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William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London(ウィリアム・ブレイク展、2019年、テート・ブリテン)-3-

2019年の11月に訪れたテート・ブリテン美術館でのWilliam Blakeウィリアム・ブレイク)展より、最終回。


Elohim Creating Adam, 1795-c.1805, William Blake
Elohim Creating Adam, 1795–c.1805
「アダムを創るエロヒム」
Book of Genesis(創世記)より。
ブレイクの観点では、
旧約聖書の神(エロヒム)は偽物であり、
人間の堕落はその創作の段階で、
堕落への印を刻まれている・・・
という見解を、すでに絡みつく蛇で象徴している。

Pity, c.1795, William Blake
Pity「哀れみ」 c.1795
エッチングプリントに、インクと水彩で着彩されている。
厳密にいえば挿絵ではなくて、
マクベスの一節からインスピレーションを得て描かれたもの。
「哀れみ、裸の赤子のように純真に、
疾風に乗り、あるいは、
目に見えぬ空気の流れに乗る、
ケルビム天使の馬のように
(恐るべき行為は吹聴されることになろう)。」
と、マクベスがダンカン暗殺を躊躇する一節。
これも昔から知っている絵画だけれど、
これまた、子供を失った女性の悲哀・・・的に
構図から、勝手に解釈していた。

The Night of Enitharmon's Joy (formarly called 'Hecate'), c.1795, William Blake
The Night of Enitharmon’s Joy
(formerly called ‘Hecate’)
エッチングプリントに、インク・水彩・テンペラで着彩。
死と夜の女神「ヘカテ」を描いたものと、
ずっと考えられてきた(私もそう認識していた)けれど、
実際にはブレイクの作り上げた神話の、
Enitharmon(エニサーモン)だそうで、
精神性の美と詩的インスピレーションの象徴なのだそう。

Newton, 1795-c.1805, William Blake
Newton 「ニュートン」, 1795-c.1805は、
アイザック・ニュートンを描いたもの。
ブレイクは根本的に啓蒙時代に反発している。
科学や啓蒙主義は
神秘・スピリチュアリティの対極にあるものとして。
おのずとこのニュートンの表現も、
肯定的なものではなくて、岩(物質)に同化し
精神性を失っていくものとして描かれているとのこと。

Satan Exulting over Eve, c.1795, William Blake
Satan Exulting over Eve, c.1795
「イヴに歓喜するサタン」
最初の「アダムを創るエロヒム」とまるで
対をなすかのような構図で、
イヴの陥落を歓喜するサタンを描いている。

Christ Blessing the Little Children, 1799, William Blake
Christ Blessing the Little Children, 1799
「幼子達に祝福を与えるキリスト」
これはキャンバスに描かれたテンペラ画。
ブレイクのパトロンだったThomas Butts
(トマス・バッツ)の発注で描かれた、
聖書の50枚の挿絵の一部。
マルコ福音書10章の、
「幼な子らをわたしの所に来るままにしておきなさい。
止めてはならない。
神の国はこのような者の国である。
だれでも幼な子のように
神の国を受けいれる者でなければ、
そこにはいることは決してできない。」の一節を描いたもの。
画面の左に、説話中に祝福を受けに来た
子供と女性をたしなめる弟子が描かれている。

The Body of Christ Borne to the Tomb, c.1799-1800, William Blake
The Body of Christ Borne to the Tomb, c.1799-1800
これも同じシリーズのテンペラ画、
「墓に運ばれるキリストの死体」。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
これもそのシリーズで、「エジプトの聖母子」。
ブレイクの表現だと、仏像的でもある・・・(笑)。

An Allegory of the Spiritual Condition of Man, c.1811, William Blake
An Allegory of the Spiritual Condition of Man, c.1811
テンペラ画の作品「人間の精神状態の寓話」
Fitzwilliamミュージアムの所蔵ということ以外に
作品の詳細は不明なのだけれど、
上記の聖母子ととてもタッチが似ている。

Detail - An Allegory of the Spiritual Condition of Man, c.1811, William Blake
ディティール。
最初聖痕から血を流すキリスト像だと思っていたけれど、
よく見ると女性像ですよね、これ(笑)。

Detail- An Allegory of the Spiritual Condition of Man, c.1811, William Blake
もう一つディティール。

