- 2020-11-20 Fri 17:00:00
- 博物館・美術館
長々と引きずった、ヴェニスのシリーズが終わって、標本箱はロンドンへ帰還。
今回からは、V&Aミュージアムのジュエリー室のイメージを。
2年前に、日本からの友人と訪れたときに、以前は撮影禁止だったのが、(フラッシュ無し)撮影可になっていて、大感激したのはまるで昨日のことのよう。(その話は<このページ>に。)
そのときに撮っていたものと、2019年5月にまた撮りに行ったもの、今年(2020年)のロックダウン1.0明けに撮りに行ったもの、色々溜め込んでいて、先月ようやく、まとめてポストプロセスが済んだところ。
さーて、何回で収まるかちょっと想像がつかないけれど、しばらくお付き合いください。

V&Aジュエリー室。
正式には、William and Judith Bollinger Gallery
(ウィリアム&ジュディス・ボリンガー・ギャラリー)。
この中で自分の興味を引くものを、
ピックアップして撮ってきた。
とにかく・・・、一番古いものからという、
時代順で載せていくことにする。

Necklace with a cylinder seal pendant,
Greek world, about 300BC, Gold and carnelian
撮ってきた中でも一番古いのは、
BC300年のギリシャのネックレス。
カーネリアンでできた、
シリンダー型の粘土に転がせて押す印を、
ペンダントにしたもの。
このあたりの考古学的なジュエリーは、
どちらかといえば大英博物館が専門分野で、
ここV&Aには参考程度にしか収められていない。

Earrings, Roman Empire about AD 200-300
200-300年頃の、ローマ期のイヤリング。

Earring, Lombard Kingdom, about 500-700,
Gold, rubies, emeralds and garnets
500-700年頃のロンバルディア王国時代のイヤリング。
ゴールド部分にセッティングされた、
カボションのルビーやエメラルドは、後年の修復だそう。
これや、その上のパールの下がったイヤリング、
こういうデザインは、ビザンティン風。

Plaque with the Virgin Mary, about 1350
で、ポンポン時代は飛んで、
14世紀の聖母を描いたエナメルのプラーク。
ベルトか何かの飾りかな?
この頃のエナメルはリモージュ製が多い。

Diptych pendant with the Crucifixion and the Virgin Mary,
France, about 1370-80,
partially gilded silver and translucent enamel
これも14世紀のエナメルペンダントで、
ロケットのように開いて、
中に磔刑と聖母のレリーフが収められている。
お守りのようなもの。

Pendant with the scenes from the Life of Christ,
about 1450-80, Northern Germany
もう少し時代は下がって、15世紀後半だけれど、
同じようなロケット型、ディプティークのペンダント。
ドイツ製なので、レリーフの人物像の表現が、
ゴツゴツした感じ。

Virgin and Child, France,
about 1400-10 with the 19th-century crown
15世紀初頭フランス製の聖母子。
(クラウンは19世紀に付け加えられたものだそう。)
上の2点のような、ミニチュアのアルターピースの中に
収められていたものと考えられている。
ゴールドにエナメル。

Rings - Gem Set and Decorative, 1200-1500
13-16世紀のリングの展示から。
上のリングはシール(印)のリング。

Pendant cross, possibly Germany, 1400-1500
多分ドイツ製の15世紀のペンダント。
こういうデザインとても好き、ぐっと来るものがある(笑)。

Pendant cross, Germany, 1500-40,
enamelled gold withpearls, rubies
and colourless stone
16世紀前半のドイツ製クロスペンダント。
いや、これもいいですね。
似たようなデザインのジュエリーを、
今でも作っている人がこの辺にいたような。

Seal and case, about 1580, England,
Sapphire intaglio set in enameled gold
16世紀後半イギリス製、
サファイアのシールのペンダント。
シールは回転して、実際に使えるようになっている。

Pendant, 1540-1560, England, enamelled gold,
set with a hessonite garnet and a peridot,
and hung with a sapphire
16世紀中頃の、イギリス製ペンダント。
ガーネット、ペリドット、サファイアの、
色のコントラストがきれい。

Pendant with the Virgin of the Pillar,
Spain, Saragossa, about 1590,
enamelled gold with table-and rose-cut
rock crystals and pearls
16世紀末の「ピラールの聖母」のペンダント。
スペイン、サラゴサの
巡礼記念のジュエリーと考えられている。
16世紀のジュエリーには、このように、
ゴールドにエナメルで着彩したものが多い。

Dress ornament with a winged heart with a skull,
crossbones and forget-me-nots,
Probably Germany, about 1575-1600,
enamelled gold with emeralds, rubies,
a diamond and pearls
ドレス飾り(後ろにフックが付いていて、
ドレスの胸元に引っ掛けて使ったもの)。
16世紀後半のドイツ製。
これもゴールドにエナメル彩したもの。

