形で、ヨーロッパの17-19世紀をカヴァーする展示室「Europe 1600-1815」8室が、エントランスを挟んだ反対側の西ウィングの地下(フロアレベル-1)に、そして、ブリテン(英国)17-19世紀カヴァーする28室が、2つのフロアに分かれて、その上階のフロアレベル1とフロアレベル3に設置されている。
長い改装を経て、2001年11月ににオープンしたもの。
イギリスの工芸を見たいけれど、広大なV&Aのどこから回ったらいいのか?という場合は、まずはこのギャラリーズをオススメしている。


V&A, British Galleries
the 'Old Palace' at Bromley-by-Bow
17世紀初頭のインテリアを移築したもの。

V&A, British Galleries
ここのギャラリーズでは、様々な素材に渡って、
その時代のスタイルを見せることを目的としているので、
どの展示室にも、
刺繍・タペストリーなどのファブリックの展示が混じっている。
ファブリックは、光に弱いので、
とりわけ暗く保管する必要があるので、
どの展示室もたいがい暗い・・・。
新しいカメラボディをここでテストしている(笑)。

V&A, British Galleries
17世紀の刺繍。

V&A, British Galleries
17世紀のクオーツとルビーの
バングルブレスレット・・・だと思うけれど、
V&Aサイトのコレクションサーチのシステムが、
一新されて、ものすごく使いにくくなって、
詳細を一緒に撮影してこなかったら、
もう何が何だか分からない状態。
(「広くダサく」から「狭くオシャレに」なった)
なので、解説がまるでないものもあり。
その場合は、ただヴィジュアルを
お楽しみくださいということで・・・。

V&A, British Galleries
これは知ってる^^「The Drake Jewel」。
エリザベス1世から、海軍提督というか、
国営海賊の親分
Sir Francis Drake(フランシス・ドレイク)に贈られたもの。
ロケットになっていて、
中にNicholas Hilliard(ニコラス・ヒリアード)の描いた、
エリザベス1世のミニチュア画が収められている。

V&A, British Galleries
マーキュリーが描かれた壁画。

V&A, British Galleries
Great Bed of Ware, 1590-1600
16世紀末~17世紀初頭の、
オーク彫りのベッド。
ロンドンから北のケンブリッジに向かう
ルートの途中にある
Ware(ウェア)という町の宿屋にあったものだそう。
「12人寝れる」という触れ込みで、
観光名物になっていたのだとか。
(ちなみに幅は3m。)

V&A, British Galleries
17世紀(かな?)の、オーストリッチの扇。

V&A, British Galleries
17世紀初頭の刺繍の手袋。
(資料は<このページ>。)

V&A, British Galleries
クローズアップ。
テューダーローズが描かれている。

V&A, British Galleries
17世紀後半のカスケット。
女性がジュエリーなどの大切なものを
収めておくために使われたもの。
(資料は<このページ>)
これは、11-12歳ぐらいの女の子が制作したもので、
刺繍のお勉強の総仕上げ
「卒業制作」的なものなのだそう。
上に無粋なブラスチックシートを貼ったのは
いつの時代かっ?て思ったら、大間違い。
刺繍の保護のために、とても珍しい
雲母のシートを被せて、元々作られている。
女の子はデザインに従ってパネルを刺繍して、
それを指物師がキャビネットに仕上げた。
こんな凝ったことができるのは、
さぞかし裕福な家のお嬢さんだったに違いない。

V&A, British Galleries
その刺繍カスケットのもう一つの例。
これは、Martha Edlin(マーサ・エドリン)という
11歳の女の子が、1671年までに刺繍したもの。
(資料は<このページ>)
ライオンの顔が革命で処刑された、
チャールズ1世に似ているような?
この時代はチャールズ2世の王政復古後なので、
チャールズ1世に捧げられているのかな?
などというのは、もちろんフカヨミかも(笑)。

V&A, British Galleries
これも同じくマーサお嬢ちゃんの力作。
いやぁ、この子ホントに才能あるわ(笑)。
現代だったら、刺繍家で生きていけるよ。
これはジュエリーケースということなんだけれど、
その蓋の部分のパネルかと。
(資料は<このページ>)
中心に描かれているのはCockatrice(コカトリス)。
彼女のウチの紋章か何か関係していたのかな、
というのは、また、勝手な妄想。

V&A, British Galleries
イングリッシュ・デルフトの、
チャールズ1世を描いたチャージャー(飾り皿)。
(資料は<このページ>)
クロムウェル共和制真っ只中の1653年に、
これを発注したのは王党派のカップル。
もちろん見つかれば処刑は免れない。
いかに潜伏王党派が多かったかということと、
資料に書かれている。
水面下でロックダウンや某ワクチンに
反対している私も、処刑覚悟で、
アンチの作品でも作ろうかな(笑)。

V&A, British Galleries
これは資料不明。
17世紀イングリッシュ・デルフトのタンカードかと。

V&A, British Galleries
Chintz(更紗)プリントのテキスタイルは、
元々インドの木版プリントに始まり、
17世紀頃から、地中海諸国を経て、
ヨーロッパ全土に普及していった。
これは18世紀のベッドカヴァー。

V&A, British Galleries
17世紀のファイアーバックス
(暖炉の奥の壁に置いて、
ラジエター的役割を果たす飾りパネル)
(資料は<このページ>)
聖パウロがマルタ島で座礁した時、
熾した火の中から出てきた蛇に噛まれるが、
傷つけられなかったことから、
彼の神聖が認められたという、
聖書の逸話を描いたもの。
「神とともにあるものが、傷つけられることはない」
と、これまた暗に王党派支持を示唆するもの
とも考えられている。

V&A, British Galleries
18世紀初頭の家具や、ファブリックのディスプレイ。

V&A, British Galleries
このヴェルヴェットでコテコテに飾られた天蓋は、
18世紀初頭の、The Melville Bed(メルヴィル・ベッド)のもの。
(資料は<このページ>)
ヴェルヴェットの下には、木彫の芯が入っている。

V&A, British Galleries
その下のベッドの部分。
スコットランド、Fife(ファイフ)のMelville House(メルヴィル・ハウス)の、
Sutate Bedroom(ステート・ベッドルーム=
ロイヤルの滞在を意図して、特別に設えられた部屋)より。
発注者のGeorge Melvilleは、
ライハウス陰謀事件に関与して、
オランダへの亡命を余儀なくされるが、
オランダでオラニエ公ウィレム(ウィリアム)3世の知己を得る。
彼がイングランド王に招聘されるとともに、
イギリス/スコットランドに戻って、地位を復旧する。
そのウィリアム3世の滞在を
期待して作られた寝室だったけれど、
実際に王が滞在したという記録はないそうだ。

V&A, British Galleries
そのウィリアム3世と共同統治した、
メアリ2世の17世紀末テラコッタ彫像。
(資料は<このページ>)

V&A, British Galleries
カードゲームは、17世紀のジェームズ2世の
カトリック復興策→名誉革命の頃の
ややこしい政治+宗教の出来事が描かれている。

V&A, British Galleries
17世紀後半から18世紀前半の、
ブリティッシュ・バロック様式の展示室。

V&A, British Galleries
18世紀初期の刺繍壁掛け。(資料は<このページ>)
コンチネンタルな整形式庭園の様子。

V&A, British Galleries
18世紀のロンドンのお屋敷の
ドローイングルーム。

V&A, British Galleries
最後に18世紀前半のロンドン、
Norfolk House(ノーフォーク・ハウス)の音楽室。
フランスの影響を強く受けた様式。
確かにヴェルサイユに近い感じ。

まだ、19世紀に続いていくのだけれど、
この時は18世紀の展示を見た後、移動した。
またいつか、ロックダウンが開けて、
V&Aを訪れることができるようになったら、
この続きを撮影して回りたいな。










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V&A Medieval rooms (V&A 中世ヨーロッパ)

今日は、まれに見る雪のロンドンです。今週来週と、氷点前後の気温が続くそうで、明日の夜はマイナス6度の予報、本当かなぁ~。
明日はいいお天気そうだけれど、寒い中あるきまわって(吹雪の中、ハンブルグの倉庫街を撮っていた・・・笑)モバイルフォン死にかけさせた事があるので、明日は撮影に出かけずにおとなしくしていようと思う。

さて、本題は、引き続きV&Aより、今回は中世関連の展示室を。


V&A
前回のルネッサンス室の
大聖堂スクリーンををくぐると、
中世ヨーロッパの展示が始まる。
ドラゴンから出てきたといえば、聖マルガリタ

medieval room V and A
V&Aからの借り物写真で、
展示室はこんな風。

V&A
聖母子の祭壇レリーフ。
脇侍は聖ジョージかと。
詳細をリサーチする時間がないので、
イメージだけでどんどん行きます。

V&A
そのディティール。
木彫の上にジェッソを引いて、その上から着彩。
彩色が瑞々しく残っている。

V&A
Adoration of the Shepherds(羊飼いの礼拝)
の祭壇レリーフ。

V&A
そのディティール。

V&A
Death of the Virgin(聖母入滅とでも訳すのかな)。
これも祭壇レリーフの一部。
裏はないけれど、人物描写がなんとなくドイツっぽいな。

V&A
花籠を持った聖母子というのは、珍しい構成。

V&A
この展示室の一番奥に、
トンネルのように、とても暗い
小さな展示室が続いている。
そこでは光からの保護が必要な、
ファブリックの展示物が集められている。
これは刺繍の聖ルチア
目の入ったボウルで識別される。
ナポリの聖人さんで、
カンツォーネ「サンタ・ルチア」は彼女のこと。

