- 2021-03-22 Mon 09:00:00
- 博物館・美術館
引き続き今回も、The Wallace Collection(ウォレス・コレクション)より、East Gallaries(イーストギャラリーズ)に展示されているオランダ絵画から、目に留まったものをとりとめなく。

「パンを運ぶ少年」Pieter de Hooch(ピーテル・デ・ホーホ)
蘭語発音だとホーホなんだけれど、
自分的には英語発音のフーチの方が親しめるかな。
17世紀のオランダの生活を描いた画家。
建築とインテリアの描写が多くて、
大いに様式や佇まいの参考になる。

このステンドグラスに、カーテンのあしらいが魅力的。

これも同じくホーホの「りんごの皮を剥く女」。
デルフトタイルの暖炉を見てしまう。
どちらも、身なりのいい
中流階級のお宅の日常生活を描いている。

「仕事中の主婦」Nicolaes Maes(ニコラース・マース)
これまたかなり裕福なお宅のようで、
下方の壁にギルトレザー(革製の壁紙)
貼ってあるよね、と、目を凝らせてしまう。
奥方はレースか刺繍の
糸をさばいているのかな。

「レースを編む女」Casper Netscher(カスパル・ネッチェル)
ボビンレース製作中。
女性職人のもっと質素なインテリア。

「アムステルダム西教会の眺め」
Jan van der Heyden(ヤン・ファン・デル・ヘイデン)。
アムステルダムに現在も同じ姿で建つ西教会(Westerkerk)。
アムス中心部は
今も街並みが変わらないところが多いので、
グーグルストリートを見ている気分になる。

「女性の肖像画」Michiel Jansz. van Mierevelt
(ミヒール・ヤンス・ファン・ミーレヴェルト)
これまでの17世紀絵画に比べると、
50-100年ぐらいさかのぼった時代。
正式な肖像画ということもあって、
ご衣装が大仰(笑)。

「黒い帽子を被った自画像」Rembrandt (レンブラント)
いくつも自画像を残しているのだけれど、
1637年の作品なので、31歳の自画像。
個人的にはじっくり描かれた感のある
レンブラントより、華やかな筆勢のある
ハルスの方が断然好きなのだけれど、
一応撮ってみた(笑)。
ハルスも最後に出てきます。

「画家の息子、ティトゥス」レンブラント
レンブラントの4人の子供の中で
唯一成人に達した息子。(他は幼逝している)
15歳とは思えない大人びた風貌は、
義母とともに、破産したレンブラントの管財人として、
絵画や所蔵品を売り捌くという、
経験を踏んできたから・・・
あるいは、そうさせてしまったレンブラント自身の、
息子への想いが反映されていると考えられている。

「青果商」Willem van Mieris(ウィレム・ファン・ミーレス)
レンブラントからいうと50年ぐらい下った、
どちらかといえば18世紀に主に活動していた画家。
ロココ風マニエリスムな、装飾画要素が強いけれど、
インテリアが描かれていると、
じっと覗き込んでしまう(笑)。

「ミーダフォートの並木道」Aelbert Cuyp (アルベルト・カイプ)
Dordrecht(ドルトレヒト)を中心に活動した、風景画家。
暖かな黄色っぽくて低い朝日/夕日を浴びた
風景画は、イタリア絵画の影響だそう。

同じくカイプが描いた、「マース河の船行」。
彼が活動したドルドレヒトは、
マーズ河に面している。
河口に近いマーズ河は海のように広々としている。
ちなみに2017年の3月に
水の街ドルドレヒトを訪れたことがある。
とのときのイメージの標本箱は
<このページ>から3エントリーに。

「そよ風の船」Willem van de Velde the Younger
(ウィレム・ファン・デ・フェルデ・ヤンガー)
親子2代の海洋画家の息子の方。
手前の青と白の旗の小型船は、
オランダ国内用の船で、
外洋に出る船(左と後ろの大型船)は、
オランダ旗を掲げている。

同じ画家の「凪:錨を下ろした漁船」
その後ろ描かれているのは、
砲を積んだ大型の軍用船。

さて、この次はGreat Gallery(大ギャラリー)へ。

このギャラリーには、オランダ、イタリア、
フランス、スペインからの絵画が展示されている。

真正面の中央は、ジョージ4世のポートレート。
このミュージアムの核になっている
コレクションを築いた、
ハートフォード侯爵とも親しく、
コレクションのアドヴァイスを交換したり
という間柄だったそう。

