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2011年02月 Archive

Sir John Soane Museum (ジョン・ソーンズ博物館)

先日のの標本箱に80年代ネオ・クラシックのテキスタイル・デザイナー、Sue Timney(スー・ティムニー)のことを書いていて<このページ>急にこのミュージアムのことを思い出した。
ご本家18世紀ネオ・クラシックの建築家Sir John Soane(サー・ジョン・ソーンンズ)の家が、博物館として公開されているのだが、家というよりはコレクション庫と呼ぶ方がふさわしいような、不思議な空間。
昔訪れた頃は確か写真撮影を許可していたはずなのだが、近年許可していない。なので、私自身の写真は持っていないのだが、Flickrで検索をかけてみると、いろいろと出てきた。今日は借り物画像で構成。


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2015年12月7日:フォロー・アップ

たまたま、この標本箱をのぞいてみたら、以下のような残念なことに。
つまり、Flickに元写真を提供していたフォトグラファーが、
アカウントを閉じはしないけど、写真を全部公開しなくなったしまった様。
借り物写真で構成すると、こんなことになるんですな。

とはいうものの、こんなヴィデオを見つけたので、エンベッド。
このヴィデオだけで、訪れた気分になることうけあいます。
(あー、このヴィデオ消さないでね、MWL Magazineさん)

Curator Frances Sands about Sir John Soane's Museum from MWL Magazine on Vimeo.



一応以下に、悲惨な状態を保存しておくことに。

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The Soane Museum
Photo by : By Lewis K. Bush@Flickr
まず、ここの博物館の一番「奇妙で美しい」イメージから。
ジョン・ソーンズ氏が学んでいたイタリアから大量に持ち帰った、建築装飾のディティール、サンプルが
パズルのようにぎっしりとインテリアをを覆いつくしている・・・。

The Soane Museum
Photo by : By Lewis K. Bush@Flickr
正面はこんな感じ。テラスドハウス(棟続き家屋)なのだが、大理石のファサードと、
階上に聳える一対の女神像を付け加えたのは、ジョン・ソーンズ。
なにしろ狭い空間の博物館なので、入口で入場制限をしている。
なので、たいてい前には入場待ちの列ができている。その列でここが博物館だと解る・・・。

Library Dining Room.John Soane's Museum.Copyright: Martin Charles
Library Dining Room.John Soane's Museum.Copyright: Martin Charles Uploaded by : n_murashkin @Flickr
ライブラリーとダイニングルーム。
壁に濃い赤やイエローを使うのは、当時発掘されたイタリア・ポンペイ遺跡を模して流行り始めたスタイル。

The Soane Museum
Photo by : By Lewis K. Bush@Flickr
ライブラリー。

Breakfast room.John Soane's Museum.Copyright: Martin Charles
Breakfast room.John Soane's Museum.Copyright: Martin Charles Uploaded by : n_murashkin @Flickr
ブレクファスト・ルーム。こちらは黄色がイメージカラー。

The Soane Museum
Photo by : By Lewis K. Bush@Flickr   ホール部の、天井を見上げたところ。
改装の発想は博物館と同じで、いかに大量の収蔵物を納めるかと同時に、
いかに自然光を取り入れて、ライトアップするかということ。
当時は現代のようなスポットライトなどないので・・・。

The Soane Museum
Photo by : By Lewis K. Bush@Flickr
Plaster impression(石膏型)のコレクション。

The Soane Museum
Photo by : By Lewis K. Bush@Flickr Sir John Soane (サー・ジョン・ソーン)
威圧的なソーン氏は、彼の意に反して建築家にならなかった息子とは、不仲だったと伝えられている。
息子には何も相続させない目的で、彼の死後はこの屋敷を議会立法の介入で博物館として保存するよう申請。
1837年の彼の死後は、この介入が実現し、以来博物館として彼の意志のままに保存されている。
天才・奇人・エキセントリックスと家族は、相容れないものなのだろうな・・・(笑)。

The Soane Museum
Photo by : By Lewis K. Bush@Flickr  がんこおやぢの・・・圧巻のディスプレイ。

The Soane Museum
Photo by : By Lewis K. Bush@Flickr
地下の部分には、ミイラの石棺まで納められている。
憑りつかれたかのような、収集家ぶり。

The Soane Museum
Photo by : By Lewis K. Bush@Flickr 2階のドローイングルーム。
当時の「普通の」インテリアが逆にこの屋敷では「特異」。
建築の顧客を接待する部屋として使われていたため、と考えられている。

The Soane Museum
Photo by : By Lewis K. Bush@Flickr  凸面鏡に写るドローイング・ルーム。

The Soane Museum
Photo by : By Lewis K. Bush@Flickr
2階にの絵画コレクションの部屋。同時代の風俗絵画家Hogarth(ホガース)のコレクション。

The Soane Museum
Photo by : By Lewis K. Bush@Flickr
ホガースのコレクションの他にも、自身の建築イメージ画等、絵画だけでも相当の点数。
屋敷内の限られた空間では展示不可能。そこで、こういう「からくり」が出来上がった。

Sir John Soane's museum
Photo by : vtsr@Flickr   中庭を覗いたところ。

*Special thanks for Lewis K. Bush for your many remarkable photographs kindly shared on Flickr.


とても、家族には持ちたくないおぢさんだが・・・、なかなか「オタク道」を極めている。この「憑りつかれた」ような感覚には共鳴してしまうな・・・。

Sir John Soane Museum
基本的に、火~土 10~5:00(最終入館4:30PM、1~2:00までランチ・タイムで閉まっていること多し) 入場人員に制限があるため、並んで待つことになる。 入館無料だが、寄付歓迎。 最新のヴィジター・インフォメーション(英語)は<このページ>。


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Kotomi ジュエリー - 春物新作UP

先日から右コラムトップのスライドショーが、めっきり春らしくなったので、お気づきの方もあろうかと・・・。
やれやれ、春物の最初のロット完成。来週後発のロットが仕上がってきて、後は納品待ちしていた淡水パールのペンダントを追加製作、マッチングのブレスレットやイヤリングを追加製作・・・という予定。

今回はスライドショウで展覧。 


Created with Admarket's flickrSLiDR.


かなり手抜き標本箱なので、おまけヴィデオというか、Music。
春といえば、私的にはなぜだかThe Durutti Columnの音楽のイメージ。Vini Reillyのたゆたうギターは春の海の印象・・・。

Sue Timney (スー・ティムニー)-テキスタイル・デザイナー-展覧会 2

Fashion and Textile Museum(ファッション・アンド・テキスタイル・ミュージアム)で4月25日まで開催されている、テキスタイル・デザイナー、Sue Timney(スー・ティムニー)のエキジビションの2回目。

今回は2階部で展示されている、ファブリックの物を中心に。

Sue Timney exhibition
シルク生地ブラウスの展示。80年代に典型的な、たっぷりとしたパターンのブラウス。

Blouses

Textiles for blouses
サイズ的に体に合わないと解っていながら・・・この真ん中のパターンとよく似たブラウスを買ったことがある。
やっぱり上手く着こなせなくて、数年後に残念ながら手放してしまった・・・。