V&A
その対になった刺繍の聖人さんは、
誰だかわからないな・・・。
手に持つのはCross of Lorraine(ロレーヌ十字)。
これで鎧でも着ていたら、
Jeanne d'Arc(ジャンヌ・ダルク)なのだけど。

V&A
こってり重厚な金糸刺繍の、Mitra(ミトラ=司教冠)。
右の女性の聖人は、手に香壺を持つので、
St Maria Magdalena(マグダラのマリア)。
左は不明。

V&A
このミトラは、聖人さんじゃなくて、
丸顔の小坊主のような天使が飛び回っていて、
中世というより、ルネッサンス的な模様使い。

V&A
これはスカーフぐらいのサイズなので、
聖体拝領の前にチャリス(聖餐杯)にかぶせておく、
chalice veil(チャリス・ヴェイル)。

V&A
これは刺繍ではなくて、
(多分)シルク生地に描かれた
受胎告知のシーン。
テクニークのせいか、仏教美術的でもある(笑)。

この暗いトンネルを出て、
先のルネッサンス室の階段を上がると、
この上階にも中世の展示が続いている。

medieval room V and A2
ちょうど先の暗っらーい展示室の上階に当たる部分。
中世の建築構造の一部が展示されている。
(写真はV&Aからの借り物。)

Sir Paul Pindar's House
屋敷のベイ・ウィンドウ(張出し窓)のファサードが
保存されている。
これは資料を見つけた<このページ>。
17世紀初頭建造、現リヴァプールストリート駅の近くの、
富裕商人の屋敷だったそう。

Sir Paul Pindar's House and 19c photo
19世紀の写真では、未だに現役。

Stone faces
そして、ここでは壁に並ぶ、
中世の教会装飾の頭達が見もの。

Stone face
皆なんかこう・・・一癖ある表情(笑)。

V&A
この吹き抜けのエリアから、
まだ中世の展示室が続く。

V&A

Medieval gallery


Medieval gallery

Tabernacle
中でも目を引く収蔵品は、このタブルナクル。
資料は<このページ>。
12世紀のケルン製で、
ロマネスク教会をかたどったもの。

The Sion Gospels
そしてこの「The Sion Gospels(シオン福音書)」のカヴァー。
資料は<このページ>。
シャルルマーニュ帝からの贈答品と考えられている、
12世紀の現在のドイツで制作されたもので、
石留めとエナメルパネルで飾られている。

Detail - The Sion Gospels
自分の作品の参考資料で、
ディティールをいろいろ激写。


中世ヨーロッパの部屋はこれぐらいで、
まだV&Aから続きますよ。







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V&A Sculptures (V&A 彫刻)

前回に引き続き、V&A(ヴィクトリア・アンド・アルバート・ミュージアム)より、ルネッサンス彫刻~彫刻展示室のイメージを。


V&A
前回のCast Courtsが修復でクローズされていた間、
最もV&A的なヴューはこの部屋、
Medieval&Renaissance
(中世・ルネッサンス室)だったと思う。

V&A
16世紀フローレンスのアポロの後ろは、

V&A
16世紀オランダの大聖堂の
スクリーン(間仕切り)。
アポロとペアになって立つのは、
西風の神、ゼファー。

V&A
いつでも優男に描かれるアポロを
クローズアップ。

V&A
イタリア彫刻の「うねる」柔軟性に比べて、
オランダやドイツの北方ルネッサンス彫刻は、
硬い印象だけれど、
幾何学的フォルムに組み込まれると、
とてもしっくりくる。

V&A
16世紀Giovanni della Robbiaの「受胎告知」
イタリア・フローレンスの、
陶製彫刻・レリーフの工房。
ルカ・デッラ・ロッビアを始めとする一族で
製作された作品は、現在でも
世界各地のミュージアムや建築でお目にかかる。

V&A
たおやかなガブリエル君のクローズアップ。

Rainy day at V&A
両脇にも天使君達。

Rainy day at V&A
「聖母昇天」の祭壇レリーフも、
デラ・ロッビア一族のアンドレアの手になるもの。

V&A
優しいたおやかさが共通した特徴。

上の写真の大聖堂のスクリーンをくぐって、
向こう側は中世のセクションになる。
中世はまとめて次回に回すとして、
今回は彫刻のくくりで、
中庭とメインショップの中間にある
彫刻の展示室へ。

V&A
といっても、このときは、
彫刻のディティールを撮って遊んでいるだけ(笑)。
全体のヴューは<こんな感じ>。

Sculpture

Busts
このあたりは、イギリス18世紀のバスト(胸像)。

V&A

V&A
自分ちのガーデニングで、
大型のアーンを探していたせいか、
やたらアーンばかり撮っている(笑)。

Untitled
ディティール。

V&A
そしてまた、ディティール。

Part of vase
もう一つ。

Diana the Huntress - Joseph Nollekens - 1778
18世紀のダイアナの彫像のディティール。

Cupid Kindling the Torch of Hymen - George Rennie, about 1831
19世紀George Rennieのキューピット達

Thuner - John Michael Rysbrack, about 1728-30
18世紀のアングロサクソンの雷神Thuner
木曜日(Thursday)の神様でもある。

Sunna - John Michael Rysbrack, about 1728-30
最後は、同じシリーズの
アングロ・サクソン太陽の神Sunna
そう、日曜(Sunday)の神様。
この2つのアングロサクソン・シリーズ彫刻は、
もともとはStowe(ストウ、現ナショナル・トラスト)
の庭にあったものだそう。
庭に彫像があるのってすてきだな・・・、
というので、うちの庭でも
小さな小さな規模だけど、
ついつい彫像を買ってしまうのでした(笑)。


V&Aから次回も続きます。






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V&A Cast Courts (V&A カースト・コーツ)

相変わらずの曇天の続く中、昨日は昨年から発注していたシカモアの大木の伐採の日だった。
一昨年に隣の隣人たちが、隣に伸びている部分を、きつく刈り込んで(敷地内に侵入してきた木は切っていいことになっている)、ウチは相変わらず伸ばしっぱなしだったので、とてもバランスがおかしいことに。
下のフロアのおばさんが、強風の日にウチに向かって傾いで揺れている・・・と心配するものだから、そしてまたその伸びた大枝の一つが、明らかに死んでいるので(放っておくと腐って、強風の時に折れて落ちて、下にあるフェンスなどにダメージを与えかねない)、クラウン・リダクション(木を伐採して、一回りサイズを小さくすること)も兼ねて、整理してもらうことにした。
うちのエリアはコンサヴェーション・エリア(歴史建造物保護地区)で、そうすると庭に生えている、幹の直径7cm以上の木も保護対象になっている(なぜ7cmか根拠は不明だけど)。
なのでTree surgeon (木の外科医つまり木を伐採する専門業者。日本語では「庭師」でくくられるのかな?)の業社がカウンシルに申請して許可をもらう手続きが入る。 そして、木に葉のない冬は伐採のトップ・シーズンなので、昨年の9月から問い合わせてもらって、1月後半にやっと予定が入った。
建築や庭など、戸外での仕事は、今回のロックダウンでは全く影響なしで、予定通り早朝から開始。


20210127094851_IMG_3269-01
スッキリしてあまりにも嬉しいので(笑)、写真まで載せちゃう。

20210127113914_IMG_3277-01
セカンド・フロア(日本式にいうと3階)の、
うちの窓から、間近に観察した伐採。
庭師のお兄さんたちの勇姿。


評判のいいローカルな業者で、観察していても、とても丁寧に樹形・成長量を見ながら、伐採しているのがよくわかった。
何事も、いい仕事をしているのを見るのは、実に楽しいなーと、職人気質の私は思うのだった^^。

さて・・・、近況の閑話休題で、本題のV&Aの話へ。

**************


今回は、V&AのCast Courts (カースト・コーツ)と呼ばれる2部屋のイメージを。
この部屋では、イギリスやヨーロッパ大陸(本土)の中世・ルネッサンス期の代表的な彫刻・建造物ディティールの、リプロが展示されている。
そう、この部屋にあるのは本物ではなくて、コピー。
コピーといっても、19世紀中頃に発注して入手されたもの。
18世紀以降、裕福なボンボン達はこぞって、グランド・ツアー(家庭教師付きで、文化教養を吸収するために、イタリア・ギリシャの遺跡等を巡る旅行。)に出かけるのだけれど、そのような地位ではない学生や製造業者に「文化」を、伝えることを目的として企画されたものだった。
当時の「これが文化」を一堂てんこ盛りの展示室の、「美の殿堂」ぶりが、とてもフォトジェニックなのでした。
2011年から修復工事に入って、2018年12月1日に両室ともに再オープン。