ここにもレンブラント。
「ジョン・ペリコーナとその息子キャスパー」
レンブラントらしく、肖像画にしては動きのある、
シーンの一部を捉えたような表現になっている。
「父さん、これ」って、
遊んでいるように見えるけれど、
ボクが手渡しているのは金貨の詰まった袋。
富裕商人の家督を次ぐ者としての象徴なのだそう。

上のポートレートの、奥さんと娘の方。
「ジョン・ペリコーナの妻、
スザンナ・ファン・コレンと、娘のアンナ」
お嬢ちゃんの方は、将来持参金を受け取って
結婚する、そして後ろに描かれたぶどうは、
結婚して子孫繁栄という役割を象徴しているとか。
なんだか、どちらも「現金」な象徴だなぁ(笑)。

「Philippe Le Roy(フィリップ・ル・ロイ)の肖像画」
Anthony van Dyck(アンソニー・ヴァン・ダイク)
アントワープ時代の肖像画。
フィリップ・ル・ロイの婚約に際して、
ペアで描かれたものだそう。
(婚約者の方の肖像画は<このページ>)
このような全身像の肖像画は、
胸像の肖像画よりも随分高価なものだった。

お気に入りのハルスの代表作が、
ここにも一枚だけ入っている。
「微笑む騎士」。
ダブレット(ジャケット)の刺繍が
愛を象徴するモチーフで埋められているため、
婚約記念の肖像画ではないかとも考えれれている。
(対になる女性肖像画は見つかっていないけれど・・・。)

そのディティール。
このきっぱりとした早描きのタッチが心地よい。
刺繍のモチーフは、炎をあげるコルヌコピア、
愛の矢、ラヴァーズ・ノットなど。

そして、Canaletto(カナレット)。
「ヴェニス:ジュデッカ運河からのサンマルコ流域」
ヴェニスこそ、カナレットの描いた時代から、
現在まで変化が少ないので、
絵を見ては今は行くことができない
ヴェニスを夢見ている。

最後にもう一枚、カナレットのヴェニスを。
「ヴェニス:サン・ジョルジョ・マッジョーレから
眺めるサンマルコ流域」
次回で、最終回・・・に収まるかな?
The Wallace Collection
(ウォレス・コレクション)
Map:
*************************
by KotomiCreations
KotomiCreations - Contrado shop item detail
(デジタル・プリント雑貨 - コントラド・アイテム詳細)
Page1, Page2

「パンを運ぶ少年」Pieter de Hooch(ピーテル・デ・ホーホ)
蘭語発音だとホーホなんだけれど、
自分的には英語発音のフーチの方が親しめるかな。
17世紀のオランダの生活を描いた画家。
建築とインテリアの描写が多くて、
大いに様式や佇まいの参考になる。

このステンドグラスに、カーテンのあしらいが魅力的。

これも同じくホーホの「りんごの皮を剥く女」。
デルフトタイルの暖炉を見てしまう。
どちらも、身なりのいい
中流階級のお宅の日常生活を描いている。

「仕事中の主婦」Nicolaes Maes(ニコラース・マース)
これまたかなり裕福なお宅のようで、
下方の壁にギルトレザー(革製の壁紙)
貼ってあるよね、と、目を凝らせてしまう。
奥方はレースか刺繍の
糸をさばいているのかな。

「レースを編む女」Casper Netscher(カスパル・ネッチェル)
ボビンレース製作中。
女性職人のもっと質素なインテリア。

「アムステルダム西教会の眺め」
Jan van der Heyden(ヤン・ファン・デル・ヘイデン)。
アムステルダムに現在も同じ姿で建つ西教会(Westerkerk)。
アムス中心部は
今も街並みが変わらないところが多いので、
グーグルストリートを見ている気分になる。

「女性の肖像画」Michiel Jansz. van Mierevelt
(ミヒール・ヤンス・ファン・ミーレヴェルト)
これまでの17世紀絵画に比べると、
50-100年ぐらいさかのぼった時代。
正式な肖像画ということもあって、
ご衣装が大仰(笑)。

「黒い帽子を被った自画像」Rembrandt (レンブラント)
いくつも自画像を残しているのだけれど、
1637年の作品なので、31歳の自画像。
個人的にはじっくり描かれた感のある
レンブラントより、華やかな筆勢のある
ハルスの方が断然好きなのだけれど、
一応撮ってみた(笑)。
ハルスも最後に出てきます。