Sue Timney exhibition
スカーフのデザイン。こうやって額装すると、インテリアパネルとしても使える。

Scarf design
個人的には、こんなタイプの、ベージュと黒のモノクロ組み合わせのものが好きだった。

Scarf design
ヒストリカルなモチーフ、これがポストモダン/ネオ・クラシックの粋。

Scarf design
スパイス的に、ヴィヴィッドな色が組み合わされる。

Scarf design
これもかなりBold(大胆な)色使い・・・で、なんだか、ヴェルサーチを思い出すな・・・。

Fabric samples
一方こちらは、Sue Timneyブランドになってからの、織地ファブリック。
アフリカン・エスニックがイメージソース。

Mood sheet
リボン・ストライプ生地のイメージ資料。

Mood sheet
これはTimney Fowlerの頃の、イメージ資料。

Sue Timney exhibition booklet
エキジビションのブックレット。

Making Marks - Sue Timney - Book
彼女のデザインの本「Sue Timney - Making Marks」がミュージアム・ショップで販売されていた。

Making Marks - Sue Timney - Book
なにしろ、大ファンなので鷲掴み(笑)で買ってしまったが、もちろん、Amazonでも入手可能。
このページ
ヴィジュアル中心に構成された、美しい本。


Sue Timney exhibitionは2011年4月25日まで、Fashion and Textile Museumにて。日・月休館、入場料£7。







Sue Timney (スー・ティムニー)-テキスタイル・デザイナー-展覧会 1

昨年、ナショナル・トラストでのMark Brazier-Jones(マーク・ブレイジァ・ジョーンズ)家具展の標本箱を書いた時に、80年代のポスト・モダン(と、ネオクラシック)のデザインについてふれたことがある。<このページ
その時に出てきたテキスタイル・デザイナー、Sue Timney(スー・ティムニー)のエキジビションが2010年11月から2011年4月25日までLondon Bridge(ロンドンブリッジ)駅近くの、Fashion and Textile Museum(ファッション・アンド・テキスタイル・ミュージアム)で開催されている。
私が80年代に最も影響を受けたデザイナーの一人。テキスタイル・デザイナーと称しているが、彼女の美意識はテキスタイルを超えて、インテリア、雑貨、ファッション、ライフスタイルにまで及んでいる。ローマ装飾、アフリカ美術、シノワズリー・・・等々、時間と空間を超越してブレンドされた美のコラージュ・・・。
このエキジビションでは、ミュージアムの1階部で、雑貨やインテリア・ファブリック、2階部でアパレル・ファブリックの展示に区分されている。今日はまず1階から、2回にわたっての展覧。

Sue Timney exhibition
メインディスプレイ。

Sue Timney exhibition
を、反対から見たところ。
白黒のコントラストの構築の中に、時折インパクトのあるカラーが差し込まれる。

Sue Timney exhibition
入口を入った通路の部分。
左側、彼女のトレードマークのストライプ壁紙の間に落書きされているのは、彼女の経歴。
書体から・・・ご本人の手書き、と、思われる。

Sue Timney exhibition
インテリア・ファブリック。

主にカーテン生地として使用されるのだが、アンティークの椅子やソファーを張り替える習慣のあるイギリスなので、ファニチャーにも使われる。 
その80年代の話だが、東京に式田純氏の経営する「Strange Classic(ストレンジ・クラシック)」というインテリア・ショップがあった。彼女の当時の旦那様Grahame Fowler(グラハム・ファウラー)とのコンビTimney Fowler(ティムニー・ファウラー)のデザインは、この「ストレンジ・クラシック」とデザイン提供契約をしていたのだろう、日本では初期に「ストレンジ・クラシック」のブランド名で製造販売されていたのを覚えている。
というのも、当時の私の大阪のフラットの壁に、そのカーテン生地をタペストリーのようにして掛けていたので・・・。

Sue Timney exhibition
セラミック、スカーフ、イヤリング。

Sue Timney exhibition
セラミックとカード。

Sue Timney exhibition
スカーフ、ステーショナリー、ブローチ、イヤリング。

90年代初頭だっただろうか、King's RoadにあったTimney Fowlerの店で、このアクセサリーのシリーズのシンプルな丸型のイヤリングを買って、今も大切に持っている。
薬品腐食でパターンを浮き彫りしたアルミ板を立体加工、黒マット塗装してから、サンディングでシルバー色下地のパターンを浮き出したもの・・・と思われる(かなり製造業者的視点・・・笑)。
ここに展示されているような、大型のデザインのものがもちろん欲しかったのだが、当時の私には、一番安かった丸いシンプルなイヤリングにしか手が出せなかった。
その頃フリーランス・デザイナーだった私は、2年に一度1ヵ月半位ロンドンにホリデー兼情報収集に滞在していた。毎回、Timney Fowlerの店を訪れてはマグカップやら、皿やら、手の出せる範囲のものを少しずつ買うのが、私なりのささやかな「幸せ」だった。

In my collection - Earrings and scarf from 80's
で、これが私の持っているイヤリング。
「ストレンジ・クラシック」プロデュースのシルク・スカーフとともに・・・。

Sue Timney exhibition
ステーショナリーと壁紙。

Sue Timney exhibition
セラミック、壁紙、カードとネクタイ。

Sue Timney exhibition
このマグは・・・うちで今でも現役。

Sue Timney exhibition
このマグも・・・。

Sue Timney exhibition
このマグは、数年前配偶者氏が落として割った。不心得者め・・・。

Sue Timney exhibition
スカーフ、セラミックとブレスレット。

Sue Timney exhibition
セラミックとスカーフ。この皿は、バスルームのドアの上に飾っている。

Original collage
オリジナル・コラージュ。

Original collage
オリジナル・コラージュ。


何度も訪れたKing's Roadの店はTimney Fowlerの解散とともになくなってしまったが、現在はSue Timneyのファブリックやインテリア雑貨は、彼女のセレクト・アイテムとともに、ポートベローのSue TimneyのShow roomで展示販売されている。
SUE TIMNEY:331 PORTOBELLO ROAD, LONDON W10 5SA Tel: 020 8969 5000

エキジビションは2011年4月25日までFashion and Textile Museumにて。日・月休館、入場料£7。


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次回は、引き続き同エキジビションより、2階部のファブリック・デザインを中心に・・・。






Kotomiジュエリー近況-2011春コレクションもうすぐ完成・・・写真がペーパーバック表紙に採用された話

久しぶりのジュエリー近況。ええ、よく働きましたよ(笑)。
やっと予定していたペンダントヘッドすべて完成(配達待ちしている中国からのパールを使ったもの以外は・・・)。こんな感じ・・・。

Spring new collection - Preview
毎年のことながら・・・爽やかなミント・グリーン系は春のMust Haveアイテム。
石はプレアナイト、クリソプレーズ、グリーンオパール等。

Spring new collection - Preview
もう少しブルーよりでアマゾナイト。インドからたくさん仕入れた、クリアークォーツ。
右の後ろのブルーは染めのジャスパー。ちょっと可愛いピンクXパールも彩りに入れてみた。

Spring new collection - Preview
手前左のミントグリーンはクリソプレーズ石、真ん中の小ぶりの花型はグリーンフローライト、
右はガラスカボションにカラープリントを貼りつけたもの。
真ん中あたりにローズクォーツのものが写っている。

Spring new collection - Preview
上は大型のペンダントヘッド、石はアマゾナイト(真ん中)とアクアマリン(右より)。
アマゾナイトは時々手に入るが、アクアマリンは初めて手に入った。
それぞれ30-40カラットサイズのカボション。Kotomiジュエリーの中では「レアもの」。
手前は「ボケ」入ってしまってるが、ルチルクォーツの小さなペンダント。
このページ>の最後の方で紹介した石達。この子達は・・・いっぱいる(笑)。