V&A, Cast Courts
壁に配された中世のアーチは、
Portico de la Gloria(栄光の門)、
12世紀スペインのSantiago de Compostela
(サンチャゴ・デ・コンポステラ)大聖堂のもの。
これとケルトの十字が並ぶという、
実際にはありえないコントラストが面白い。

V&A, Cast Courts
装飾物の重なりが、
このままテキスタイルのパターンにしてもいいような・・・。
Sue Timneyを想像してます・・・笑)

V&A, Cast Courts
ちゃんとカメラをやるようになった時には、
この2室は修復に入っていて、
今回新しいカメラボディを手に、
修復後のこの部屋を訪れて、大いに盛り上がっている。

V&A, Cast Courts
ディティールを、クローズアップで。

V&A, Cast Courts

V&A, Cast Courts

V&A, Cast Courts

V&A, Cast Courts
Court(コート=中庭の意味)ではなくCourts(コーツ=複数形)
でよばれるのは、ここには2室あるから。
これはもう一室の方。
なにを基準に
2部屋に配列されているのかは知らないのだけれど。

V&A, Cast Courts
これは16世紀初頭フローレンス製の
Ascanio Sforza枢機卿の墓標。
現物はローマのSanta Maria del Popolo教会に。

V&A, Cast Courts
その奥に配された聖母子。
新しいカメラ・ボディの能力を測りたくて、
なにかと撮りにくい物にチャレンジ(笑)。

V&A, Cast Courts
上の殉教者聖ペテロの墓標のディティール。
14世紀ミラノ製。

V&A, Cast Courts

V&A, Cast Courts
15世紀Benedetto(ベネデット)のエレガントな聖母子。
これは結構モールディング型の継ぎ目が出ているな。

V&A, Cast Courts
初期イタリア・ルネッサンスの栄光の聖母・・・
なんだけれど、サイトで調べても詳細が不明。

V&A, Cast Courts
愛らしいフローレンス製のイルカを持つプット
15世紀フローレンス製で、
メディチ家の屋敷の噴水の装飾だったそう。

V&A, Cast Courts
翼は失われているけれど、天使君達。
15世紀中頃フローレンス、
Luca della Robbia(ルカ・デッラ・ロッビア)作。

V&A, Cast Courts
最後は15世紀フローレンス製、
Mino da Fiesole作の、
若い女性のポートレートを中心に。



この2つの部屋の360ヴューをGoogle Mapで見つけた。
このページ>と<このページに>。
次回も・・・きっとV&A続きます^^。




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V&A Jewellery (V&A、ジュエリー室) -9-



あけまして、おめでとうございます。


また今年も奇妙な年の延長線上にあるようですが、できなくなったことを悔しがるより、まだできること、今だからできることを目一杯楽しもうと思いますよ。
いやまぁ、もともと人付き合いしないウチなので、実はほとんど生活に変わりなし。
それより、コンチネント(ヨーロッパ大陸)の街によく滞在していた者としては、ブレクジットの方がパスポートを早い目に更新する必要があったり(UKパスポートなので、6ヶ月以上ないと、コンチネントに入れなくなってしまった)、めんどくさいこと多し。
というのも、3月にまたペーターおじさんの作品展絡みで、ベルギーから、南オランダの町に滞在するかも・・・の予定なので(コロナ変異種のおかげで、UKからの入国拒否続出なので、行けるのかなぁ・・・?)。

V&Aジュエリーのシリーズ、今回が(やっと)最終回。 前回の続きのトラディショナルジュエリーを。


Necklace (Breton necklet), France, 1872, gilded metal and black velvet
Necklace (Breton necklet), France,
1872, gilded metal and black velvet
1872年フランス、ブリタニー地方のネックレス。
黒いベルベットのリボンを
ぴったり首に巻き付けるデザイン。

Breton costume
こんなコスチューム。

Necklace (Breton necklet), France, 1872, gilded metal and black velvet
クローズアップで。
「村娘の晴れ着」の位置づけなので、
とても高価なものではない。
真鍮か銅板のスタンピングパーツに金メッキ製。
19世紀に工場生産パーツが流通してきたので、
クロスやメタルパーツを購入して、
ハンドメイドで作り上げたものかと。

Pendant, Portugal, Oporto, about 1860, Gold filigree
Pendant, Portugal, Oporto, about 1860, Gold filigree
1860年ポルトガルのペンダント。
ゴールド・フィリグリーの手法で作られている。
この後、色々なペンダントを。

Spain, Santiago, 1800-70, gilded silver
Pendant, Spain, Santiago, 1800-70, gilded silver
19世紀スペイン、サンチャゴのペンダント。

Cross pendant, Spain, Salamanca, 1800-70, guilded silver filigree
Cross pendant, Spain, Salamanca, 1800-70,
guilded silver filigree
19世紀スペイン、サラマンカのクロスペンダント。

Pendant, Spain, 1800-70, guilded silver with rock crystal and glass
Pendant, Spain, 1800-70,
guilded silver with rock crystal and glass
19世紀スペインのペンダント。

Pendant, Spain, Valencia, 1800-70, gilded silver and glass
Pendant, Spain, Valencia, 1800-1870,
gilded silver and glass
19世紀後半スペイン、バレンシアのクロスペンダント。
ゴールドにエメラルドというのは、
南米植民地からの供給のあったスペインの
ジュエリーによくみられる。
これはその安価版で、シルヴァーに金張り、
グリーンのペースト(ガラス)カット石を使用。

Cross (croix de Saint-Lo or quadrille) and slide (coulant), France, Normandy, 1809-19, silver and rock crystal
Cross (croix de Saint-Lo or quadrille) and slide (coulant),
France, Normandy, 1809-19, silver and rock crystal
19世紀初期フランス、ノルマンディーのクロス。
これはペンダントではなくて、後ろにバーが2本通っている
スライドと呼ばれるもの。
リボンを通して、チョーカーネックレスとして使う。

Cross and slide (coulant), France, Normandy, about 1800, gold and rock crystal
Cross and slide (coulant), France, Normandy,
about 1800, gold and rock crystal
1800年頃フランス、ノルマンディー製、クロス・スライド。
ゴールドにロッククリスタル。

Cross(Croix bosse) and heart shaped slide (coulant), France, Normandy, 1809-19, gold
Cross(Croix bosse) and heart-shaped slide (coulant),
France, Normandy, 1809-19, gold
19世紀初期フランス、ノルマンディーのクロス・スライド。

Cross, Swizerland, Solothurn, about 1800, partially gilded silver filigree and glass
Cross, Switzerland, Solothurn, about 1800,
partially gilded silver filigree and glass
19世紀初頭スイス、ソロトーンのクロスペンダント。

Pendant (Trachtendeli), Switzerland, Solothurn, 1700-1800, gilded silver filigree with glass from Sursee
Pendant (Trachtendeli), Switzerland, Solothurn, 1700-1800,
gilded silver filigree with glass from Sursee
18世紀スイス、ソロトーンのトラフツデリと呼ばれるペンダント。
中央スイスのカトリック女性が身につけていたもの。
聖カテリナがガラス絵に描かれている。
このタイプのペンダントは、リバーシブルで、
裏面にも別の宗教モチーフが描かれている。

Pendant (Trachtendeli), Switzerland, Solothurn, 1700-1800, Gilded silver filigree with glass from Sursee
Pendant (Trachtendeli), Switzerland, Solothurn, 1700-1800,
Gilded silver filigree with glass from Sursee
これも18世紀スイス、ソロトーンのトラフツデリ・ペンダント。
聖母子が描かれている。

Neckalce (Kropfkette), Austria, 1800-70, Silver with garnets and imitation pearl
Neckalce (Kropfkette), Austria, 1800-70,
Silver with garnets and imitation pearl
19世紀オーストリアのネックレス。
ホフケテと呼ばれる多重チェーンのチョーカーネックレスは、
オーストリアや南ドイツのアルプス高山地帯の風土病、
甲状腺腫で腫れた首を隠すためのものだったそう。
前中央にくるデコラティヴなパネルが、
クラスプになっている。

Rosary, Switzerland or Austrian Tyrol, 1750-1800, wood and silver beads with a Neidfeige amulet and gilded pilgrimage medals, one from Einsiedlen
Rosary, Switzerland or Austrian Tyrol, 1750-1800,
wood and silver beads with a Neidfeige amulet and
gilded pilgrimage medals, one from Einsiedlen
18世紀後半スイスかオーストリア製のロザリオ。
Neidfeige amulet(フィグ・サインのお守り)と、
アエンジレンのメダイが付け加えられている。
フィグ・サインは、お守り(アミュレット)として、
古代から使われているモチーフ。
魔除けの意味があるのだろうね。