IHS pendant, 1580-1600, England
16世紀末のイギリス製 IHSペンダント。
モノグラムIHSはギリシャ語のジーザス
IHΣΟΥΣ (Jesus)の略語で、
キリストを象徴するもの。
墓標にもよく彫られている。

The Heneage or Armada Jewel,
England, about 1595
16世紀末イギリス製の「ハーニエイジ」または
「アルマダ・ジュエル」と呼ばれる。
エリザベス1世を描いたもので、ロケット式になった、
蓋の中にもエリザベス1世のにミアチュアが収められている。
女王から家臣のハーニエイジに下賜され、
同家に伝えられたもの。
「アルマダ・ジュエル」とも呼び習わされているけれど、
1595年の制作は、1588年の対スペイン
アルマダ海戦の勝利とは時期が一致してはいない。

Pendant, Germany, 1550-1600,
Partially gilded silver and verre eglomise
磔刑図が描かれた16世紀後半のペンダント。
verre eglomiseというのは、
裏から描いたガラス絵のこと。
この場合このカボションは、多分クオーツだと思う。

Pendant with the Virgin of Loreto,
Spain, about 1580,
enamelled gold with rock crystal
and verre eglomise
16世紀後半スペイン製
同じくガラス絵でロレートの聖母が描かれている。

Pendant, Spain, about 1580,
Enamelled gold, with rock crystal and pearls
同時代のスペイン製ペンダント。
クオーツで取り巻くデザインが似ている。

Pendant, Italy, about 1550-1600
16世紀後半のイタリア製ペンダント。
これもガラス絵の手法が使われている。

Pendant, Spain, 1580-1600
同時代スペインの、ガラス絵ペンダント。
描かれているのは、受胎告知。

Plaque with the Adoration of the Magi,
Italy, about 1600-20
イタリア製17世紀に入ってからのものだけれど、
同じタイプのガラス絵ペンダントなので、
最後にこれを。
題材は「マギの礼拝」。
ガラス絵の裏から金箔が使われているもののよう。
このシリーズ、次回は17世紀のジュエリーを。
まだまだ続きますよ^^。
*************************
by KotomiCreations
KotomiCreations - Contrado shop item detail
(デジタル・プリント雑貨 - コントラド・アイテム詳細)
Page1, Page2
今回からは、V&Aミュージアムのジュエリー室のイメージを。
2年前に、日本からの友人と訪れたときに、以前は撮影禁止だったのが、(フラッシュ無し)撮影可になっていて、大感激したのはまるで昨日のことのよう。(その話は<このページ>に。)
そのときに撮っていたものと、2019年5月にまた撮りに行ったもの、今年(2020年)のロックダウン1.0明けに撮りに行ったもの、色々溜め込んでいて、先月ようやく、まとめてポストプロセスが済んだところ。
さーて、何回で収まるかちょっと想像がつかないけれど、しばらくお付き合いください。

V&Aジュエリー室。
正式には、William and Judith Bollinger Gallery
(ウィリアム&ジュディス・ボリンガー・ギャラリー)。
この中で自分の興味を引くものを、
ピックアップして撮ってきた。
とにかく・・・、一番古いものからという、
時代順で載せていくことにする。

Necklace with a cylinder seal pendant,
Greek world, about 300BC, Gold and carnelian
撮ってきた中でも一番古いのは、
BC300年のギリシャのネックレス。
カーネリアンでできた、
シリンダー型の粘土に転がせて押す印を、
ペンダントにしたもの。
このあたりの考古学的なジュエリーは、
どちらかといえば大英博物館が専門分野で、
ここV&Aには参考程度にしか収められていない。

Earrings, Roman Empire about AD 200-300
200-300年頃の、ローマ期のイヤリング。

Earring, Lombard Kingdom, about 500-700,
Gold, rubies, emeralds and garnets
500-700年頃のロンバルディア王国時代のイヤリング。
ゴールド部分にセッティングされた、
カボションのルビーやエメラルドは、後年の修復だそう。
これや、その上のパールの下がったイヤリング、
こういうデザインは、ビザンティン風。

Plaque with the Virgin Mary, about 1350
で、ポンポン時代は飛んで、
14世紀の聖母を描いたエナメルのプラーク。
ベルトか何かの飾りかな?
この頃のエナメルはリモージュ製が多い。

Diptych pendant with the Crucifixion and the Virgin Mary,
France, about 1370-80,
partially gilded silver and translucent enamel
これも14世紀のエナメルペンダントで、
ロケットのように開いて、
中に磔刑と聖母のレリーフが収められている。
お守りのようなもの。

Pendant with the scenes from the Life of Christ,
about 1450-80, Northern Germany
もう少し時代は下がって、15世紀後半だけれど、
同じようなロケット型、ディプティークのペンダント。
ドイツ製なので、レリーフの人物像の表現が、
ゴツゴツした感じ。