Spring new collection - Preview
日本ほどシーズン性のないイギリスのこととて、いつでもグレイ系のモノトーンの物は用意しておく。
Kotomiジュエリーで一番コンスタントに出るのが、このグレイトーン。
英人は色気皆無、あぁ、人のことは言えないが・・・(笑)。
真ん中のコニャック色はキュービック・ジルコニア。人造だがシャープで気高い感じすらする石。
以前タイから仕入れて、2つだけ残っていたもの。
手前のハート型クリスタルは中国から。このチョーカーペンダントのデザインはベストセラーのひとつ。

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まだトレイにてんこもり状態で撮影したので、これではまだ何がなんだかよく解らないことと・・・。
完成まであと約一週間から10日。糸通しを下請けしてくれているFrancisに、サンプルと材料を持ち込んで、仕上がってきてから撮影と値付け。もうあと一息。
サンプル組みの様子は以前<このページ>でも舞台裏をお見せしたことがあるが、再び少し・・・。

Making a sample...
これはデザインを決めているところ。


クリップで留めたテグスを仮通しに使っている、糸だけで通していけるものだったら何でも使える。(タイガーテールワイヤーでもいいが、淡水パールの穴が小さくて通らない時がある。)
センターのペンダントヘッドから、バランスと長さを見ながらビーズを組み合わせていく。ビーズ組専用トレイに並べるやり方もあるが、私は手早くデザインを決めていく方なので、このやり方でずっときている。
作業机によく使う長さをマークしていて、Cがセンター。いちいちメジャーで計らなくていいので便利。

My style of threading
デザインが決まったら、本糸通し。

これまた、いろいろなやり方があるのだが、私が使うのはアクセサリー工業用ナイロン糸4番を2重使い。
イギリスでは、タイガーテールワイヤーを使う人が多いのだが、個人的には好きではない。ワイヤーは丈夫なのだけれど、ゴワゴワしていて、ネックレスの柔らかさが出ない。保管の時の丸め方によっては、へんなクセが付いてしまって取れない、などが欠点。いくらワイヤーが強いといっても、石の穴にエッジが立っていると、ワイヤーでも切ってしまう。なので、私はいつもナイロン糸信奉者。(時たま、重い天然石を使ったロングネックレスにタイガーテールを使う位。) もし、Kotomiジュエリーを、ずっと使っていて糸切れしてしまったら、直しますよ^^。
針は長い目のビーズ針使用。しっかりしたナイロン糸は、太いので針穴には通らない。そこで、細手のミシン糸(90番を使っている)を「道糸」にする。この細手ミシン糸を針穴に通して輪に結んだところに、ナイロン糸を通して使う。
糸の始末は日本で言うところの「ボールチップ」、英語ではcalottes chipsと呼ばれているものを使って、中に結び目を隠す。この一連のやり方は典型的な日本のアクセサリー製造工場のやり方。

Packed all beads and findings...
サンプル1点を仕上げたら、同じデザインにするペンダントヘッドの数に合わせて、
必要なビーズやパーツをサンプルとともにパック詰め。

これを数えるのも、なかなかの手間。量産メーカーでは、測りでビーズの重さを測って数量を割り出す。私の場合は、それほどの量でもないので、目分量を含めて、ちょっと余分の量で数えておく。上はFrancisに持ち込む直前の状態。一週間におよそ150本位仕上げてくれる。今回は300本弱なので、2週に分けて取り掛かってもらう。
全部仕上がって、値付けも済んで、納品体制が整うのは3月の始め。

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話は変わって、写真の話題。2009年の秋ごろ、私のFlickr写真を見たドイツの出版社から、写真を文庫本の表紙のデザインに使いたいというオファーが入ってきた。 
チューダー期リ・エンアクトメントのグループの人たちを撮ったものだったが、幸いグループの連絡先が解っていたので、念のため問い合わせてみたら、写っていた人達も問題なし。後で出版社から、顔は写らないし加工もするので肖像権は問題ないとの連絡も来た。私の方はもちろん、大歓迎なので、高画質のものをメールで納品した。きちんとお支払いはいただいて、出版は2010年の秋になるという話だったので、その後すっかり忘れてしまっていた。
そうしたら、今年の初めにその本が届いた。

My photo was used for a German paperback book : )
こんなもの。
イギリスの歴史小説家・Philippa Gregory(フィリッパ・グレゴリー)の歴史小説のドイツ語訳版で、
ヘンリー8世の最初の妃キャサリン・オブ・アラゴンを主人公にしたもの・・・らしい。
U.K.アマゾンでも出ていた・・・<ここ>。

My photo was used for a German paperback book : )
表紙真正面。

Tudor dance
元写真はこれ。
グラフィック・デザイナーのフォトショップ力量にひたすら感心。
うちのアンティーク、フォトショップCS2のグレードアップを・・・真剣に考えてしまうな(笑)。


次回は、Fashion and Textile Museum(ファッションとテキスタイル博物館)で4月25日まで開催中の、テキスタイルデザイナーSue Timney(スー・ティムニー)の展覧会のイメージ。












ヴィンテージ・ジュエリー -神戸真知子さんのコレクションより

前回の標本箱、ファッション・デザイナー、machiko jinto(神戸真知子)さんのコレクションのヴィンテージ・ジュエリーを今日は展覧。<彼女のオリジナル・ブランド、BustleのWebsiteはこちら、ブログはこちら

先日、新作のためのフォトセッションでお邪魔したときに見せてもらって、大感激。50's~60’sのStanley Hagler (スタンレー・ハグラー)を中心に、一部Miriam Haskell(ミリアム・ハスケル)も。 
服の撮影の合間に手早く撮っていたので、裏の刻印等を確認して来なかった。なので、ハグラーとハスケルと混同してるかもしれないが・・・ご容赦。間違ってたら教えてね、真知子さん(笑)。

Machiko's vintage jewellery collection
典型的なハグラーのブローチ。
ハスケルの会社に一時期在籍していたハグラーは、ハスケルの繊細なビーズ組のスタイルを踏襲していながら、
彼独自の、コントラストのきいたカラーの組み合わせで展開。
色のスペシャリスト真知子さんが惹かれるのもよく解る。

Machiko's vintage jewellery collection
インパクトのあるターコイズ・カラーのセット。
ちなみに、バックグラウンドは真知子さんがバルコニーから引っ張り出してきてくれた錆びたトタン板。
「道で拾ったの。いいテクスチャーでしょ?」確かに・・・コントラストの師匠だけのことはある(笑)。

Machiko's vintage jewellery collection
ターコイズ・カラーバージョンのブレスレット。ハグラー60年代の頃のもの。

Machiko's vintage jewellery collection
この昆虫ブローチは、どこかのヴィンテージの本で見たことがあるのだが、
誰のものか思い出せない・・・。

Machiko's vintage jewellery collection
もう一匹いる。

Machiko's vintage jewellery collection
真知子さんの服によく似合いそうな、元気のいいグリーン。

Machiko's vintage jewellery collection
コーラル(珊瑚)色のセット。これもハグラー60年代のものの様。

Machiko's vintage jewellery collection
こちらは優しい色合いのコーラル・カラー・ネックレス。

Machiko's vintage jewellery collection
印象的なレッドのイヤリング。

Machiko's vintage jewellery collection
これ・・・とてもハスケルっぽいのだが・・・?
パールといえば、ハスケル・・・と思い込んでいるからだろうか?

