- 2022-01-12 Wed 15:00:00
- イベント
昨年のとっくに終わったエキジビションの話でナニですが・・・、2021年5月8日~9月12日にロンドンのFashion and Textile Museum(ファッション・アンド・テキスタイル博物館)で開催されていた、「チンツ:綿の華 展」のイメージを。(撮影は2021年5月に訪れた時のもの。)
このエキジビション、北オランダのFries Museum(フリース博物館)で、2017年に開催された展覧会の巡回展。
私はもともと、トラディショナルな南仏プロヴァンス・プリント好きで、その元となったインド・チンツ(更紗)にもソフトポイントがあるのだけれど、この展示会を見に行くまで、インド・チンツがヨーロッパで18世紀に人気になったのは、まずマルセイユに輸入されて、そこからプロヴァンス、そしてヨーロッパ全域に広がったのだ・・・と、信じ込んでいた。
今回始めて、それももちろんひとつのルートなのだけれど、同時に・・・というかややさきがけて、17世紀にポルトガルやオランダ東インド会社がインド・チンツをヨーロッパに持ち込んでいたこと、18世紀中頃には「コピー商品」のヨーロッパ製造のチンツも流通し始めていた、ということを知ったのだった。
そんなわけで、オランダはヨーロッパ・チンツの歴史の中で、一つの中心地であり、またチンツはこの北オランダ地域の伝統的なコスチュームとして定着していったそう。
この展覧会は、その北オランダの地域博物館が豊富に収蔵するチンツ・コスチュームを中心として企画された展覧会なのだった。

エキジビション・ポスター。

会場エントランス。
ふと、思い出したけれど、
昭和の頃の日本のお布団って、
こんなチンツ柄じゃなかったかな(笑)。

エキジビションの最初は、
19世紀ヴィクトリアンの頃の
インテリア・ファブリックと、
19世紀には全ヨーロッパで流行していた
チンツ・ファブリックを使ったインテリアの例。

そして今回のエキジビションポスターになった、
18世紀初期のインドチンツのモーニングガウン。
パターンは日本の着物を模しているのだとか。

クローズアップ。
表の大柄、縁のボーダー
そして、裏に小柄という
チンツ鉄板なコンビネーション。

スカートの下半分の柄が、
東アジアを航海する貿易船。
いかにも東インド会社を連想させる。

東インド会社が扱っていたインドチンツ。

小柄は裏地や子供服によく使われている。

インド更紗の複雑な工程。
ちゃんとは読んでこなかったので、詳しくはわからないけれど、蝋置き以外にも、バッファローミルクで滲みを防いだり、ミョウバンを使った化学変化で茜染料を定着させたり、複数の伝統的な手法が組み合わされて、多色染を完成させていく。
この複雑さで、ヨーロッパにインドチンツがもたらされてからも、100年近くコピー生産が阻まれていたのだそう。
18世紀中頃からやっと、ヨーロッパ・コピーチンツが流通し始めたのだそう。

インドチンツの付け袖には、
今でもかすかに手描きの金彩が残っている。

小柄生地を使った人形の服。
小柄だけれど、とても華麗。

人形の服色々。
このフリース地方のコスチュームでは、
チンツの他にギンガムチェックも
定番の生地だったそうで、
人形のコスチュームにも
それが反映されている。

もう少し大きくなって子供服。

当時のチンツ生地は高価なものだったので、
何度もリサイクルして使われた。
なので、お母さんのスカートから
子供服や帽子、またその端切れから、
人形の服・・・というように、
捨てるところなく使われていった。

チンツのモチーフは大半が
装飾化された花や植物で、
人物描写はほとんどない。
これは16世紀にインドで手描きの
染め物職人として働いていたのが、
ペルシャ出身の回教徒だったからだと
考えられている。
そういえばペルシャの焼き物などの
パターンと共通点がありすぎる。

お母さん服と子供服。


右は当時のコスチュームの板絵。



典型的なギンガムチェックとの組み合わせ例。

ヨーロッパ生産になって、
紋章入りのデザインも出たのかと思ったけれど、
解説を読むと、これはインドに発注して
制作されたベッドスプレッドなのだそう。
超高価なものなので、普段使いではなくて、
なにか特別な場合にのみ飾られれたもの。

クローズアップ


ローラアシュレー・ホームの原点?(笑)