Rosary, Germany, Schwabisch Gmund, 1800-40, silver filigree with amber beads, Medallion with the Virgin of Altotting and Dorfen, medallion with the Virgin of dorfen
Rosary, Germany, Schwabisch Gmund, 1800-40,
silver filigree with amber beads,
Medallion with the Virgin of Altotting and Dorfen,
medallion with the Virgin of Dorfen
19世紀初期ドイツ、シュイヴェス・ムンツのロザリオ。

Brooch (Bruthart), Germany, about 1864, gilded silver filigree with turquoise glass and garnet glass, worn by women in the Altes Land near Hamburg
Brooch (Bruthart), Germany, about 1864,
gilded silver filigree with turquoise glass and garnet glass,
worn by women in the Altes Land near Hamburg
1864年頃ドイツ、ハンブルグ近郊のブローチ。
このシリーズの5回目にでてきた、
penannular brooch(ペナニュラ・ブローチ)
のハート型の変形。

Brooch (brostsolja), Sweden, Ystad, about 1850, made by Peter Magnus Wallengren, silver filigree and glass, worn in Vemmenhog district, Skane
Brooch (brostsolja), Sweden, Ystad, about 1850,
made by Peter Magnus Wallengren,
silver filigree and glass,
worn in Vemmenhog district, Skane
19世紀中頃スェーデンのブローチも、
同様のデザイン。

Brest cahin (Haak an Lenk), North Germany, Fohr island, 1800-70, silver filigree
Brest chain (Haak an Lenk), North Germany,
Fohr island, 1800-70, silver filigree
19世紀北ドイツの胸チェーンと直訳ではなるのだけれど、
チョーカーネックレスになるのか、
衣服に留め付けて使用されるのか、
ちょっと調べただけでは判明しなかった。

Necklace, Sweden Lund mid 19th century, silver filigree and glass
Necklace, Sweden Lund mid 19th century,
silver filigree and glass
19世紀中頃スェーデンのネックレス。
上のオーストリアの「甲状腺腫」ネックレスと
基本同じようなデザインだけれど、
ボリュームは小さい。

Bridal crown (brudkrona), Sweden, 1750-1870, partially gilded silver
Bridal crown (brudkrona), Sweden,
1750-1870, partially gilded silver
18~19世紀スェーデンの婚礼用クラウン。

Bridal-crown-V&A-jewellery
これはノルウェーの写真だけれど、
こんな感じかと。

Pendant(bruredalar or agnus Dei), Norway, 1800-1900, partially gilded silver, worn by brides as part of their wedding jewellery
Pendant(bruredalar or agnus Dei), Norway, 1800-1900,
partially gilded silver,
worn by brides as part of their wedding jewellery
19世紀ノルウェーの婚礼用ペンダント。
上の写真でも、同様のペンダントが着けられている。

Cross (striglakors), Sweden, Ystad, about 1850, made by Peter Magnus Wallengren, gilded silver and glass, worn in Herrestad district, Skane
Cross (striglakors), Sweden, Ystad, about 1850,
made by Peter Magnus Wallengren,
gilded silver and glass,
worn in Herrestad district, Skane
19世紀中頃スェーデンのクロス。
striglakorsと呼ばれるクロスは、
T型のクロスで、地元では聖アントニウスのクロス
と呼ばれて、スエーデンのクロスは
大半がこの形をとっているそう。

Cross (striglakors), Sweden, Karlshamn, about 1800, made by Niclas Bleckberg the Elder, gilded silver and clear glass over faded red foil
Cross (striglakors), Sweden, Karlshamn, about 1800,
made by Niclas Bleckberg the Elder,
gilded silver and clear glass over faded red foil
1800年頃スェーデンの、これもTクロス。

Brooch, Norway, Lunde, about 1850, made by Tor Grinderud, gilded silver
Brooch, Norway, Lunde, about 1850,
made by Tor Grinderud, gilded silver
19世紀中頃ノルウェーのブローチ。
これもペナニュラ・ブローチ。

Brooch, 1750-1800, gilded silver
Brooch, Norway, Telemark,
1750-1800, gilded silver
18世紀後半 ノルウェー、テレマークのブローチ。

Brooch, Norway, probably 1750-1800, gilded silver
Brooch, Norway, probably 1750-1800, gilded silver
最後にもう一つ、
18世紀後半 ノルウェーのブローチ。


はぁ、終わった~。
お付き合いありがとうございます(笑)。

次回は、昨年の11月2回目の
イギリス・ロックダウンの真っ最中に、
庭で戦っていた竹の話を予定中です。




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V&A Jewellery (V&A、ジュエリー室) -8-

まだまだ引っ張る、V&Aのジュエリー・シリーズ。
今回と次回は、トラディショナル・ジュエリーという区分で展示されているものを。
フォーク・ジュエリーと呼んでもいいのだろうけれど、今までのジュエリーが、その時代のトレンド、ファッション、製造技術の進歩を背景にして、移り変わっていくものだとしたら、このジャンルは反対に「伝えられてきて、伝えられていくもの」変わらないことを目的としたジュエリーといえる。


Pendant (Heftel), Romania, transylvania, about 1680, gilded silver set with crystal and glass
Pendant (Heftel), Romania, Transylvania, about 1680,
gilded silver set with crystal and glass
17世紀後半、ルーマニアのペンダント。
ヘフテル(かな?)と呼ばれるもの。

Heftel pendant worn
ググってみたら、このようにして使われるようだ。
晴れ着でお祭りや儀式の時にしか着けないのだろうけれど、
いやそれにしても、重くないのかなと思う・・・。

Pendant (Heftel), Romania, Transylvania, probably 1650-1700, gilded silver
Pendant (Heftel), Romania, Transylvania,
probably 1650-1700, gilded silver
これも17世紀後半と思われる、
ルーマニアのヘフテル。
デザイン的には、中世のローブの留め金具、
Morse(モース)と同じような印象。

morse-clasp-painting
モースはこんなもの。

Pendant (Heftel), Romania, Transylvania, 1650-1700, gilded silver
Pendant (Heftel), Romania, Transylvania,
1650-1700, gilded silver
同じく17世紀後半、ルーマニアのヘフテル。

Belt clasp (poukla), Cyprus, 1800-1900, silver filigree with enamel and coloured glass
Belt clasp (poukla), Cyprus, 1800-1900,
silver filigree with enamel and coloured glass
19世紀キプロスのベルト留め。
オスマン・トルコの支配下にあったので、
その影響を強く受けている。
刺繍された布製ベルトのクラスプとして使用された。
このような装飾的なクラスプのついたベルトは、
女性と聖職者だけが着用したのだそう。

Woman's belt, Croatia, 1850-1900, Silver and carnelian
Woman's belt, Croatia, 1850-1900,
Silver and carnelian
19世紀後半クロアチアの女性用ベルト。
カーネリアンの石がシルヴァーにセッティングされている。

Earring, Turkey or Balkans, about 1850, gilded silver with coral and coloured glass
Earring, Turkey or Balkans, about 1850,
gilded silver with coral and coloured glass
19世紀中頃トルコかバルカン地域のイヤリング。
なんだかそのまま、
インドまで相通じていそうだけど。

Earring, Italy, Naples, 1830-60, gold with seed pearls
Earring, Italy, Naples, 1830-60,
gold with seed pearls
19世紀中頃イタリア、ナポリのイヤリング。
地中海で豊富に採れた細かなシードパールを、
白馬の尾の毛か、金ワイヤーで編み付けたもの。

Earring, Italy, Naples, 1830-60, gold with seed pearls
Earring, Italy, Naples, 1830-60,
gold with seed pearls
これも、19世紀中頃イタリア、ナポリのイヤリング。
ちょうどこの頃、全ヨーロッパ的にも、
シードパール編みのジュエリーが流行していた。

Earrings, Italy, 1800-60, gold with seed pearls, pink sapphires over red foil and green wax, worn in Pozzuoli in Campaniaac
Earrings, Italy, 1800-60, gold with seed pearls,
pink sapphires over red foil and green wax,
worn in Pozzuoli in Campania
19世紀中頃イタリア、ナポリ地区の
ポズオリで使用されていたイヤリング。

Earrings, Spain, Salamanca, 1800-70, gold filigree with seed pearls
Earrings, Spain, Salamanca, 1800-70,
gold filigree with seed pearls
19世紀スペイン、サラマンカのイヤリング。
これもパール編み。

Pendant, Spain, Salamance, 1800-70, gold filigree with seed pearls
Pendant, Spain, Salamance, 1800-70,
gold filigree with seed pearls
19世紀スペイン、サラマンカのペンダント。
上のイヤリングとセットになっていたものかと。

Earrings, Italy, 1820-60, gold with pearls and garnets, worn parma and Modena
Earrings, Italy, 1820-60, gold with pearls and garnets,
worn Parma and Modena
19世紀中頃のイタリア、パルマや
モデナで使われたイヤリング。
パールとガーネット石。