ちょっと余談。ハスケルがガラス・バロック型塗りパールを作らせていたのは、実は日本の南大阪だった。
泉州・河内の近辺に戦後、主にアメリカ量産品の下請け工場として、ガラス・樹脂等の通称「玉屋」、ビーズ製造工場が増加した。その中でも、ガラス塗りパールの品質のよさは世界でもトップクラス。それまでのガラスパーツの主要供給元チェコ・ガラスを凌いできた。
塗りパールは樹脂とパール質の顔料を混ぜ合わせた塗料に、下地のガラス玉を漬けるか、吹き付け塗装する工程を何度か繰り返す。南大阪~和歌山にかけての工場ではこのパール顔料を、魚のウロコから作っていた。海に近くて漁業の盛んな地域ならではの発想・・・。この深みのあるパール塗りだけはどこにも真似できなかったもので、ハスケルは独占契約工場を持っていたそうだ。
というのは・・・私がそのような南大阪の製造工場で、その昔、契約デザイナーをしていたときに聞いた話。

Machiko's vintage jewellery collection
パールのブレスレット。

Machiko's vintage jewellery collection
このメタルの花パーツ・・・これこそハスケル?違う?

Machiko's vintage jewellery collection
これは50年代ヴィンテージなのだが・・・Revampラインにデザインを頂戴いたしたし(笑)。

Machiko's vintage jewellery collection
使いやすそうなかわいい花のネックレス。

Machiko's vintage jewellery collection
最後にもう一つ・・・これぞハグラー!!というブローチ。
この色あわせ、ちょっとラクロワを思い出したりもして・・・。


今度はいつか、真知子さんのバッグのコレクションも撮影させてもらう予定。その折にはまた、標本箱に詰め込みます。










machiko jinto(神戸真知子) - ファッション・デザイナー

前回の古代のイメージから一転して、今回は現代に戻ってきた。

今日はLondon-東京間を行き来して、大活躍中のファッション・デザイナー、machiko jinto(神戸真知子)姐さまの標本箱。
<彼女のオリジナル・ブランド、BustleのWebsiteはこちら、ブログはこちら
昨年秋に、顔の広い理恵さんの紹介で知り合って以来、同じクリエーター同志、なんだかんだと意気投合。「真知子姐さん」などと気軽に呼ばせてもらっているが、先方は80年代に「デザイナーズ・ブランド」の言葉を生み出したとも言える、菊池武夫大元帥の率いたBIGI出身。こちらも「時代を作った」デザイナー稲葉賀江女史のもとの、元ニット・チーフ・デザイナー。そのキャリアもトップクラスなのだが、なによりも、いつ会ってもきりっと背筋の伸びたカッコイイ女っぷりには、ノンシャラン系の私としても大いに刺激されるものがある。
彼女のコントラストのきいた、優しくエレガントでありながら、元気な遊び心満点の服達は、年齢も国籍も超えて「いい女」達を魅了してやまない。彼女の青山のフラッグショップで、そのステキな服たちに囲まれて、Kotomiジュエリーも昨年末から取り扱ってもらっている。実に「光栄の至り」というもの。

Machiko styling
秋のシーズンのコレクションでスタイリングの真知子姐さま。
デザイナーたるもの、自らのブランドの最高のスタイリストでもある、
というわけで、彼女のスタイリングの写真撮りを時たまお手伝いさせてもらっている。

Machiko styling
トップレベルの仕事をこなしてきた経験のみならず、
新鮮でクリエイティヴなアイディアには、こちらの好奇心も刺激されることこの上なし。
このときは帽子を仮面のように使って、ミステリアスなイメージで。
あ、ジュエリーは私のRevampラインのもの(宣伝・・・笑)。

Machiko styling
これも秋のコレクションから。地味になりがちなベージュのカーディガンも、
ポップな真っ赤のポルカ・ドットスカーフをスパイスにすれば、粋なスタイリングに・・・。

Machiko styling
春のコレクションから。
コントラストのきいた裏地使いなので、袖をロールアップしただけでも一味違いが出る。

Machiko styling
下のブラウスはこんな感じで、ステキ。
ペンダントはKotomiジュエリー、レンズペンダント。

Machiko styling
エンジとブルー・グレーの組み合わせは、発見。
フォトセッションしていると、教わること多し!!

Machiko styling
春のコレクションから。颯爽とお出かけスタイル。オリジナルのボタンが可愛い。

Machiko styling
そのコートの下は、優しくノスタルジックな花柄・・・
に、スポーティなベルトで「着くずす」。真知子さんお得意のスタイリング。

Machiko
世界的デザイナー業と、社交的なアンティークディーラーMax氏の奥様業、
そして美少女「たーちゃん」ことTatyana嬢のお母さん業を一手にこなす、すごい・・・。
Max氏ともども、お料理の腕はプロ並み。先日はご馳走様でした(笑)。

Machiko's atelier
アトリエの一角。


次回は、この前真知子さんに撮らせてもらった、彼女のコレクションのヴィンテージ・ジュエリーを展覧予定。










Ashmolean Museum (アシュモリアン博物館)-ギリシャとエジプトの発掘品

Ashmolean Museum(アシュモリアン博物館)から3回目の標本箱は、ギリシャとエジプトの発掘品。

Greek red-figure vases
紀元前6世紀頃のギリシャのBlack-figure lekythos(黒像式レキュトス壷)のコレクション。
レキュトスはオリーブ・オイルを入れて、副葬品として使われたもの。
大きなディスプレイ・スペースに圧巻のコレクション。

Greek red-figure vases
こちらは紀元前5世紀頃の、Red-figure lekythos(赤像式レキュトス壷)。
Black-figureより1-2世紀後で、よりナチュラルで柔らかい表現。

Greek red-figure pottery
赤像式レキュトス壷のディティール。なかなかチャーミング。

Greek white-ground vases
紀元前6世紀後半から5世紀にかけてのWhite ground Technique(白地技法)のレキュトス壷。

古代ギリシャの壷絵に関してはJa.Wikiの<このページ>に詳しく解説されている。

Greek white-ground vases
白地技法レキュトス壷のディティール。

Greek white-ground vases
同じく、白地技法レキュトス壷のディティール。

古代ギリシャには薀蓄なしなので・・・見た目だけで楽しんで、次は古代エジプトの部屋に移った。
猫好きの私としては・・・

Bastet cat
Bastet(バステト)を激写。
上記リンクのJa.Wikiの雌ライオン・セクメトから、飼い猫・バステトへと転移する話は興味深い。

Bastets and Sekhmets
Bastets(バステト)とSekhmets(セクメト)のコラージュ。
片手に握っているのはSistrum(シストラム)という、打楽器。
もう一方の手には、ギリシャ神話に由来するAegis(イーギス)の盾(右上段)を持っている。
そして、なにやらハンドバック状のものは籠らしいのだが、それ以上の詳細は知らない・・・。

Bastets and Sekhmets
Bastets(バステト)とSekhmets(セクメト)のディスプレイ。

Shawabtis
こちらはShawabtis(シャワブティス)。Ushabti(ウシャブティ)、shabti(シャブティ)とも呼ばれる。
副葬品でとして作られ、死後の世界で、死者の使用人として身の回りの世話をすると信じられていた。
私はまだ生きているが・・・糸通し仕事手伝ってくれないかな?(笑)

Egyptian jewellery and Eye-of-Horus pendant
最後に古代エジプトのジュエリー。
デティールを控えてこなかったが、カーネリアンとターコイズかな?


