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Museum of the Home, London (家の博物館) -1-

今回からは、Museum of the Home(家の博物館) のイメージを。

この博物館は、2021年6月に(途中、ロックダウンにもあって)3年に渡るリニューアルの後に再オープンした。
以前は、歴史的ファニチャー/インテリアを展示する、Geffrye Museum (ジェフリー博物館)だったのだけれど(標本箱では2011年の<このページ>から2回のエントリー)、Home(家・・・というか家庭という概念も含まれている)にフォーカスして、器と同時に(それ以上に)その中の「人」と「暮らし」に重点を移行させた博物館として生まれ変わった。

これにはちょっとした背景があって、この博物館が入っているのは、ロンドン市長も努めた17世紀の有力者、Robert Geffrye(ロバート・ジェフリー卿)の設立したアームスハウス(身寄りのない老人のための慈善住宅)で、そこからジェフリー博物館という名前も採られていた。
彼は鍛冶屋から豪商に立身した人物なのだけれど、財を築いた手段が、17世紀の奴隷取引会社への投資の成功。
21世紀に入って、一段と植民地・奴隷制度の加害者として、猛反省を強いられている(自主反省でもあるのだけれど)英国では、「植民地・奴隷制度」に関与して財を築いた、旧財閥・歴史的有力者に対する風当たりが異常に厳しい。
極端から極端もいいところで、パラノイア的な感じ。関連人物の像なども、各都市から撤去される方向にある。
(それも歴史的な事実なんだから、ニュートラルに受け入れろよ・・・と、第三者の私などは思うのだが、ま、いつでも人心、社会的・政治的な軸はブレブレなもの。)
そんな時代背景があって、この博物館もおおっぴらにジェフリーを名乗ることは肩身が狭くなってきたというのが一因。
そしてこの地域は、それでなくとも旧植民地からの移民人口の高い地域なので、一段と肩身は狭いということに。
そんなわけで、歴史的なこのアームハウスの器よりも、切り口を家庭・家族・コミュニティに生きる「人」に切り口を持っていくことで、存在意義をつなごうとしている・・・というわけ。
その、現在がどんなものか「人嫌い・モノ好き」の私が、オープンして間もない2021年7月に偵察に行ってきた(笑)。


Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
館名も一新、新たな看板。
現在はオーヴァーグラウンド線Hoxton(ホクストン)駅
出口の向かい側が入口になっている。
以前の歴史的アームスハウスの建物から、
そんなに乖離したいのか(笑)。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
新しい入口のコンテンポラリーな建物。
(いや単に、駅から便利というだけで、
入口の位置を変えたのだとは思うけど。)

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
エントランスから見える庭。
この庭が、まだまだ育成過程だったけれど、
和めるすぐれもの。
それはまた後ほどフィーチャーすることに。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
17世紀のエボニーと象嵌のキャビネット。
展示の最初は歴史的な
家具の紹介から始まる。
目に留まった、自分好みのものを
拾い集めて撮っています。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
話は飛んで、19世紀アーツアンドクラフトの
家具調度品。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
ウチにも欲しいかも、な、アームチェア。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
ロセッティがデザインした・・・と考えられている、
ロセッティ・チェア。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
19世紀の家具のカタログ。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
19世紀のインテリアのイメージ。


Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
これは、18世紀のご家庭の様子。
Polite(上品)ということが、
お約束だった時代で、
質のいいシンプルなインテリアに、
読書や縫い物が上品な趣味と見なされた。


ここからは、博物館では書いていない、私の解説。
同じ18世紀でもコンチネント(特にフランス)は、ロココ文化熟爛期だったので、もっと退廃してゴージャスなテイスト。当時のイギリスは、ヂミでダサい田舎文化と見なされていた。
その後、大陸は革命の動乱に巻き込まれて、文化どころではなくなってしまのだけれど、イギリスでは対岸の火事。逆に産業革命をさきがけて、経済的に世界の中心を奪い取ってしまう。
そして、19世紀はイギリスが、経済的・文化的に最高潮に達した時代で、おのずと美意識にも自信の程が現れる。
18世紀のPoliteをくつがえす美意識として生まれたのが、19世紀後半のアーツアンド・クラフト運動や耽美主義だったのだ。


Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
話をもどして・・・、
上の絵画でお父さんが座っているような、
18世紀の椅子。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
18世紀のイージーチェア。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
19世紀のアームチェア。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
17世紀後半のターキーワーク・チェア。
というのは、当時輸入され始めた、
トルコのカーペットのような
生地が使われていたため。


こんな風に、新しく設立された展示室では、その時代のスタイルの家具を展示して、その社会的背景などをボードで解説する方法が採られているのだけれど、なんだか順番や流れがチグハグで、よほど興味を持ってボードを読み込まないことには、何がいいたいのか意図があまり読み取れない。
最たるものが・・・、


Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
この展示室。
最新のアレクサに持っていきたいようだけど、
デジタル(メカニック)が切り口のテーマなのか、
そこになぜ暖炉の飾板と壁紙?
適当に収蔵品ブチ込んだとしか思えない。
展示方法、テーマともにかなりお粗末。

気を取り直して、
上階の以前からの展示室をざっと見て回ることに。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
ここからは、以前のジェフリー博物館だった頃の
展示と同じ。
少し小綺麗に大掃除された感じではある。
最初は1630年の大広間。
商人の店の2階という設定。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
主人の家族も使用人も皆が、
一緒に食事をして、
子どもたちはここで教育を受ける。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
1695年のパーラー。
家族が客を招いて食事をしたあと、
食卓を片付けて、ゲームを始める。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
フルートが演奏される、という設定。
ロンドン大火後に再建されたタウンハウスの
内装が参考にされているそう。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
1745年のパーラー。
上のパーラーと板張りの内装は似ているものの、
椅子がシンプルな18世紀のスタイルに。

Museum of the Home (ex Geffrye Museum)
朝、家族が起き出してくるまでに、
女中たちが、暖炉を掃除して
火を入れるのに忙しい。

というところで、次回に続きます。






Museum of the Home(家の博物館)
Ex - Geffrye Museum(旧ジェフリー博物館)


Map:









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