The Horse, c.1805, William Blake
The Horse, c.1805
「馬」とだけ題されたテンペラ画。
資料を調べてみたけれども、
全く背景が出てこなくて不明。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
The Resurrection-
The Angels rolling away the Stone from the Sepulchre
これはプリントに着彩の作品で、
「復活 -天使が墓から石を動かす」。
トーンも構図もとても好きな一枚。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
Mary Magdalen at the Sepulcher
これも美しい作品。上の復活に続く、
マグダラのマリアが復活したキリストと出会うシーン。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
The Assumption(「聖母被昇天」)。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
The Angels appearing to the Shepherds
聖書のイラストレーションのシリーズで、
「羊飼いたちに天使が現れる」
そして、メシアの誕生を告げるシーン。
小さな馬小屋が中央に描かれている。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
On the Morning of Christ's Nativity
よくにた構図のNativity(キリスト降誕)の作品が
いくつかあるようだけれど、
これは、ミルトンのThe Hymn(賛美歌)という
詩作品の挿絵として描かれたもの。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
David Delivered out of Many Waters
「ダビデが水から救い出される」
これは旧約聖書からのイラストレーションで、
サウル王から逃れて水の中で、
神に助けを求めて救われるシーン。
ブレイクの解釈では、神の存在を
キリストの姿として描いている。

Satan in his Original Glory, 'Thou wast Perfect till Inquity was Found in Thee', c.1805, William Blake
Satan in his Original Glory
‘Thou wast Perfect till Iniquity was Found in Thee’
これも旧約聖書から、
「元あった栄光の姿のサタン-
汝が中に不法が見いだされるまでは、
汝は完璧な存在であった。」
神に反逆して地獄に落とされる以前は、
12枚の翼を持つ大天使長ルシファーだった。
華麗な作品。

The Great Red Dragon and the Beast from the Sea, c.1805, William Blake
対象的に禍々しいイメージの、
The Great Red Dragon and the Beast from the Sea
「おおいなる赤き竜と海からの怪物」。
Book of Revelation(ヨハネの黙示録)の一節を描いている。
どちらも7つの頭と10の角を持つという。

044-Satan Spying on Adam and Eve and Raphael's Descent into Paradise, William Blake
Satan Spying on Adam and Eve and Raphael's Descent into Paradise
「アダムとイヴを偵察するサタンと、ラファエルの楽園への降臨」
聖書の題材だけれど、直接的には、
ミルトンの「失楽園」の挿絵として描かれている。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
同じく「失楽園」の挿絵より、
Raphael Warns Adam and Eve
「アダムとイヴに警告する大天使ラファエル」
サタンの存在を警告しているところ。

William Blake Exhibition, 2019, Tate Britain, London
The Judgment of Adam and Eve
「アダムとイヴの裁き」
「罪」と「死」から守られた
楽園からの追放を通告される。
左に運命の矢をかざした「死」が、
右に注がれる「罪」が描かれている。

The Expulsion from Eden
The Expulsion from Eden
「エデンからの追放」
兜をかぶって、二人を連行するのは、大天使ミカエル。
4体の楽園の守護ケルビムを騎乗の姿で描いているのは、
黙示録の四騎手からの連想ともいわれている。
ミルトンの失楽園は、楽園追放された人間が、
現世に立ち向かっていく積極性を描いているので、
ここでのアダムとイヴの表現も、
それ以前の聖書図版の、ただ絶望した姿ではなく、
力強く歩を進めるものとなっている。

Epitome of James Hervey's 'Meditations among the Tombs', c.1820-5, William Blake
Epitome of James Hervey’s ‘Meditations among the Tombs’
「ジェームス・ハーヴェイの”墓場での瞑想”の概要」
英18世紀の神学者ジェームス・ハーヴェイの著書を
ヴィジュアルで表現した、物語的な大作。
死の悲哀に生きる者が、
やがて天界で別れたものと再会する・・・
というような内容らしい。
死と再会ってなんだか仏教だと、
自然な感覚なんだけれどな。

Detail - Epitome of James Hervey's 'Meditations among the Tombs', c.1820-5, William Blake
ディティール。

Detail -Epitome of James Hervey's 'Meditations among the Tombs', c.1820-5, William Blake
最後に、もう一つディティールを。


標本箱 3エントリー引っ張ったけれど、これでも展示作品のほんの一部。
じっくり見て解説を読んでいたら、一体何時間かかるやら、というような内容の濃いエキジビションでした。
ウィリアム・ブレイク、19世紀末のビジュアル性を持って、18世紀末に生きてしまったのか。
いやしかし19世紀末だと、世の中の物質主義化がもっと進んでいたわけで、それこそ彼にはもっと耐えられなかっただろうな。
なんだか、時代と世の動向のニッチに生きた画家という印象です。





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