アシュモリアン博物館は、これ以外にも中東工芸美術品、中国工芸美術品、ヨーロッパ絵画など、さまざまな分野にわたっての収蔵品が充実。
発端は17世紀の収集家Jon Tradescant(ジョン・トラデスカント)親子の博物学標本、古代コイン、書籍などを引き継いだElias Ashmole(エライアス・アシュモール)が、彼自身のコレクションを付け加えて、オックスフォード大学に寄贈したことから始まる。1683年に公開が始まったこの博物館は、イギリス最古の、そしてヨーロッパ最古の・・・つまり世界最古の「博物館」。オックスフォードでは見逃せない博物館の一つ。

(祭日以外の)月曜休館、10am - 6pm


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このGoogleStreetは、まだ大改装中の頃。









Ashmolean Museum (アシュモリアン博物館)- リングと時計のコレクションなど・・・

引き続きAshmolean Museum(アシュモリアン博物館)から2回目。
ミニ大英博物館+ミニナショナル・ギャラリー状態のアシュモリアン博物館なので、発掘物から絵画から・・・ようは何でもある。その中でもちょっと釘付けになったのがリングのコレクション。ウェブサイトのオンラインコレクションのページ<このページ>によると400アイテム以上あるらしい。私達がざっと見ただけでも、100アイテム近く展示のキャビネットがあり、それを集中して写真撮りしていた。残念ながらその段階ではまだラベルが設置されていなかったので、何がなにやら・・・。
上記のリンクのコレクション写真からも多少調べてみたが、間違ってたら失礼!!(笑)

Rings
上左のターコイズのリングと下中のリングの小さな石を寄せ集めて
覆輪(フクリンの漢字合ってるかな?)でとめたようなリングは17世紀ごろ、
右と中の花のバスケット風リングは18世紀中ごろの流行。
リングのボディにエナメル装飾がつくのは、16世紀のスタイル。

Rings
左の上・中は19世紀のリプロで元になったのは16世紀のルターの結婚指輪だそう。
左下は18世紀後半のネオ・クラシカルスタイルのラピスラズリ。
右下の突出したような形のリングは13-4世紀のもの。手に入る石(この場合サファイア)で、
デザインが決まることの多かった時代のデザイン。縦に長い石だったのかな?
右中は17世紀初期のルビーのリング。
右下は15世紀のPapal(教皇)リングと呼ばれる巨大なリング。
ブロンズに金張り、石はピンクフォイル張りのクリスタルでどちらも高価なものではない。
このような教皇リングはいくつも作られているが、本来の用途は不明。
多分、教皇使節に持たせる「証明」だったのではないか、と考えられている。

Rings
左上は16世紀、左中・下は19世紀のローマン・リヴァイヴァルの頃かと思いきや・・・
3世紀と4-5世紀のオリジナルのローマンリングだった。
右上と下は17世紀の「メメント・モリ」期の物のよう。
右中は18世紀中のSignet(印章)リング。

Rings
これは全体にMourning(服喪)リングやメモリアル(記念)リングで、18-9世紀のもの。
(上から2段目右は17世紀っぽいかな・・・)。
最下段左は、故人の髪で作られた模様をガラスの下に封じ込めたもの。
髪の毛を服喪・記念のジュエリーに使用する例は18-9世紀には珍しくはない。

Rings
上段、中段の屋根のようなモチーフのついた大型リングは、ユダヤ教の結婚式リングで16世紀のもの。
中段右の2つのポートレートが入ったリングは19世紀のもの。「友情の印」的なもののよう。
下段は18世紀Rococo(ロココ)期の結婚または婚約指輪。

次は時計のコレクション。時計にはあまり詳しくないので、解説は付けられないが・・・見て楽しんでください。

Watches
上段中のは、かなり古そう・・・16世紀頃の物のよう。

Watches
ケースに被さっているのは、ガラスではなくて、水晶を削りだしたもの。まるで、機能する宝石。

Watch cases
これは装飾的な時計のケース。エナメル彩色や、宝石を埋め込んだものなど。
下段左は17世紀後半「メメント・モリ」期のChatelaine。(シャテレイン=女性がベルトにフックで付けた小物下げ鎖)
水晶の下には、故人を偲ぶ髪でできた模様が、ここでも封じ込められている。
上段右も典型的なシャテレインで、時計の他に印章と鍵が下げられている。

Watch
アップで・・・17世紀後半のもの・・・だろうか?

Keys
デコラティブな鍵のコレクション。

Plaster impressions 18c
Plaster impression(石膏型)のコレクション。
これは18世紀に流行ったコレクションで、イタリア産ののカメオやインタグリオ(陰刻)の宝石から石膏取りされたもの。
ギリシャ・ローマ神話のモチーフは、当時の教養人にふさわしいコレクション趣味と考えられていた。

Plaster impressions 18c
同じくPlaster impressionのコレクション。


次回は、アシュモリアン博物館から最終回で、ギリシャの壷絵やら、エジプト発掘品など古代に飛ぶ予定。














Anglo-Saxon Jewels (アングロ・サクソン期のジュエリー)-Ashmolean Museum (アシュモリアン博物館), Oxford

引き続きOxfordより、Ashmolean Museumアシュモリアン博物館)のイメージ。

ここは、ちょうどミニ大英博物館+ミニナショナル・ギャラリーといった感じで、世界中からの考古学発掘品やら、絵画やら、ありとあらゆるものが収蔵されている。 
2006年から、ここも大改装のため3年近く閉められていたが、2009年の11月に新装再オープン。オープン直後の12月頭に駆けつけたのは、ここのアングロ・サクソン・ジュエリーのコレクションを、ぜひ見てみたかったから。

随分前になるが、中世ヨーロッパのジュエリーのイメージを標本箱に詰め込んだことがある。<このページ
その時に「『中世』というと、おおよそ11-14世紀」と書いたのだが、イギリスでは1066年のノルマン征服以降のノルマン王朝以降を「Medieval(中世)」として呼びならわしている。それ以前の時代は征服されたアングロ・サクソン王朝の時代で、弱体化したローマ帝国軍が次第に撤退していった5世紀初頭から11世紀まで。この時期も厳密にいうと「中世」に入るのだが、「初期中世」「Dark Age(暗黒時代)」などとも呼ばれている。
なにが「暗黒」かというと・・・実はあまりどんな暮らしだったかが解りにくいから、でもある。
レンガを多用した建造物を残したローマ人達、大陸のロマネスク石造建築技術を持ち込んだノルマン人達の遺跡ははっきりと残っているわけだが、現在のデンマーク・オランダあたりからイギリス東海岸に移住してきたアングロ・サクソン人の住居は大半が木造だったので、ほとんど明確には残ってはいない。およそ7つの王国に分かれていて、王といえども部族長程度の権力。まだまだ石造の城を築けるまでには財力・権力は整っていない。教会や修道院の一部に、アングロサクソン石造建築が残されている程度。
ここ何十年かの考古学テクノロジーの進化があってはじめて、木造住居での暮らしぶりが徐々に明らかにされるようになってきたところ。
その、まだまだ謎の残るアングロ・サクソン人なのだが、移動民族系の伝統なのか、ジュエリーに関してはちょっと「うるさい」。つまり、発掘品の中で最も目に付くのはゴールドやガーネットを多用した、大型のジュエリー。主に王や戦士といった、男たちを飾るためのジュエリーは、豪華で剛毅。
大英博物館にも、多数国宝級が収蔵されているが、今日はアシュモリアン博物館収蔵品の中から展覧してみよう。

Alfred Jewel
Alfred Jewel  Anglo-Saxon 871-899, cloisonné enamel, North Petherton, Somerset, England
アルフレッド・ジュエル、アングロサクソン期 871-899年