Pendant, Italy, 1800-60, gold with garnet and pearls, worn in Tuscany
Pendant, Italy, 1800-60,
gold with garnet and pearls, worn in Tuscany
19世紀前半イタリア、トスカナ地方のペンダント。
これもパールとガーネットの組み合わせで、
上のイヤリングとよく似たスタイル。

Earring, Italy, Naples, 1830-60, gold with glass over red foil, worn in Avellino in Campania
Earring, Italy, Naples, 1830-60,
gold with glass over red foil,
worn in Avellino in Campania
19世紀中頃のイタリア、ナポリのイヤリング。
この石はガラス製で
裏から赤いフォイルで色づけられている。

Pendants and earrings, Italy, early half of 19th century, gold sheets
Pendants and earrings, Italy,
early half of 19th century, gold sheets
19世紀前半イタリア製の、ペンダントとイヤリング。
薄手の金版を切り抜いて作られている。

Earring
Earring, Spain, Barcelona, 1865-1870,
Gold set with foiled almandine garnets
19世紀後半、スペイン、バルセロナのイヤリング。
ゴールドにアルマディン・ガーネット使用。
ガーネット以外に、赤いフォイルを貼った
ガラスもよく使われた。
デザイン的には17-18世紀の
貴族階級のジュエリーが伝播して来ているそう。
このように細長い形は、バルセロナ特有のもの。

Earrings, Spain, Barcelona, 1865-70, silver with mirrored glass
Earrings, Spain, Barcelona, 1865-70,
silver with mirrored glass
19世紀後半スペイン、バルセロナのイヤリング。
シルヴァーに箔貼りのガラス石。
マーカジットっぽいデザイン。

Chignon clasp (burletto), Italy, Novara, 1870-1900, gilded silver filigree
Chignon clasp (burletto), Italy, Novara,
1870-1900, gilded silver filigree
19世紀後半イタリア、ノヴァラのシニョン留め。

Chignon clasp (burletto), Italy, Novara, 1870-1900, gilded silver filigree
Chignon clasp (burletto), Italy, Novara,
1870-1900, gilded silver filigree
これも同じく、19世紀後半イタリア、
ノヴァラのシニョン留め。

Necklace, Italy, Naples, 1830-40, gold with enamel and pearls, worn in Sicily
Necklace, Italy, Naples, 1830-40,
gold with enamel and pearls, worn in Sicily
19世紀前半イタリア、ナポリ製のネックレス。
シシリーで使われたもの。

Necklace, Italy, Lombardy, 1820-60, gold with red ribbon
Necklace, Italy, Lombardy,
1820-60, gold with red ribbon
19世紀中頃イタリア、ロンバルディア地方のネックレス。
リボンで留めるデザイン。

Necklace, Italy, 1820-60, coral beads with silver terminals and red ribbon
Necklace, Italy, 1820-60,
coral beads with silver terminals and red ribbon
19世紀中頃イタリアのネックレス。
これもリボン留め。
地中海には赤珊瑚を産するので、
古代からジュエリーに使われてきた。

Bridal Necklace, la Alberca, Salamanca, Spain
Bridal Necklace, la Alberca, Salamanca, Spain
スペイン、サラマンカの婚礼用のネックレス。
ジャラジャラ下がっているメダイ・チャームは
すべて、聖人さんの護符で、
花嫁を守護するためのもの。
なんだか、呪術的・・・(笑)。

Pendant with asiren (sirena-sonajero), Spain, saragossa, about 1800-50, for protection during pregnancy.
Pendant with a siren (sirena-sonajero), Spain, Saragossa,
about 1800-50, for protection during pregnancy.
19世紀前半スペイン、サラゴサの
セイレーンのペンダントもかなり呪術的。
実際に妊婦さんを守護する呪なのだそう。

Pendant with asiren (sirena-sonajero), Spain, saragossa, about 1800-50, for protection during pregnancy.
クローズアップ。
鈴がついていて、鈴の音で邪を払う・・・意味があるかと。

次回も続きますよ。





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V&A Jewellery (V&A、ジュエリー室) -7-

V&Aのジュエリーコレクションのシリーズ、今回は19世紀末期~20世紀初頭アール・ヌーヴォー・ジュエリーから、20世紀のジュエリー、でも、自分の好きなタイプだけ・・・(笑)。


The Whitelands May Queen's cross, England, 1893, designed by the arrtist Arthur Severn, Gold, Based on the hawthorn, sometimes known as May blossom
The Whitelands May Queen's cross, England, 1893,
designed by the artist Arthur Severn,
Gold, Based on the hawthorn,
sometimes known as May blossom
1893年のイギリス製メイクィーン・クロス。
アール・ヌーヴォー(というか、
アーツアンドクラフトというか)のとても初期の印象。
hawthorn(サンザシ)を形どった枝のうねりが、
アール・ヌーヴォーの始まりを感じさせる。

Winter Woodland pendant, France, Paris about 1899, by Rene Lalique
Winter Woodland pendant, France, Paris about 1899,
by Rene Lalique
1899年パリ、ラリーク製の
「冬のワンダーランド」ペンダント。
もうらリ-クといえば、アール・ヌーヴォーど真ん中。
以前リスボンに滞在した時に、
グルベンキアン美術館のラリーク・コレクションを見に行った。
展示室いっぱいのラリークづくしで、
目の保養をしたことがある。
その時のエントリーは<このページ>と<このページ>に。

Thistles - cosage ornament, France, Paris, about 1903, by Rene Lalique
Thistles - cosage ornament, France, Paris,
about 1903, by Rene Lalique
1903年のラリーク。
「アザミ」と題されたこのオーナメントは、
多分髪飾りだったのかと。

Plaque from a 'dog-collar' necklace, France, about 1900, Enamelled gold and diamonds set in silver
Plaque from a 'dog-collar' necklace, France, about 1900,
Enamelled gold and diamonds set in silver
1900年のフランス製、ネックレス・プラーク。
首にぴったりリボンで沿わすチョーカーネックレス
(ドッグ・カラー=犬の首輪)中央の飾りパネル。
藤の花がエナメルとダイヤモンドで描かれている。

Brooch, France, Paris, 1901, designed by Charles Desrosiers, made by Georges Fouquet
Brooch, France, Paris, 1901,
designed by Charles Desrosiers,
made by Georges Fouquet
1901年フランス、ジョルジュ・フーケ製のブローチ。
フーケもアールヌーボーの中核で、
パリの店はミュシャのデザイン。
現在はパリのMusée Carnavalet(カルナヴァレ博物館
に保存展示されている。
標本箱<このページ>に、イメージがいくつか。

Pendant, France, Paris, 1900, by Emile Froment Meurice
Pendant, France, Paris, 1900,
by Emilie Froment Meurice
1900年フランス、
Emilie Froment Meurice製のペンダント。

Tiara combe head, probably France, about 1900, bleached tortoiseshell
Tiara combe head, probably France, about 1900,
bleached tortoiseshell
1900年フランス製と思われる、
べっ甲製髪飾りのトップ。
このように、ガラス、べっ甲、エナメル、シェル、
アイボリー、セラミックなど、
石としてのの価値ではなくて、
素材の質感を重視するのが、
アール・ヌーヴォー・ジュエリーの特徴といえる。

Cross, France, about 1905, designed and made by Henri Frederic Enguerrand, Comte du Suau de la Croix (1840-1914), Gilded silver with plique-a-jour enamel in relief, diamonds and half-pearls
Cross, France, about 1905,
designed and made by Henri Frederic Enguerrand,
Comte du Suau de la Croix (1840-1914),
Gilded silver with plique-a-jour enamel in relief,
diamonds and half-pearls
1905年フランス製のクロス。
金属枠に裏打ちなしで、ステンドグラスのように
うめられるエナメル技法は、plique-a-jour
(プリカジュール)と呼ばれる。
ここではガボション石のように盛り上げられていて、
とてもエレガント。

Pendant, USA, about 1915, made by the sculptor Hugo Robus, ivory
Pendant, USA, about 1915,
made by the sculptor Hugo Robus, ivory
1915年アメリカ製のアーティストジュエリー。
象牙とエメラルドビーズの組み合わせが新鮮。
チェーンに組紐を使うのも、
質感のコントラストを求めた、
アール・ヌーヴォー期ならでは。

ここまでは、フランスの(アメリカのもあるけれど)
典型的なアール・ヌーヴォー。
一方イギリスでは、アール・ヌーヴォーの影響も
受けているものの、もう少しがっちり重厚な感じの
アーツ・アンド・クラフト・スタイルになる。

Art nouveau-pendant
Necklace, England, about 1905,
designed by Henry Wilson,
made in his London workshop
1905年イギリス製ネックレス。
独特のテクスチャーを持ったオパールに、
敢えて歪んだバロックパールを組み合わせる。
フランス・アールヌーヴォーの
繊細な流れるラインとはまた違った表現。