Virgin and Child, France,
about 1400-10 with the 19th-century crown
15世紀初頭フランス製の聖母子。
(クラウンは19世紀に付け加えられたものだそう。)
上の2点のような、ミニチュアのアルターピースの中に
収められていたものと考えられている。
ゴールドにエナメル。

Rings - Gem Set and Decorative, 1200-1500
13-16世紀のリングの展示から。
上のリングはシール(印)のリング。

Pendant cross, possibly Germany, 1400-1500
多分ドイツ製の15世紀のペンダント。
こういうデザインとても好き、ぐっと来るものがある(笑)。

Pendant cross, Germany, 1500-40,
enamelled gold withpearls, rubies
and colourless stone
16世紀前半のドイツ製クロスペンダント。
いや、これもいいですね。
似たようなデザインのジュエリーを、
今でも作っている人がこの辺にいたような。

Seal and case, about 1580, England,
Sapphire intaglio set in enameled gold
16世紀後半イギリス製、
サファイアのシールのペンダント。
シールは回転して、実際に使えるようになっている。

Pendant, 1540-1560, England, enamelled gold,
set with a hessonite garnet and a peridot,
and hung with a sapphire
16世紀中頃の、イギリス製ペンダント。
ガーネット、ペリドット、サファイアの、
色のコントラストがきれい。

Pendant with the Virgin of the Pillar,
Spain, Saragossa, about 1590,
enamelled gold with table-and rose-cut
rock crystals and pearls
16世紀末の「ピラールの聖母」のペンダント。
スペイン、サラゴサの
巡礼記念のジュエリーと考えられている。
16世紀のジュエリーには、このように、
ゴールドにエナメルで着彩したものが多い。

Dress ornament with a winged heart with a skull,
crossbones and forget-me-nots,
Probably Germany, about 1575-1600,
enamelled gold with emeralds, rubies,
a diamond and pearls
ドレス飾り(後ろにフックが付いていて、
ドレスの胸元に引っ掛けて使ったもの)。
16世紀後半のドイツ製。
これもゴールドにエナメル彩したもの。

IHS pendant, 1580-1600, England
16世紀末のイギリス製 IHSペンダント。
モノグラムIHSはギリシャ語のジーザス
IHΣΟΥΣ (Jesus)の略語で、
キリストを象徴するもの。
墓標にもよく彫られている。

The Heneage or Armada Jewel,
England, about 1595
16世紀末イギリス製の「ハーニエイジ」または
「アルマダ・ジュエル」と呼ばれる。
エリザベス1世を描いたもので、ロケット式になった、
蓋の中にもエリザベス1世のにミアチュアが収められている。
女王から家臣のハーニエイジに下賜され、
同家に伝えられたもの。
「アルマダ・ジュエル」とも呼び習わされているけれど、
1595年の制作は、1588年の対スペイン
アルマダ海戦の勝利とは時期が一致してはいない。

Pendant, Germany, 1550-1600,
Partially gilded silver and verre eglomise
磔刑図が描かれた16世紀後半のペンダント。
verre eglomiseというのは、
裏から描いたガラス絵のこと。
この場合このカボションは、多分クオーツだと思う。

Pendant with the Virgin of Loreto,
Spain, about 1580,
enamelled gold with rock crystal
and verre eglomise
16世紀後半スペイン製
同じくガラス絵でロレートの聖母が描かれている。

Pendant, Spain, about 1580,
Enamelled gold, with rock crystal and pearls
同時代のスペイン製ペンダント。
クオーツで取り巻くデザインが似ている。

Pendant, Italy, about 1550-1600
16世紀後半のイタリア製ペンダント。
これもガラス絵の手法が使われている。

Pendant, Spain, 1580-1600
同時代スペインの、ガラス絵ペンダント。
描かれているのは、受胎告知。

Plaque with the Adoration of the Magi,
Italy, about 1600-20
イタリア製17世紀に入ってからのものだけれど、
同じタイプのガラス絵ペンダントなので、
最後にこれを。
題材は「マギの礼拝」。
ガラス絵の裏から金箔が使われているもののよう。
このシリーズ、次回は17世紀のジュエリーを。
まだまだ続きますよ^^。
*************************
by KotomiCreations
KotomiCreations - Contrado shop item detail
(デジタル・プリント雑貨 - コントラド・アイテム詳細)
Page1, Page2
- 関連記事
-
- V&A Jewellery (V&A、ジュエリー室) -2- (2020/11/25)
- V&A Jewellery (V&A、ジュエリー室) -1- (2020/11/20)
- Museo del Merletto, Burano(レース博物館、ブラノ) (2020/10/09)
- Newer: V&A Jewellery (V&A、ジュエリー室) -2-
- Older: Lido Island、Venice (リド島、ヴェニス)