Alfred Jewel
アルフレッド・ジュエル、別の角度から。

一番見てみたかったのがこれ。これはそれほど大きなジュエリーではない、天地6センチぐらいのもの。水晶の下にエナメルでキリストと思われる像が描かれている。
周りのゴールド装飾部に「AELFRED MEC HEHT GEWYRCAN=Alfred ordered me made」ーアルフレッドが命じて(私を)作らせた-の文字が浮き彫りにされているため、アングロサクソン七王国の一つウェセックスのアルフレッド大王の時代の作に帰されている。
何であったかはいまだにはっきりとは解らなくて、聖書を読みやすくするために使う「ポイント棒」の持ち手だったのではないかという説が有力。
エナメルの上にクリスタルという凝った作り、側面にまるで呪文のように刻み込まれた文字といい、通常パターンがほぼ決まっているアングロサクソン・ジュエリーの中でも、繊細で秀逸な作品。

Minster Lovell Jewel
Minster Lovell Jewel  Anglo-Saxon 871-899 Minster Lovell, Oxfordshire, England.
ミンスター・ロベル・ジュエル アングロサクソン期 871-899年

これもアルフレッド・ジュエルと同時代で、多分同様に「ポイント棒」の持ち手だと思われている。これは水晶は乗っていなくて、アルフレッド・ジュエルほど豪華なつくりではない。

Jewelled discs

Jewelled disc
Jewelled disc  550-650 Anglo-Saxon, Monkton Kent, England
ジュエルド・ディスク アングロサクソン期 550-650年

「例外」から初めてしまったが、「典型」はこれ。サイズは10センチぐらいでかなり大型。このようなゴールドの幾何学模様+ガーネット象嵌が典型的な「アングロサクソン」スタイルの一つ。このタイプは・・・もう数え切れないぐらいある。

Jewelled disc
Jewelled disc  600-700 Anglo-Saxon, Sarre, Kent, England
ジュエルド・ディスク アングロサクソン期 600-700年

「ディスク」と称されるのは、こういった10センチ級のもの。詳しくは知らないのだが、ブローチの金具が付いていないのだと思う。なので、何にどうやって使われたかは明確には解らないのかもしれない。これより小さくてブローチ金具が付いているものに関しては「ブローチ」とたいてい表記されているので・・・。

Jewelled disc brooch
Jewelled disc brooch  500-600 Anglo-Saxon
ジュエルド・ディスク・ブローチ アングロサクソン期 500-600年
そう、これが明らかに「ブローチ」の方で、5センチ位。

Jewelled disc brooch
Jewelled disc brooch  500-600 Anglo-Saxon
ジュエルド・ディスク・ブローチ アングロサクソン期 500-600年

Frankish disk brooch
Frankish disk brooch 500-600
フランキッシュ・ディスク・ブローチ 500-600年

フランキッシュというのは「フランク王国」のこと。アングロサクソンと同時代の大陸側。その違いは・・・全くない。ほとんど海を挟んだ親戚状態で、交易も職人の行き来もあり、スタイルは同じ。

Jewelled cross shaped pendant
Jewelled cross shaped pendant Anglo-Saxon 600-700, Ixworth, Suffork, England
クロス型ペンダント アングロサクソン期 600-700年

Clasp
Clasp Frankish 600-700
クラスプ フランキッシュ 600-700年

これもフランキッシュ、大陸側。保存状態が信じられないぐらい・・いい。1500年近く昔のものとはとても思えない。緑の部分はエメラルドに見えるが、ガラスだそうだ。ガーネットはヨーロッパに産するがエメラルドはアジアよりの「輸入品」。とても高価なものだったからだろう。

Fibula (brooch)
Fibula(Brooch) Anglo-Saxon/Frankish 600-700
フィブラ・ブローチ アングロサクソン、またはフランク 600-700年

縦長安全ピン型のブローチをローマ期以来フィブラと呼ばれる。これも典型的アングロサクソン・ジュエリーのデザインの一つ。

Fibula (brooch)
Fibula(Brooch) Anglo-Saxon/Frankish 600-700
フィブラ・ブローチ アングロサクソン、またはフランク 600-700年

モチーフは北欧神話オーディンの使者Raven(ワタリガラス)。上記のクロスと全く同時代だが、ちょうど異教からキリスト教への移行期で、どちらのモチーフも使われている。中には一つのジュエリーの中に両方がえがかれているものもある、とは、最近TV歴史プログラムで知った話。興味深い・・・。

Clasp
Clasp Frankish 600-700
クラスプ フランキッシュ 600-700年

Anglo - Saxon jewellery, buckle, belt-end
アングロサクソン期のジュエリー、バックル、ベルトエンド、ビーズなど。
左下の「蛇」も典型的なアングロサクソンのモチーフ。

Group of jewellery and strap-ends
アングロサクソンとフランクのジュエリー、ベルトエンドなど。

最後に、一番美しい「お宝」・・・。

Crystal ball
Crystal ball Anglo-Saxon/Frankish 600-700
クリスタル・ボール アングロサクソン、またはフランク。 600-700年
何に使われたのか、教会の装飾品だったのだろうか・・・?


おまけヴィデオ。2009年にアングロサクソン・ジュエリーが大量にスタッフォードシャーから発掘された。
失業中の小父さんが、暇に任せて金属探知機で農地を調べていて、アングロサクソン・ジュエリーを発見。考古学者達が本格的に発掘したところ、出るわ出るわ・・・イギリス史上最大の「お宝発掘」となった。そのニュースをYoutubeから。現在はバーミンガム博物館と大英博物館で所蔵・・・だったはず。



アシュモリアン博物館より、次回はもっと新しいジュエリー。リングと時計のコレクション。











Oxford (オックスフォード)の街

  • Posted by: Kotomicreations
  • 2011-02-08 Tue 08:38:13
  • 写真
前回までCambridge(ケンブリッジ)に関しての標本箱だったが、今回はOxford(オックスフォード)。

一昨年(2009年)たまたま、ケンブリッジに滞在して、その2ヵ月後にオックスフォードに滞在することがあった。
Oxbridge(オックス・ブリッジ)と呼び習わされる、イギリスの双璧をなす大学街。どちらも中世以来の伝統的な街並みなのだが、たて続けに訪れたためか、ちょっとした街の雰囲気の違いが感じられて、なかなか面白かった。

ケンブリッジの方は伝統的に「理系」、現在ではイギリスのシリコンヴァレー化している。街中の学生たちは総体的に若くて(20才ぐらいかな)、留学生あるいは移民子弟ブリティシュがたくさん。(外見ではどちらか区別などつかない。)つまり、ロンドン的なるマルチナショナル(多国籍)感覚。インド系・中国系・アフリカ系の、超賢こそうなボク達がいっぱい。しかし、ファッションはただただ、ジーンズ+ナイキトレーナー+Tシャツで、カジュアル・コンテンポラリーとも言えるが、あるいはまたの名を・・・どうでもいい系。

一方オックスフォードは伝統的に「文系」、政治、歴史、文学、神学といった方面がもともとはお得意。街で見かける「学生風」年齢層の幅が妙に広くて、講師なのだか学生なのだか判断できない20代後半~30代多し。こちらは「ホワイト・ブリティシュ標本箱」状態で、多国籍率低し。このいまどき・・・ツイードのジャケット、革靴、ボタンダウン・シャツなど、トラッド系ファッションで、ときたま振り返って見てしまうほどのダンディ君の出現も・・・。

個人的には「ヴィジュアル系中年」なので、ダンディ・オックスフォードに一票(笑)。

Oxford 30/11/09
またカザミを撮っている・・・。
George Streetの、旧City of Oxford High School for Boysの建物。
古そうに見えるが、19世紀後半の建造。

Oxford
にぎやかな商店街Cornmarket Streetの木造建築。
1386-96頃建造のオックスフォードで一番古い建物。「New Inn」という宿屋兼飲み屋として建造された。
現在は携帯電話ショップと、美味しいチェーン・カフェ、Pretことプレタマンジェが入っている。
ここで何度も休憩+お茶をした。