The Wagner Girdle, England, London, 1893-6, designed and made by Alexander Fisher
The Wagner Girdle, England, London, 1893-6,
designed and made by Alexander Fisher
19世紀末、イギリス、ロンドン、
アレクサンダー・フィッシャー製作
「ワーグナー・ベルト」
これはアーツアンドクラフトな典型で
ケルト-アングロサクソン-ヴァイキングの
デザインからインスパイアされている。
テーマは、ワーグナーのオペラからとられていて、
トリスタン、ローエングリン、シグムンド、
ラインの乙女、タンホイザーなどが
エナメルのプラークに描かれている。

Art nouveau-pendant
'Love-in-a-Mist' necklace,
England, Olton (Warwickshire), about 1910,
designed by Georgie Cave Gaskin
1910年イギリス、オルトン、
ジョージィ・ケイヴ・ガスキン製作。
「Love-in-a-Mist(クロタネソウ=ニゲラ)」ネックレス。
繊細だけれど、やっぱりフランス・アール・ヌーヴォーとは、
また違った表現。

Pendant and chain, England, London, about 1900, probably designed and made by Nelson Dawson
Pendant and chain, England, London, about 1900,
probably designed and made by Nelson Dawson
1900年頃イギリス・ロンドン製のペンダント。
エナメル・・・というか七宝プラークに、
絵画的にモチーフを描いていく手法は、
アーツアンドクラフトに特徴的で、
フランスの枠でモチーフを描いた中に
エナメル着彩する(プリカジュールを含めた)技法と、
同じエナメルでも、違ったアプローチがなされている。

Pendant and chain, England, London, 1900, designed and made by Nelson Dawson
Pendant and chain, England, London, 1900,
designed and made by Nelson Dawson
1900年イギリス、ロンドン、
ネルソン・ドーソン製作のペンダント。
これもその典型。

'The Tree of Life' morse (fastening for a cope), England, London, about 1906, designed by Alexander Fisher, made by Fisher and J. Davis
'The Tree of Life' morse (fastening for a cope),
England, London, about 1906,
designed by Alexander Fisher,
made by Fisher and J. Davis
1906年イギリス、ロンドン、
アレクサンダー・フィッシャー、デザインの
「生命の樹」モース。
モースというのは司祭などが儀式で着る、
ローブ(コープ=Cope)の留め金具のこと。
磔刑図に生命の樹を絡ませて
復活を暗喩するモチーフ。

Brooch, Scotland, Glasgow, 1911-40, designed and made by Mary Thew
Brooch, Scotland, Glasgow, 1911-40,
designed and made by Mary Thew
20世紀初期スコットランド、グラスゴー、
メアリー・シュー製作のブローチ。
自分が昔、ポリマークレイで作っていた
アクセサリーのスタイルにとても似ている(笑)。


Brooch in the form of a bascket of flowers, 1930, USA, New York, Cartier, New York
Brooch in the form of a basket of flowers,
1930, USA, New York, Cartier, New York
1930年ニューヨーク、カルティエ製、
花バスケットのブローチ。
ここで時代はぐっと下がって、
アールデコの30年代。
アールデコといえば、ニューヨークで、
カルティエのブローチ。

そしてまたいろいろと20世紀の
コンテンポラリー・ジュエリーの展示があるのだけれど、
「古い物好き」としては、
なんだかぐっと来るものがなくて、
うつろな目で見て回っただけ(笑)。
その中でもいくつか
フィルターに引っかかってきたものを。

Pin, England, London, 1972, designed by Elizabeth Gage, tourmaline, aquamerine, rubies
Pin, England, London, 1972,
designed by Elizabeth Gage,
tourmaline, aquamarine, rubies
1972年エリザベス・ゲージ、デザインのブローチ。
あ、いや、ゴシック・リヴァイヴァルと
どこが違うのかという・・・(笑)。
こういうのなら現代ものでも好きです・・・へへへ。

'Selaph' brooch, England, London, designed and made by Kevin Coates
'Selaph' brooch, England, London, 1989
designed and made by Kevin Coates
1989年ケヴィン・コーテス作の「セラフ」ブローチ。
「セラフ」というのは7大天使の一人、セラフィエル
オパールが彫られているのだろうか。
アール・ヌーヴォー的な表現方法。

'A Parrot for Flaubert' neckpiece, England, London, 2012, designed and made by Kevin Coates
'A Parrot for Flaubert' neckpiece,
England, London, 2012,
designed and made by Kevin Coates
2012年これもケヴィン・コーテス作の
「フロベールへのオウム」ネックレス。
テーマは小説「フロベールの鸚鵡」から
採られているのだろう。
ジュエリーとそのディスプレイ(パッケージ)
を組み合わせて、一つのアートとして製作されている。

'Fish' brooch, England, 1985, made by Andrew Logan
'Fish' brooch, England, 1985,
made by Andrew Logan
1985年アンドリュー・ローガン作、「魚」ブローチ。
80年代の「時代の人」の作品。
キッチュさが、なんだか懐かしい~。

Tiara, England, London, 1983, designed and made by Frances Bendixson
Tiara, England, London, 1983,
designed and made by Frances Bendixson
1983年フランシス・ベンディクソン作のティアラ。
ワイヤーラップ・ジュエリーのさきがけ的な作品。

The William and Judith Bollinger Jewellery Gallery, V&A, London
V&Aジュエリー室のコレクションより。

と、いうところで、ジュエリー室のシリーズが
終わったかというと・・・実はぜんぜん終わってなくて、
この螺旋階段を上のフロアには、
トラディショナル・ジュエリーというくくりで、
フォーク・ジュエリーがみっちり展示されている。
クリスマスを挟んで、次回からは、
このフォーク・ジュエリーのイメージを。

まだまだ、続きます・・・はぁ(笑)。

追記:
ところで、すっかり書き忘れていたけれど、
大英博物館にも、かなりの物量のジュエリー展示がある。
現在は(ジュエリー展示のある)博物館上階は、
コロナ拡散防止の入場制限期を利用して、
閉館改装中なので、いつまたオープンするのかは不明。
2011年の標本箱に<このページ>から4回連続で
載せたことがあるので、ご興味の方はどうぞ。
(各リンク先の英文資料のアドレスが
すべて変更になったみたいで、
リンクは機能しないのだけれど・・・。)



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V&A Jewellery (V&A、ジュエリー室) -6-

今回もまたV&Aミュージアムのジュエリー室から、引き続き19世紀ジュエリーを。
19世紀特有の「XXリヴァイヴァル」スタイルを色々と。


Renaissance revival style jewellery, 19th century
19世紀ジュエリーの展示パネルの一つは、
ルネッサンス・リヴァイヴァルジュエリーのディスプレイ。

The Canning Jewel (a mermen), Western Europe, probably 1800-60, enamelled gold with diamonds, rubies, baroque pearls and blister pearl
The Canning Jewel (a mermen), Western Europe, probably 1800-60,
enamelled gold with diamonds, rubies, baroque pearls and blister pearl
19世紀前半から中頃の西ヨーロッパ製と思しき、
マーメン(半魚人)をモチーフにしたペンダント。
もともとは16世紀オリジナルの、
ルネサンス・ジュエリーと秀作と考えられていたのが、
V&Aの調査の結果、1991年に石と石留めの技法から、
16世紀ではなく、19世紀のルネッサンス・スタイルで
製作されたジュエリーだと判定された。
そうなんです、19世紀ルネッサンス・リヴァイヴァルは、
製造技法的に、オリジナルと判別しにくいものがあって、
専門家でも解らない場合も。

Pendant with double-tailed mermaid, Austro-Hungarian Empire, 1850-1900, enamelled gold with diamonds, pink tourmaline, rubies and baroque pearls. Copy of an jewel in the Green Vaults, Dresden
Pendant with a double-tailed mermaid,
Austro-Hungarian Empire, 1850-1900,
enamelled gold with diamonds, pink tourmaline, rubies and baroque pearls.
Copy of a jewel in the Green Vaults, Dresden
19世紀後半のオーストリア・ハンガリー帝国製ペンダントは、
二尾マーメイドを描いたもの。
これなどもオリジナルかコピーか、
見た目での判別が難しいけれど、
ドレスデンのグリーン・ヴォールトのジュエリーのコピーだと
バックグラウンドが明確になっている。

Pendant with Venus and Cupid, Austria, Vienna, about 1870-80, made by Simon Grunwald, enamelled gold with diamonds, rubies and pearls
Pendant with Venus and Cupid, Austria, Vienna, about 1870-80,
made by Simon Grunwald,
enamelled gold with diamonds, rubies and pearls
19世紀後半オーストリア、ウィーン製の、
ヴィーナスとキューピッドを描いた
エナメル・ペンダント。

Pendant with brooch fitting, Italy, Roma, made by Castellani, Intaglio by Giorgio Antonio Girardet, Gold, enamel, rubies, diamonds and sapphire intaglio, The form of the jewel follows a German prototype of ear
Pendant with brooch fitting, Italy, Roma, made by Castellani,
Intaglio by Giorgio Antonio Girardet,
Gold, enamel, rubies, diamonds and sapphire intaglio
19世紀後半、ローマのカステラーニ製の
ペンダント・ブローチ。
中央のインタグリオはサファイア。
Castellani(カステラーニ)は19世紀~20世紀初頭にかけて、
ローマで著名だった金細工職人の一族。
ルネッサンススタイルのみならず、
後に出てくるエトルリア・リヴァイヴァルなどの、
考古学的ジュエリーのリプロでも知られている。