最後にこちらは、
メンズのドレッシング・ガウン。
次回も後半に続きます。
*************************
by KotomiCreations
KotomiCreations - Contrado shop item detail
(デジタル・プリント雑貨 - コントラド・アイテム詳細)
Page1, Page2
このエキジビション、北オランダのFries Museum(フリース博物館)で、2017年に開催された展覧会の巡回展。
私はもともと、トラディショナルな南仏プロヴァンス・プリント好きで、その元となったインド・チンツ(更紗)にもソフトポイントがあるのだけれど、この展示会を見に行くまで、インド・チンツがヨーロッパで18世紀に人気になったのは、まずマルセイユに輸入されて、そこからプロヴァンス、そしてヨーロッパ全域に広がったのだ・・・と、信じ込んでいた。
今回始めて、それももちろんひとつのルートなのだけれど、同時に・・・というかややさきがけて、17世紀にポルトガルやオランダ東インド会社がインド・チンツをヨーロッパに持ち込んでいたこと、18世紀中頃には「コピー商品」のヨーロッパ製造のチンツも流通し始めていた、ということを知ったのだった。
そんなわけで、オランダはヨーロッパ・チンツの歴史の中で、一つの中心地であり、またチンツはこの北オランダ地域の伝統的なコスチュームとして定着していったそう。
この展覧会は、その北オランダの地域博物館が豊富に収蔵するチンツ・コスチュームを中心として企画された展覧会なのだった。

エキジビション・ポスター。

会場エントランス。
ふと、思い出したけれど、
昭和の頃の日本のお布団って、
こんなチンツ柄じゃなかったかな(笑)。

エキジビションの最初は、
19世紀ヴィクトリアンの頃の
インテリア・ファブリックと、
19世紀には全ヨーロッパで流行していた
チンツ・ファブリックを使ったインテリアの例。

そして今回のエキジビションポスターになった、
18世紀初期のインドチンツのモーニングガウン。
パターンは日本の着物を模しているのだとか。

クローズアップ。
表の大柄、縁のボーダー
そして、裏に小柄という
チンツ鉄板なコンビネーション。

スカートの下半分の柄が、
東アジアを航海する貿易船。
いかにも東インド会社を連想させる。

東インド会社が扱っていたインドチンツ。

小柄は裏地や子供服によく使われている。

インド更紗の複雑な工程。
ちゃんとは読んでこなかったので、詳しくはわからないけれど、蝋置き以外にも、バッファローミルクで滲みを防いだり、ミョウバンを使った化学変化で茜染料を定着させたり、複数の伝統的な手法が組み合わされて、多色染を完成させていく。
この複雑さで、ヨーロッパにインドチンツがもたらされてからも、100年近くコピー生産が阻まれていたのだそう。
18世紀中頃からやっと、ヨーロッパ・コピーチンツが流通し始めたのだそう。

インドチンツの付け袖には、
今でもかすかに手描きの金彩が残っている。

小柄生地を使った人形の服。
小柄だけれど、とても華麗。

人形の服色々。
このフリース地方のコスチュームでは、
チンツの他にギンガムチェックも
定番の生地だったそうで、
人形のコスチュームにも
それが反映されている。

もう少し大きくなって子供服。

当時のチンツ生地は高価なものだったので、
何度もリサイクルして使われた。
なので、お母さんのスカートから
子供服や帽子、またその端切れから、
人形の服・・・というように、
捨てるところなく使われていった。

チンツのモチーフは大半が
装飾化された花や植物で、
人物描写はほとんどない。
これは16世紀にインドで手描きの
染め物職人として働いていたのが、
ペルシャ出身の回教徒だったからだと
考えられている。
そういえばペルシャの焼き物などの
パターンと共通点がありすぎる。

お母さん服と子供服。


右は当時のコスチュームの板絵。



典型的なギンガムチェックとの組み合わせ例。

ヨーロッパ生産になって、
紋章入りのデザインも出たのかと思ったけれど、
解説を読むと、これはインドに発注して
制作されたベッドスプレッドなのだそう。
超高価なものなので、普段使いではなくて、
なにか特別な場合にのみ飾られれたもの。

クローズアップ


ローラアシュレー・ホームの原点?(笑)


最後にこちらは、
メンズのドレッシング・ガウン。
次回も後半に続きます。
*************************
by KotomiCreations
KotomiCreations - Contrado shop item detail
(デジタル・プリント雑貨 - コントラド・アイテム詳細)
Page1, Page2
- 関連記事
-
- Chintz: Cotton in Bloom Exhibition(チンツ:綿の華 展覧会)-2- (2022/02/02)
- Chintz: Cotton in Bloom Exhibition(チンツ:綿の華 展覧会)-1- (2022/01/12)
- Peter Gabriëlse Box Art Exhibition, Axel Museum, 2021(ペーターおじさんの箱アート展覧会、アクセル博物館 2021) (2022/01/05)