Oxford
窓と藤。これはどこだったか、覚えていない。どこもかしこも、こんな風なので・・・。

Oxford
Broad Streetから、以前標本箱に詰め込んだ科学史博物館<このページから3回続く>と同敷地に建っている、
Sheldonian Theatre(シェルドニアン・シアター)の屋根。17世紀Chrostopher Wren(クリストファー・レン)の建築。

Oxford
細い路地、Ship Streetから撮った、Exceter Collegeのチャペルの尖塔。

Oxford, street with Christmas decoration
訪れたときは12月の始め。オックスフォードもクリスマスのイルミネーションで飾りつけ。
Cornmarket Streetからはるかかなたの、Christ Churchの入口ゲートの上に聳えるTom Towerを望遠で。
このタワーは鐘楼で、Great Tom(グレート・トム)と言う名の鐘が架けられているためこう呼ばれる。
このタワーも17世紀クリストファー・レンの設計だが、下のゲート自体は、
16世紀初期にカーディナル・ウルジーの建てた後期ゴシック/チューダー様式。
件のヘンリー君こと、ヘンリー8世に目をつけられて権力失墜、ゲートは屋根なしのまま残されていたのだとか。

Oxford. Tom Tower, Christ Church College
画像:Cornell University Library Accession Number: 15/5/3090.01140 @Flickr
19世紀のトム・タワーのイメージを見つけた。
確かに、よく見ると上下でスタイルが違う・・・。

University windows - Oxford
Radcliff Science Library(ラドクリフ科学図書館)の窓を、裏の自然史博物館側から撮った・・・・と思う。

Oxford
The Martyrs' Memorial(殉教記念塔)のディーティール。
これは19世紀に建造されたもので、ここの近くで16世紀中に異端に問われ焚刑に処せられた、
3人のオックスフォード大学司教を追悼したもの。
この事件は英国国教会創設者のヘンリー8世の死後、戴冠したメアリー1世のカトリック反動体制によるもの・・・。

Angel in Oxford
天使の石彫。

Oxford
ポッシュ(高級)なRandolph Hotel(ランドルフ・ホテル)の旗。
もちろん泊まってませんよ(笑)。

Ashmolean Museum
その斜め向かいが、Ashmolean Museum(アシュモリアン博物館)。
Oxfordに滞在したのは、新装オープンしたこのミュージアムを見るため。


以前も何度かここのミュージアムで撮ったイメージを標本箱に詰め込んだことがあるが、次回は本格的に、ここのミュージアムから、中世初期(アングロサクソン期)のジュエリーを中心に・・・。

 




Cambridge(ケンブリッジ)の街

  • Posted by: Kotomicreations
  • 2011-02-06 Sun 10:24:02
  • 写真
前回までCambridge(ケンブリッジ)のKettle's Yardのイメージを展覧していた。今回は、美術館を出て街に向かう。街のイメージをいろいろ駆け足で・・・。

King's College - Cambridge
ケンブリッジといえば大学。そのなかでも有名なのがこのKing's Collage(キングスカレッジ)。

何が有名かというと、チャペルの建築とそこのクアイア(合唱団)。チャペルは1441年にヘンリー7世(例のヘンリー8世のお父さん)によって建造された。
いまさら、クリスマスの話に戻るのもちょっと時期はずれなのだが・・・、イギリスのクリスマスの、最もクリスマスらしい極みといえば、例年クリスマス・イヴに放映されるCarols from King's(キングス・カレッジのキャロル)。日本で置き換えるなら、「行く年来る年」と除夜の鐘・・・的なるもの。イギリスのクリスマス情緒にあふれている。1928年のラジオ放送以来、第二次世界大戦中でも途絶えることなく、イギリス全土にそして世界中に放映されて続けている。
例年「Once in Royal David's City(かつてダビデ王の街に)」というキャロルからはじまるサーヴィス(礼拝)は正式には「The Festival of Nine Lessons and Carols(9つの課業とキャロルの祝祭・・・で、翻訳は合ってるのだろうか? 怪しい・・・)」と呼ばれるのだが、この第一番のキャロル「Once in Royal・・・」は、ボーイ・ソプラノのソロで始まる。このソロの大役を担う少年が誰であるか、サーヴィスの直前まで団員にも明らかにはされない。なので、少年たちは全員、誰が指名されても務まるように、万全の状態にトレーニングを重ねている。その中でもその時にベスト・オブ・ベストのコンディションの少年が、指揮者によって指名されるというもの。かなりな「ドラマ」が背景に潜んでいるのだが、例年粛々と大役を果たす少年達は、なんて落ち着いているんだろうと感心してしまう。

2008年の放映を参考までに・・・。




King's College - Cambridge
チャペル内のステンドグラス。

King's College - Cambridge
キングス・カレッジの中庭。

Cambridge
これも、カレッジの一つなのだが・・・他のカレッジは、あまり名前も知らない・・・。

Cambridge
カレッジのゲートが開いていれば、入っていって、うろうろ見て回っていた。
どこもかしこも建物が古くてフォトジェニック。

Cambridge

Cambridge

Cambridge 20/09/09
ケンブリッジの語源はCam(ケム)川に架かる橋。
(ケルト語源はGrantaで湿地の川の意味。ノルマン語の影響でGrantaがCamに転訛したとか。)
で、これがケム川。
夏の間は学生たちのアルバイトのPunting(パンティング、棹漕ぎ舟)で賑わう。
この時は夕方で、そろそろ「店じまい」の時間帯。

The Round Church, Cambridge
これはRound Church(ラウンド・チャーチ)と呼ばれる、12世紀のノルマン様式の教会。
正式名はHoly Sepulchre (聖墓教会)。
イギリスにはこのノルマン様式の円形教会は4つしか残っていないそうだ。
(ちなみに、その一つは以前展覧したロンドンのテンプル教会<このページ>)

The Round Church, Cambridge
このアーチが典型的なノルマン様式。
(ヨーロッパ大陸側では、もっぱらロマネスク様式と呼ばれる。
アングロサクソン朝を征服したノルマン人が持ち込んだので、イギリスの建築様式ではノルマン様式と呼ばれる。)
先の尖がっていない丸いアーチに、たいていはここのように三角形のギザギザ模様が石彫されている。

The Round Church, Cambridge
中はこんな感じ。
大半が19世紀に修復された部分(屋根を含めて)だそうで、あまり古い印象ではないが・・・。

Cambridge
再び街に出て、街並み。

Cambridge
これはハイ・ストリート。

Cambridge
夕暮れてきた。

Cambridge
街の裏路地。

ケンブリッジはロンドンKing's Cross(キングス・クロス)駅から一時間弱。郊外都市と言ってもいいぐらい。昔は日帰り旅行にぶらっと行くような街だったが・・・近頃は鉄道運賃がどんどん高くなってきて、往復21ポンド(2011年現在)とか。ちょっと、出かけにくくなってきたなぁ・・・。

Kettle's Yard (ケトルス・ヤード)-Cambridge (ケンブリッジ)-2-

前回から引き続きCambridge(ケンブリッジ)、Kettle's Yard(ケトルス・ヤード)のイメージより。
インフォメーションは前回の標本箱の一番下を参照して下さい。

Kettle's Yard, Cambridge
前回の標本箱のコテージ(住居)の最上階屋根裏は、プリントやドローイング作品の展示スペースになっている。
主に、若くして第一次世界大戦で戦死したHenri Gaudier-Brzeskaの作品が集められている。
イード夫妻が暮らしていた当初は、客室として使用されたり、ケンブリッジ大学生の下宿部屋として使われていたそうだ。