「画家の息子、ティトゥス」レンブラント
レンブラントの4人の子供の中で
唯一成人に達した息子。(他は幼逝している)
15歳とは思えない大人びた風貌は、
義母とともに、破産したレンブラントの管財人として、
絵画や所蔵品を売り捌くという、
経験を踏んできたから・・・
あるいは、そうさせてしまったレンブラント自身の、
息子への想いが反映されていると考えられている。

「青果商」Willem van Mieris(ウィレム・ファン・ミーレス)
レンブラントからいうと50年ぐらい下った、
どちらかといえば18世紀に主に活動していた画家。
ロココ風マニエリスムな、装飾画要素が強いけれど、
インテリアが描かれていると、
じっと覗き込んでしまう(笑)。

「ミーダフォートの並木道」Aelbert Cuyp (アルベルト・カイプ)
Dordrecht(ドルトレヒト)を中心に活動した、風景画家。
暖かな黄色っぽくて低い朝日/夕日を浴びた
風景画は、イタリア絵画の影響だそう。

同じくカイプが描いた、「マース河の船行」。
彼が活動したドルドレヒトは、
マーズ河に面している。
河口に近いマーズ河は海のように広々としている。
ちなみに2017年の3月に
水の街ドルドレヒトを訪れたことがある。
とのときのイメージの標本箱は
<このページ>から3エントリーに。

「そよ風の船」Willem van de Velde the Younger
(ウィレム・ファン・デ・フェルデ・ヤンガー)
親子2代の海洋画家の息子の方。
手前の青と白の旗の小型船は、
オランダ国内用の船で、
外洋に出る船(左と後ろの大型船)は、
オランダ旗を掲げている。

同じ画家の「凪:錨を下ろした漁船」
その後ろ描かれているのは、
砲を積んだ大型の軍用船。

さて、この次はGreat Gallery(大ギャラリー)へ。

このギャラリーには、オランダ、イタリア、
フランス、スペインからの絵画が展示されている。

真正面の中央は、ジョージ4世のポートレート。
このミュージアムの核になっている
コレクションを築いた、
ハートフォード侯爵とも親しく、
コレクションのアドヴァイスを交換したり
という間柄だったそう。

ここにもレンブラント。
「ジョン・ペリコーナとその息子キャスパー」
レンブラントらしく、肖像画にしては動きのある、
シーンの一部を捉えたような表現になっている。
「父さん、これ」って、
遊んでいるように見えるけれど、
ボクが手渡しているのは金貨の詰まった袋。
富裕商人の家督を次ぐ者としての象徴なのだそう。

上のポートレートの、奥さんと娘の方。
「ジョン・ペリコーナの妻、
スザンナ・ファン・コレンと、娘のアンナ」
お嬢ちゃんの方は、将来持参金を受け取って
結婚する、そして後ろに描かれたぶどうは、
結婚して子孫繁栄という役割を象徴しているとか。
なんだか、どちらも「現金」な象徴だなぁ(笑)。

「Philippe Le Roy(フィリップ・ル・ロイ)の肖像画」
Anthony van Dyck(アンソニー・ヴァン・ダイク)
アントワープ時代の肖像画。
フィリップ・ル・ロイの婚約に際して、
ペアで描かれたものだそう。
(婚約者の方の肖像画は<このページ>)
このような全身像の肖像画は、
胸像の肖像画よりも随分高価なものだった。

お気に入りのハルスの代表作が、
ここにも一枚だけ入っている。
「微笑む騎士」。
ダブレット(ジャケット)の刺繍が
愛を象徴するモチーフで埋められているため、
婚約記念の肖像画ではないかとも考えれれている。
(対になる女性肖像画は見つかっていないけれど・・・。)

そのディティール。
このきっぱりとした早描きのタッチが心地よい。
刺繍のモチーフは、炎をあげるコルヌコピア、
愛の矢、ラヴァーズ・ノットなど。

そして、Canaletto(カナレット)。
「ヴェニス:ジュデッカ運河からのサンマルコ流域」
ヴェニスこそ、カナレットの描いた時代から、
現在まで変化が少ないので、
絵を見ては今は行くことができない
ヴェニスを夢見ている。

最後にもう一枚、カナレットのヴェニスを。
「ヴェニス:サン・ジョルジョ・マッジョーレから
眺めるサンマルコ流域」
次回で、最終回・・・に収まるかな?
The Wallace Collection
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