Pendant with brooch fitting, Probably India, 1860-70, Gold set with pink tourmaline, emeralds, rose-cut diamonds and river pearls, After a 16th century Europearn design
Pendant with brooch fitting, Probably India, 1860-70,
Gold set with pink tourmaline, emeralds, rose-cut diamonds and river pearls,
After a 16th century European design
19世紀後半のインド製と思われるペンダントブローチで
16世紀のヨーロピアン・ジュエリーのコピー。
ルネッサンスというよりは、
イギリスのテューダー・ジュエリーに近い感じかな。

Necklace, part of Parure, Austria, Vienna, about 1855, made by Schlichtegroll
Necklace, part of Parure, Austria, Vienna,
about 1855, made by Schlichtegroll
1855年頃ヴィエナ製のネックレスは、
セットになったジュエリーの一部。

Pendant with figure of Bacchus, France, Paris, 1854, made by Francois-Desire Froment-Meurice, coral and gold with rose-cut diamonds and pendant pearls
Pendant with a figure of Bacchus, France, Paris, 1854,
made by Francois-Desire Froment-Meurice,
coral and gold with rose-cut diamonds and pendant pearls
1854年パリ製のペンダントは、
バッカスを描いたサンゴのカメオを中心に
ゴールドとパールがとりまくデザイン。

Bracelet centre with head of Medusa, Italy, about 1840, coral and gold with turquoise
Bracelet centre with head of Medusa,
Italy, about 1840, coral and gold with turquoise
1840年頃イタリア製のメデューサを描いた
サンゴカメオを中心に、これはブレスレットの
センターピース。
両サイドをチェーンで繋いだのだろう。

Broochwith figure of Vesta, Italy, Rome, 1875-85, gold and glass micromosaic
Brooch with a figure of Vesta, Italy, Rome,
1875-85, gold and glass micromosaic
19世紀後半イタリア・ローマ製のブローチ・ペンダント。
これもマイクロモザイクだけれど、後に出てくる、
カステラーニ製ではなくて、製作者は不明。
モチーフはローマの竈の神、Vesta(ウェスタ)。

Pendant with cameo portrait of Marie de' Medici, about 1865, England, London, made by Carlo Giuliano, cameo by Georges Bissinger
Pendant with cameo portrait of Marie de' Medici, about 1865,
England, London, made by Carlo Giuliano,
cameo by Georges Bissinger
1865年ロンドン製、カメオとエナメルのペンダント。
Carlo Giulianoはもともとは、
カステラーニで働いていた。
ロンドン支店に送られた後、
そのままロンドンで独立して、
自分の工房を開いた。
Maria de' Medici(マリア・デ・メディチ)を描いて、
いかにもルネッサンスなデザイン。

Pendant, England, London, about 1880, designed by Pasquale Novissimo for Carlo Giuliano, Gold, enamel, amethysts and pearls
Pendant, England, London, about 1880,
designed by Pasquale Novissimo for Carlo Giuliano,
Gold, enamel, amethysts and pearls
1880年頃ロンドン製、
同じくCarlo Giulianoのエナメルペンダント。

Headband, England, Birmingham 1848, designed by A.W.N.Pugin, made by John Hardman &Co., Enamelled gold set with a ruby, brilliant-cut diamonds, turquoises and pearls, Inscribed in Latin'The cross of Christ is
Headband, England, Birmingham 1848,
designed by A.W.N.Pugin, made by John Hardman &Co.,
Enamelled gold set with a ruby, brilliant-cut diamonds
ルネッサンス・リヴァイヴァルの次は、
ゴシック・リヴァイヴァル。
1848年イギリス・バーミンガム製のヘッドバンド。
デザインはゴシック・リヴァイヴァルの宝庫、
Augustus Pugin(オーガスタス・ピュージン
2人の妻に先立たれた後、3人目の妻との
結婚に先立って、このヘッドバンド、ブローチ
ネックレスのセットをデザインして贈ったもの。
エナメルで描かれたラテン文
「キリストの十字は、我が導きの光」
は、敬虔なカトリックに改宗していたピュージンには、
装飾性以上に真意のあるモットーだったのだろう。

Brooch, England, Birmingham, 1848, designed by A.W.N. Pugin, made by John Hardman&Co., Enamelled gold set with a ruby, cabochon garnets, turquoises and pearls
Brooch, England, Birmingham, 1848, designed by A.W.N. Pugin,
made by John Hardman&Co.,
Enamelled gold set with a ruby,
cabochon garnets, turquoises and pearls
上のヘッドバンドとセットになったブローチ。

Pendant brooch of the Virgin, England, about 1850, Rose and brilliant -cut diamonds, garnet carbuncle, saphires, gold, silver and enamel
Pendant brooch of the Virgin, England, about 1850,
Rose and brilliant-cut diamonds, garnet carbuncle,
sapphires, gold, silver and enamel
19世紀中頃イギリス製のペンダントブローチ。
ガーネット・カーバンクルを足下の月に見立てて、
Immaculate Conception(無原罪の御宿り)の
聖母像がモチーフ。

Pendant cross, France, Paris, 1870-5, Made by Charles Riffault or a follower for Frederic Boucheron, Translucent enamel on gold, set with pearls and brilliant-cut diamonds
Pendant cross, France, Paris, 1870-5,
Made by Charles Riffault or a follower for Frederic Boucheron,
Translucent enamel on gold,
set with pearls and brilliant-cut diamonds
19世紀後半のフランス・パリ製、ペンダントクロス。

Pendant with Christ Pantokrator, Italy, after 1855, made by Castellani, Gold with enamel and micromosaic of coloured glass and gold
Pendant with Christ Pantokrator, Italy, after 1855,
made by Castellani, Gold with enamel
and micromosaic of coloured glass
19世紀後半イタリア、カステラーニ製の
マイクロモザイク・ペンダント。
先に出てきたカステラーニの得意とする
マイクロモザイクは、ゴシックというよりは、
ビザンティン・リヴァイヴァルかな。
モチーフは聖書を左手、
右手に祝福をかざす形式の、「全能のキリスト」。

Necklace with heads of lo, priestress of Juno at Argos, Italy, before 1876, made by Castellani, Gold with filigree and glass beads (possibly ancient)
Necklace with heads of lo, priestess of Juno at Argos,
Italy, before 1876, made by Castellani,
Gold with filigree and glass beads (possibly ancient)
19世紀後半のイタリア、カステラーニ製のネックレス。
これは、カステラーニのもう一つの得意ジャンル、
考古学的発掘品のリプロで、
エトルリア・リヴァイヴァルといったところ。
雌牛に姿を変えられたIO(イオ)をモチーフに、
古代のものと思われるガラスビーズを使用。

Necklace, Italy, Naples, about 1870, made by Giacinto Melillo for Alessandro Castellani, gold with painted wire, enamel, filigree and granulation
Necklace, Italy, Naples, about 1870,
made by Giacinto Melillo for Alessandro Castellani,
gold with painted wire, enamel, filigree and granulation
1870年頃ナポリのカステラーニ製。
(創設者Fortunato Pio Castellaniの
息子のAlessandro Castellaniは、ナポリに工房を持っていた。)
これもエトルリア・ジュエリーからのインスパイア。

Pair of pendants with a nereid on a sea horse, Italy, 1864-76, made by Castellani, Gold, chased with granulation and filigree. Made after Greek originals about 330-300BC
Pair of pendants with a nereid on a sea horse, Italy, 1864-76,
made by Castellani, Gold, chased with granulation and filigree.
Made after Greek originals about 330-300BC
19世紀後半カステラーニ製のペンダントとネックレスは、
紀元前3世紀頃のギリシャのジュエリーのリプロ。
モチーフは海馬に騎る、海のニンフ、ネレイド

'Cumae'diadem, Italy, about 1860-80, made by Castellani, Gold with pearls, glass beads and enamel, Copy of anEtruscan oriinal of 300-200BC
'Cumae' diadem, Italy, about 1860-80, made by Castellani,
Gold with pearls, glass beads and enamel,
Copy of an Etruscan original of 300-200BC
19世紀後半のイタリア、カステラーニ製のダイアデム。
紀元前300-200年のエトルリア・ジュエリのリプロ。

Detail - 'Cumae'diadem, Italy, about 1860-80, made by Castellani, Gold with pearls, glass beads and enamel, Copy of anEtruscan oriinal of 300-200BC
あまりのディーティールに
クローズアップで撮ってしまった。