Kettle's Yard, Cambridge
コテージの2階、日の降り注ぐ温室風になっていたところ(前回の標本箱、最後の方)が、
ちょうどこの増築棟とコテージを繋ぐ部分。
1970年代に増築されたこの棟は、アートを展示するスペースを前提として設計されている。
こじんまりしたコテージ側とはまた違った印象の空間。

Kettle's Yard, Cambridge
角にあるキャビネットの革製ハンドルが、ナイスなアイディアだったので接写。

Kettle's Yard, Cambridge
この増築棟の奥のスペースは、ライブラリーになっている。
ジムのコレクションの美術書をベースに、現在も関連書籍が加えられている。
ここのいすに座って、自由に閲覧できる。

Kettle's Yard, Cambridge
増築棟の一階スペース。

Kettle's Yard, Cambridge
この広々した空間は、アートと同時にリサイタルやコンサート等の場としても、設計されている。
設置のグランド・ピアノは、このときは、壊れた陶器を並べたインスタレーションに使われていた。

Kettle's Yard, Cambridge
コテージ棟でもそうだが、アート作品とそれ以外のインテリア小物を混在させたディスプレイがお見事・・・。
何気なさそうでいて・・・ちゃんとすべて計算されている配置。

Kettle's Yard, Cambridge
テクスチャーなどかけて・・・ちょっと自分もアートぶってみるのだが・・・(笑)。

Kettle's Yard - Church
建物を出ると、敷地の隣にSt.Perter's Churchが建っている。
ケトルス・ヤードのギャラリー入り口受付で頼むと鍵を開けて中も見せてくれる。

Kettle's Yard - Church
かなり古そうだなと外側から見て思ったが、調べてみると11世紀に基礎はさかのぼる。
何度も改修を繰り返しているが、基本的にノルマン様式から中世のスタイルを踏襲している。
左中のFont(フォント、聖水盤)は11世紀のものとか・・・。

Kettle's Yard - Church
またちょっとテクスチャーで遊んでみた・・・。

Self-portrait 1927 - Christopher Wood
チャーチの鍵を返して、ギャラリーの展示を最後に見て回った。
常設展示の Christopher Woodの自画像(1927年)
破滅的な繊細さの片鱗が現れているか・・・?

Boy with cat (Jean Bourgoint) 1926- Christopher Wood
こちらはWoodの「ボーイフレンド」Jean Bourgointを描いたもの。
Boy with Cat by Christopher Wood 1926年

Detail of "Boy with cat (Jean Bourgoint) 1926" - Christopher Wood
ディティール。 きれいな子ですね^^。シャム猫のグルグル・フミフミしている感じ、よくわかる。

Flora in Calix Light 1950 - David Jones
Flora in Calix Light by David Jones 1950年
私のお気に入りはこれ。花とガラスが光の中で、たゆたい煌めく・・・。

Detail of "Flora in Calix Light" 1950 - David Jones
ディティール。

Lourdes1928 - David Jones
Lourdes192 by David Jones 1928年  彼の風景画もなかなか味わいがある。


次回はギャラリーを出て、ケンブリッジの街に出る予定。

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余談: 日本の友人のオススメでいくつか「ブログランキング」なるものに登録・コード設置したものの・・・いろいろ同時にやったら、どれがなんだか解らなくなってしまった。Bookmarkし忘れてて、登録完了メールから探り当てるのも面倒で・・・どこで、何をランキングしてるのやら、いまひとつ謎。こういうのを「年寄りの冷や水」って言うのか・・・あれ?違う意味かな?(笑)。テンプレートぶっ壊さなかっただけでも、年寄りには上出来(汗)。
なので、「ここをクリック」(これは・・・ダサすぎる)もなく、ランキングを見に行くこともなく、相変わらずマイペースで淡々と行ってます^^。









Kettle's Yard (ケトルス・ヤード)-Cambridge (ケンブリッジ)-1-

2009年の秋にCambridge(ケンブリッジ)に遊びに行った折の写真を引っ張り出してきた。
今日はまず、小さな博物館Kettle's Yard(ケトルス・ヤード)。
ここを博物館と呼べばいいのか、美術館と呼べばいいのか・・・。1920年代から30年代にかけてテート美術館の学芸員を務めた、Jim Ede(ジム・イード)とその妻Helen(ヘレン)の暮らした家が公開されている。家自体が、当時ジム夫妻と交友のあったアーティスト達の作品で満たされている上、専用ギャラリーも隣接しているので「美術館」と呼んだほうがふさわしいのかもしれない。呼び名はともあれ、知人の家を訪れているかのような、のんびりした和み系空間。20世紀中ごろの程よいモダンさが、現代から見るとレトロで、日本人にも受け入れやすいテイストだと思う。

Kettle's Yard, Cambridge 20/09/09
石に美しく刻まれた銘文。

Kettle's Yard, Cambridge
この、石と陶片のディスプレイが、ここの「看板」

Kettle's Yard, Cambridge
一階の部屋はこんな感じ。
東西に細長く部屋が続くこの一角は、いつでも南に面した窓から日が差している。

Kettle's Yard, Cambridge
最初の部屋と、ダイニングとそのディティール。
左下の絵はChristopher Wood(クリストファー・ウッド)のFlowers(1930年)
最初Elizabeth Blackadder(エリザベス・ブラッカダー)<こんな絵>とばっかり思っていた。
どちらも同時代で、お互い知り合いのようだが・・・、似てる・・・。

Kettle's Yard, Cambridge
何気ない暖炉の上のディスプレイなのだが、実に美しい・・・。

Kettle's Yard, Cambridge
二階の奥さんのヘレンの居間。
一階はジムのスペースで、訪問者を接客するのは、主にジムだったとか。

Kettle's Yard, Cambridge
ディティール。
左上はBen Nicholson(ベン・ニコルソン)のレリーフ、他の作品は誰のものか解らないな・・・。
下中の木彫のスタンドの上に、ミロの小さな絵画があったようだが、完全に見逃している・・・。

Kettle's Yard, Cambridge
そしてまた、ディティール・・・。

Kettle's Yard, Cambridge
二階へ階段を上がったところがまるで温室のように、植物であふれている。
ぶら下がっているのは大きなレンズ。

Kettle's Yard, Cambridge
ここの写真をレイヤー加工して、遊んでみた・・・。

Kettle's Yard, Cambridge
この2階の光のあふれた空間から、建物は増築棟へと繋がっている。


増築棟には大型の絵画、彫刻、が多数収蔵されている。この続きはまた次回に。

ケトルス・ヤードの中の様子はこのウェブ頁でも、見ることができる<ここ
「Enter Tour」をクリックして、次のページの左コラムにある、平面図をクリックしていくと、内部の写真が表示されるシステム。「View Panorama」のボタンが右下にある部屋は、360℃ヴューもできる。

ヴィジター・インフォメーションは<この頁
月曜休館、コテージ(住居):2時から4時Open(夏は1時半から4時半)入場無料

地図と入口のイメージ

View Larger Map
ギャラリー部が通りに面しているので解りやすい。
コテージ(住居)の方は、この細いパッセージを入っていったところが入口。
オープン時間中でも、たいていドアは閉まっているので、
ぶら下がっている黒い平たいドーナツのような形の呼び鈴を引いて知らせると、中から開けてくれる。


写真撮影は、ギャラリーの入り口受付で申請する。確か2ポンド程度の手数料を払って、名前・住所を登録し、著作権に関する同意書にサインする・・・だったと思う。するとスティッカーを貼ってくれて、後は撮影自由。ギャラリー内の作品でも撮影自由。








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