Etruscan revival style necklace, 19th century

19世紀後半のイギリス、ロンドン製のネックレス。
これもエトルリア・リヴァイヴァル。
ニネヴェやポンペイの壁画から
インスパイアされたものだそう。


次回は、19世紀も末期、
アールヌーヴォーから、20世紀のジュエリーを。








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V&A Jewellery (V&A、ジュエリー室) -5-

V&Aミュージアムのジュエリー室から、今回も引き続き19世紀ジュエリーを。


Necklace and Pendant cross, England, about 1810, Brilliant-cut paste (glass) set in silver, backed with gold
Necklace and Pendant cross, England, about 1810,
Brilliant-cut paste (glass) set in silver, backed with gold
1810年頃のイギリス製ペンダント・ネックレス。
石はペースト(ガラス)でシルバーにセッティングされているので、
当時としては、やや安価な「アクセサリー」。

Detail - Necklace and Pendant cross, England, about 1810, Brilliant-cut paste (glass) set in silver, backed with gold
そのクローズアップ。
いやそれでも、充分かわいいけれど。
現在でも使えるデザイン。

turquoise-jewellery-V&A
Necklace and cross, England, about 1830,
Turquoise, gold and diamonds
1830年頃のイギリス製、
ターコイズのクロスペンダントネックレス。
ターコイズも「忘れな草」色の石ということで、
センチメンタルな19世紀ジュエリーによく使われていた。
ここでは、ボリュームのあるデザインのクロスに。

Necklace, England, probably 1874-87, Cabochon-cut rubies and brilliant-cut diamonds set in gold and silver.
Necklace, England, probably 1874-87,
Cabochon-cut rubies and brilliant-cut diamonds
set in gold and silver
19世紀後半のイギリス製ネックレス、
ルビーのカボション石。

Detail - Necklace, England probably 1874-87, Cabochon-cut rubies and brilliant-cut diamonds set in gold and silver
同ネックレスのディティール。
取り巻いているのはダイヤモンドで、
ゴールドとシルヴァーの2色使いのセッティング。

Brooch, England, probably 1874-87, Cabochon-cut rubies and brilliant-cut diamonds set in gold and silver
上のネックレスと、セットのブローチ。

Necklace, England, the setting probably 1874-87, Emeralds and brilliant-cut diamonds set in gold an dsilver
Necklace, England, the setting probably 1874-87,
Emeralds and brilliant-cut diamonds set in gold and silver
19世紀後半のイギリス製ネックレス、
これはテーブルカットのエメラルド使用。
上のルビーのセットと、技法・デザイン構成がよく似ているので、
同じメーカーじゃないかなと思うけれど、
裏は取れなかったので、これは想像。

Detail - Necklace, England, the setting probably 1874-87, Emeralds and brilliant-cut diamonds set in gold an dsilver
そのディティール。
これもダイヤモンドの取り巻きに、
ゴールドとシルヴァーの2色セッティング。

Large brooch, England, the setting probably 1874-87, Emeralds and brilliant-cut diamonds set in gold and silver
上とセットのブローチ。
エメラルドのドロップビーズがとてもステキ。

Diamond stomacher, England, London, 1854, made by R. & S. Garrard & Co.
Diamond stomacher, England, London, 1854,
made by R. & S. Garrard & Co.
19世紀中頃の、イギリス製、
ストマッチャ-と呼ばれるボディス飾り。
石は豪華にダイヤモンド。

Part of hair ornament with three fuchias, Western Europe about 1820, brilliant cut diamonds set in silver
Part of hair ornament with three fuchsias, Western Europe about 1820,
brilliant-cut diamonds set in silver
1820年頃の西ヨーロッパ製髪飾りの一部。
フューシャの花をモチーフに、
ダイヤモンド石がシルヴァーにセッティングされている。
このような花や鳥などの自然のモチーフは、
18世紀後半から始まっているけれど
(というか、技術的に柔らかいデザインの表面に、
カット石を埋め込んでいく技術が出来上がった・・・ということ)
19世紀になって、一般的に普及するようになった。
以下にいくつかの例を。

Spray with roses, rosebuds and leaves, Western Europe about 1860
Spray with roses, rosebuds and leaves,
Western Europe about 1860
1860年頃の西ヨーロッパ製、
バラのスプレー(花束)モチーフ。
これは、ブローチか、髪飾りの一部なのか、
デティールが不明。

Bodice ornament, England, about 1850
Bodice ornament, England, about 1850
19世紀中頃のイギリス製ボディス飾りの一部。
これは花の部分が細いワイヤーでできていて、
着けている人が動くと、チラチラ振動するようにできている。
tremblant(トレンブラント)と呼ばれるデザイン/構造のもの。

Spray, Britain, 1840-50
Spray, Britain, 1840-50
19世紀中頃のイギリス製のスプレーブローチ。
ディテールは記録してこなかったのだけれど、
多分ペースト(ガラス)石なのじゃないかな・・・。
ハート型の花びらにカットされていたり、
葉っぱの表現もエナメルなので、
上の例のような超豪華なブローチじゃないけれど、
それ以上にチャーミング。

Brooch, Ireland, Dublin, design registered 1849, made by G&S Waterhouse, Gilded silver, with enamel. Copy of the 'Kilmainham' or 'Knight Templear' brooch, Ireland about 700-800
Brooch, Ireland, Dublin, design registered 1849, made by G&S Waterhouse,
Gilded silver, with enamel.
Copy of the 'Kilmainham' or 'Knight Templear' brooch,
Ireland about 700-800
19世紀中頃のアイルランド製のブローチ。


次にぜんぜん違うジュエリーのタイプのもの。
19世紀は「なんでもリヴァイヴァル」の時代。考古学的発見やら、長距離旅行が容易になったことやら、コピー技術の発達やらで、「XXスタイル」のジュエリーが多数生み出される。
ここから、そういった「XXスタイル」ジュエリーを載せていこうと思うのだけれど、その最初がスコティシュ(あるいはケルティック)スタイルの例。
これはアイルランドの8世紀頃のブローチ(というか・・・キルトやローブを留める原始的な形の留め金具)、キルメイナム・ブローチの復刻版。
テンプル騎士団の土地のものなので、テンプル騎士団ブローチとも呼ばれるそう。
このようなリングにスリットが入っていて、その反対側から可動式のピンが出ているタイプのブローチを、penannular brooch(ペナニュラ・ブローチ)と呼ぶ。ペナニュラというのは半年という意味だそうで、円形を2つに割ったデザインを、一年の環が半分に割られている・・・という意味合いでそう呼ばれるのじゃないだろうか。
ケルトのみならず、アングロサクソン、ヴァイキングなどの北ヨーロッパ全域で使われていたデザイン。北アフリカでも同様のデザインの留め金具があるそうだ。
一番秀逸で有名なのは、多分アイルランド国立博物館ののTara Brooch(タラ・ブローチ)かと。
この使い方は<このヴィデオ>を参照。


Brooch and pair of solitaire studs, Scotland, Edinburgh, about 1880, made by G. & M. Crichton
Brooch and pair of solitaire studs,
Scotland, Edinburgh, about 1880,
made by G. & M. Crichton
19世紀後半のスコットランド製ブローチ。
スコティッシュ・ジュエリーの典型。
ヴィクトリア女王がスコットランド贔屓だったことから、
スコティシュジュエリーもトレンディなものになった。
スコットランド産の渋い色合いのアゲートを
板状にカットして、シルヴァーでセッティングしたもの。
メンズっぽい感じがいかにもイギリスのジュエリー。
コンチネントのコケティッシュなご婦人達には、
こんな「男前」なジュエリーは、
絶対流行らないと思うな。
男前なイギリス女性ならでは(笑)。

Bracelet in the Moroccan manner, France, about 1860, perhaps made by the Parisian jeweller Crouzet, gold, enamelled in black, set with pearls and brilliant-cut diamonds
Bracelet in the Moroccan manner, France, about 1860,
perhaps made by the Parisian jeweller Crouzet,
gold, enamelled in black, set with pearls and brilliant-cut diamonds
19世紀中頃のパリCrouzet(クルゼ)製作と思われるブレスレット。
モロッコ風と称されているのは、
ロケットがジャラジャラ下がっているデザインが
モロッカン・ジュエリーからの影響ということだと。
しかし、このブレスレットはモーニング(服喪)ジュエリーとして、
デザインされているので、黒いエナメル使いで、
ヴィヴィッドなモロッコ風には、
あまり感じないんだけどな・・・。

Brooch and earrings in the Moroccan manner, France, Paris, about 1860-70, Gold enamelled in black, with rose-andbrilliant- cut diamonds and pearls
Brooch and earrings in the Moroccan manner,
France, Paris, about 1860-70,
Gold enamelled in black,
with rose-and brilliant-cut diamonds and pearls
最後に19世紀後半のパリ製のブローチとイヤリング。
上と同様のクルゼの製作かと考えられている。
これも、モロッコ風ジュエリーで、
モーニング・ジュエリーとしてデザインされている。

次回もまた19世紀の「XXスタイル」やら、
「XXリヴァイヴァル」ジュエリーが、ぎっしり並びますよ。









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